株式会社ヤマダデンキ 代表取締役社長 上野善紀

暮らしまるごと提案と海外事業の拡大が目標

株式会社ヤマダデンキ 代表取締役社長 上野善紀(うえの よしのり)

■プロフィール
2014年4月、ヤマダ電機(当時)に入社。営業戦略室長を経て2016年5月、取締役に就任。2021年4月にヤマダデンキ取締役兼執行役員、2022年4月1日にヤマダデンキ代表取締役社長に就任。

売上高1兆円を超える業界のリーディングカンパニーであるヤマダデンキ。
現在は家電だけでなく家具や生活雑貨の販売など、暮らしをまるごと提案する戦略を推進。また、海外進出も積極的に行い、事業を拡大し続けている。
今回はそんなヤマダデンキの上野社長に仕事の上で大切にしていることや今後の展望を伺った。

私は九州で三兄弟の三男として生を受けました。父親が少年野球のコーチをしていたこともあり、小さい頃から野球に打ち込んでいました。リトルリーグでは全国大会出場を果たすなど、野球一筋の子ども時代でした。野球は小中高と続けていたのですが、その間、多くのことを学びました。特に、チームプレーと人との付き合い方の大切さを学べたことは、今でも大きな財産になっています。また、仕事は一人でできるものではなく、人と人とのコミュニケーションの上に成り立つものです。このことを小さな頃から学べたのは本当に有意義であったと感じています。
高校卒業後は進路について悩みましたが、就職を選択しました。就職するといっても特にやりたい仕事もなく、人と話すことが好きだったことと進路指導の先生から勧められたこともあり、家電業界ナ
ンバーワンであったベスト電器に就職し、接客業を目指すことに決めました。
ベスト電器では、当時、全国の社員が売上を競う大会がありました。ここで1位を取ることが目標であり、仕事のモチベーションとなっていました。お店が閉まった後、作戦は始まります。ベスト電器の広告チラシに私の顔スタンプを押し、それを近所の家にポスティングするのです。これが当時の日課でした。それを続けていると、私の顔スタンプ付のチラシを持ったお客様が店に来てくれるようになり、私は顧客獲得に成功していくのです。こうして目標としていた売上全国1位を3回獲得することができたのです。

ヤマダで学んだ挑戦の姿勢

ヤマダデンキには、ベスト電器の合併と共に移ってきました。当初は、ヤマダデンキの事業展開の速さについて行けるかどうか不安でしたが、山田会長からは「分からないことはなんでも聞け、分からないことを聞くのは恥ずかしいことではない」と言われ、会長にはなんでも聞きました。
私は小さな店舗から現在のヤマダHDを作り上げた会長のノウハウを全て吸収してやろうと思い、時間を見つけては会長の部屋をノックしに行きました。人間誰しもプライドはありますが、プライドなど脇に置いて何でも貪欲に吸収する姿勢が大切です。
それともう一つ大事なのは失敗を恐れずチャレンジすることです。問題を解決するためにはどうすればいいかを一生懸命考えて行動に移すのです。チャレンジなくして成功などありません。それも小さなことから始めるのが大切です。たとえば、「接客は苦手だけれど今日は3人接客してみよう!」などと言ったように、小さなことでいいので日頃からチャレンジすることが大切です。私はチャレンジできる人間が何人いるかで企業の成長力が決まると思っています。チャレンジして失敗しても周りがフォローしてくれる環境、間違っていたら考え直して再挑戦できる環境作りに力を入れています。
「あなた一人がミスしたところで会社は潰れない、安心してチャレンジしなさい」。これは私が入社式で伝えている言葉です。そのくらいの気持ちで取り組めばチャレンジが経験となってきっとあなたの人生にプラスに働きます。チャンスをものにできるかどうかはあなたの勇気次第です。

ヤマダが目指す暮らしまるごと提案

現在、ヤマダデンキは2つのことに力を入れています。1つ目は海外進出です。シンガポール、マレーシア、インドネシアに出店しているのですが、インドネシアは平均年齢も若く、2050年には人口が3・5億人になると言われています。このような伸び代のある海外マーケットにどんどん進出していければと考えています。2つ目は暮らしまるごと提案の推進です。家具はもちろんのこと、インテリア、おもちゃ、生活雑貨、さらにはリフォームに至るまで、衣食住における「住」のあらゆるものが全て揃うことをコンセプトに、新業態大型店舗作りに力を入れています。
ヤマダデンキでは現在アルバイトを含めて3万人の従業員が働いています。彼らと彼らの家族の生活を守るために、上記の事業にもっと力を入れて取り組んでいきます。それと共に従業員の働く環境を整備してきたいと思っています。たとえば、現場主義の徹底です。本社はコスト管理センターであり、実際に売上を作っているのは現場です。私は現場を回るたびにこのことを伝えています。また、本社の人間には、現場から電話がかかってきたらたらい回しにせず、自分で責任を持って解決するように教えています。このような環境整備は続けていきたいですね。

*message*

将来何をしたいのかわからないという学生がとても多いように感じます。私自身、就活をしていた頃は将来何をしたいかなど決まっていませんでした。しかし、そこで将来のことをずっと悩み続けていても仕方がありません。まずは今、自分がやってみたいこと、できることを探してみてください。少なからず何かあるはずです。まずは小さなチャレンジからコツコツ積み重ねていきましょう。そうしたら次第にやりたいことが見えてくるはずです。
人生はまだまだ長いです。たくさんチャレンジしてください。

学生新聞2023年4月1日発刊号 法政大学3年 鈴木悠介

國學院大学3年 島田大輝/法政大学2年 佐伯桜優/関東鍼灸専門学校3年 竹原孔龍/法政大学3年 鈴木悠介

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