株式会社ミシャジャパン 取締役/支社長 康 寅圭

コスメを韓国と日本を結ぶ架け橋のような存在に

株式会社ミシャジャパン 取締役/支社長 康 寅圭(カン・インギュ)

■プロフィール

康 寅圭(カン インキュウ)
取締役支社長
韓国済州道生まれ、
1993年、留学をきっかけに来日
2005年 韓国ABLEC&C・海外事業部入社(現、ミシャジャパン 韓国親会社)
2006年 株式会社ミシャジャパン設立に伴い日本市場総括管理および営業本部長務める。
2020年 同社 支社長および韓国ABLEC&C海外事業部理事を立て
2021年 3月より現職

世界中で大人気のコスメブランドであるMISSHA。そんなMISSHAの日本支社をゼロから立ち上げただけでなく、日本中に瞬く間に展開させ、クッションファンデーション売上3000万個という記録を残した康 寅圭氏に今までの苦労や努力、またMISSHA製品の魅力についてのお話を伺った。

学生時代は、韓国の壮絶な受験戦争を勝ち抜き、理工系の大学へ入学しました。ですが、もっと広い世界を見てみたいという思いが次第に強くなって、入学前に3ヶ月間だけ日本に短期留学をすることにしました。当時の日本はバブル崩壊直後ではありましたが、実際に日本を訪れ、地下鉄や街の外観を見ると、韓国よりも活気に満ち溢れていた姿に衝撃を受けたことを今でも覚えています。そこで「日本で勉強したい」という思いを抱き、韓国の大学への入学を辞退しました。まだ若かったので、後悔を恐れずに挑戦しようと思ったんですね。もう一度、大学受験を日本でやり直し、大学への入学を決めました。大学生活は、とても活発的だったと思います。できることは全て挑戦していましたね。その中でも特に力を入れていたのは、イベントを企画し、制作すること。留学生らと協力し、学祭などのイベントを運営していました。活動している中で、新しいものを立ち上げたり、人のために何かを行ったりすることが好きで、自分に向いていることに気づきイベント制作会社に就職することを決めました。

■日本との別れと再会。そして、MISSHAとの出会い

多くのイベントの制作、運営を行いましたが、その中でも一番印象的だったのは韓国ドラマ関連のイベント運営です。初めての母国と関わる機会のあった仕事で、とても新鮮でした。この会社で4年間働いた後、一度韓国に帰国しました。自分で事業をやってみたいと思い、飲食店を営み始めました。結果としては、資金がつき6ヶ月で倒産してしまったのですけどね(笑)。その時、改めて日本と関わる仕事がしたいと思いました。その時に出会ったのがMISSHAです。働き始めてから10ヶ月ほど経った時に、日本支社の立ち上げの話が上がりました。立ち上げメンバーに抜擢され、日本人の社長と私の二人三脚で会社を創立しました。その後は、会社の経営のために日本と韓国を行ったり来たりする生活が続きましたね。韓国で、マーケティングやシステムなどを学び、それを日本支社で用いて経営する。それが私の仕事でした。営業やマーケティング、ECなどに多種多様な業務に携わってきましたが、その中で自分の実績が認められ、今の役職につきました。

■他にはないMISSHAの魅力と強み

MISSHA JAPAN の魅力はなんといっても、K-Beautyのパイオニア的な存在であることだと思っています。BBクリームやクッションファンデーションなど、日本で爆発的に売れた商品の先駆けともなっていますからね。これらの商品を作る中でも、学んだことはたくさんありました。マーケティングや在庫管理など。失敗し、学んだ経験があるからこそ今のMISSHA JAPANがあるのだと思っています。この経験を活かして、社員数約30人という少ない社員数の中でもマーケティングや企画に携わる社員を10人近く設け、より良い商品を生み出し、販売することに一番力を入れています。

弊社は、韓国の会社の日本支部であるため、基本的には韓国で作られた商品を販売することが多いのですが、やはりそれだと日本人の肌に合わないこともあります。そのことを改善するためにも、私たちは日本人に合う、日本人のための製品を作るということにも力を入れています。これは、他の韓国のコスメブランドでは行われてないことだと思います。市場調査を行い、日本人の需要にあったリーズナブルで品質の高い商品を製造しています。小売業に向けた専売商品を製造していることもまた、他の韓国の企業はやっていないことなのではないかと思います。

専売商品の販売の利点としては、主に二つあります。一つは、その企業と長く、深い関係でお付き合いできるということ。二つ目は、店舗に専用棚を作れるということ。日本はまだ、オンラインよりもオフラインでの売買が盛んな国です。だからこそ、実店舗を多く持つ企業と関係を築いたり、商品を多く置いたりすることはコスメブランドという競争社会の中で生き残るためにはとても良い戦略でした。多くの世代の方に私たちの商品を知ってもらうだけではなく、使っていただけるためにも専売商品を作ることはとても意味のあることなのです。

■MISSHA JAPANと国内ブランドの違い

日本の国内ブランドよりもスピーディーに商品を企画、製造できることも私たちMISSHA JAPANの強みの一つだと思っています。日本国内のブランドは、伝統的にも丁寧で緻密なやり方で製品を作り、販売しているように思えます。「信頼、信用」をとても重視しているので、ひとつひとつの工程に時間をかけているのです。だから、一つの製品を販売するのに1年近くかかる。それに比べて韓国は、システムを用いて管理、製造するのでとにかく仕上がりが早く、企画から約2~3ヶ月で製品を製造することが可能です。日本、韓国どちらにも利点があるのでどちらが良いという話ではありませんが、このスピード感は私たちの強みのひとつだと考えています。

■学生へのメッセージ

まずは色々なことに挑戦してほしいです。その中で、好きなことや得意なことが見つかってくると思います。そうしたら、そのことをずっとやり続けてほしい。続けていけば行くほど、そのことに対する知識が段々と高まってくると思います。そのことは自分にとって、大きな生涯の財産になり、他者と関わる中でも役立つと思うのです。だからこそ、まずはたくさんのことに挑戦し、可能性を広げてほしいと思います。

学生新聞オンライン2023年6月15日取材 国際基督教大学 1年 渡邊和花

成城大学 3年 小笠原萌/国際基督教大学 1年 渡邊和花/国際基督教大学 1年 若生真衣/慶應義塾大学 4年 伊東美優

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