株式会社クラダシ 代表取締役社長 関藤 竜也 

ブランドイメージをつけ、フードロス問題の解決へ繋げる 

株式会社クラダシ 代表取締役社長 関藤 竜也 (せきとう たつや)

■プロフィール

1971年大阪生まれ。1995年総合商社入社。
高度経済成長期の中国駐在を経て独立。戦略的コンサルティング会社取締役副社長を経て、2014年フードロス問題を解決するため、株式会社クラダシを設立。「EYアントレプレナー・オブ・ザ・イヤー 2021 ジャパン」関東地区代表選出。国連WFP協会評議員。食品ロス・廃棄に関する国際標準化対応国内委員会メンバー及び国際委員会メンバー。

フードロスによって起こった社会問題を目の当たりにし、「この社会課題を解決したいと感じた」という株式会社クラダシの関藤竜也社長。戦略的コンサルタント会社を経て、2014年に同社を設立。フードロスに対する社会風潮の変化や仕組みを作るまでの軌跡を伺った。 

高校1年生の時から、将来は商社マンになりたいと考えていました。普通は就職活動といえば大学3年生の夏くらいからリサーチを始める人が多いと思うのですが、なりたいものがはっきりしていたので、僕は大学1年生のときから動いていました。就活は、無料でいろんな業界を見ることができるし、様々な社会人の方にお話を聞ける絶好のチャンスだと感じていたからです。様々な業界の考え方や社風、また、自分がなりたいイメージと重なるかどうかも確認していました。たとえば、ホテル業界のセミナーに行った時、接客業は何か一つのことに秀でている人の方が向いているように感じました。僕自身は、何かひとつに秀でているというよりは、なんでもそつなくこなせるタイプだったので、「接客は合ってないな」と判断したりしていましたね。そして、結果的には、高校時代からの夢だった商社に入社したのですが、就活している間も「いつか機会があれば、起業したいな」とずっと考えていました。

■社会風潮は一人でなくてみんなで仕組み化するもの

商社に入社した後、中国へ駐在する機会をいただきました。そのとき、フードロスが生まれる社会問題の原型を見て、大きな衝撃を受けました。中国は労働人口が安いのが最大の魅力なので、世界の工場がより安くより良いものを探して、中国で大量生産を行っていました。その例にもれず、僕の中国での仕事も、アパレル工場での生産管理でした。ただ、大量生産を行うと、規格外品などがどうしても発生してしまいます。まだ着ることのできる服を大量に廃棄しなければならないという実情があったのです。
これは、フードロスと同じような構造です。食べ物を大量生産するものの、消費しきれず、食べられるものも廃棄しなければならない。こうした構造をなんとか変えられないかと思うようになりました。最初はまったく相手にされませんでしたが、次第にSDGsなどの考えも広がるにつれて、声に耳を傾けてくれる人も少しずつ増えていきました。そこで、「いまが起業のタイミングではないか」と思い、会社を創業しました。

■クラダシだから良いよね!という信用にブランドイメージをつける

皆さんは、食品の流通における「3分の1ルール」はご存知ですか? 食べ物には製造日と賞味期限が書かれていると思いますが、賞味期限のその3分の1の期間が過ぎたら小売店などに納品できないという商慣習(ルール)です。このルールがあると、通常の販路では販売する場所がなく、まだ食べられる商品を捨てなければならない可能性があるので、フードロスに繋がります。
そこでクラダシでは、「1.5次流通」という通常の流通ルートを毀損しない新しいマーケットをつくり、ソーシャルグッドマーケット「Kuradashi」で、フードロスの危機にある商品を販売をしています。例えば、ワインには賞味期限がありません。でも、次の年には大体処分されてしまいます。その原因は、パッケージの変更や保管料がかかるからです。Kuradashiではそうした商品を事業者側から買い取り、お得な価格で販売しています。また売り上げの一部を社会貢献活動団体への寄付や支援に充てています。、事業者側にとっても廃棄することなく社会的な貢献活動に繋がり、付加価値を高めることができます。双方に利益があることに加え、フードロス削減への活動に賛同しているというブランドイメージを高めることができます。
もちろん、在庫の量や賞味期限の短さによっては、売れ行きが怪しい時もあるのですが、その時にもフードロスが絶対に起きないように価格を下げたりし早い段階でメールマガジンに掲載するなどしロスがないようににしています。 今後も世の中に山積するフードロスをはじめとした社会課題解決を目的に、続け、社会性、環境性、経済性に優れた活動をしていきたいですね。

■大学生へのメッセージ

自分の可能性を信じて、型にハマらない行動をしてほしいなと思います。様々な意味で多様な時代になってきています。情報社会に溺れるような感覚があるかもしれませんが、本質を知ること、見ることが大切です。見えている部分だけでなく、中で動いているような仕組みを知ることが大切だと思います。物事の判断は自分の知見の中でしかできないので、調べた情報からではなく自分の興味がある方向でアクションやチャレンジをして、失敗したことから学んで成長していってください。

学生新聞オンライン2023年10月4日取材 立教大学 4年 須藤覚斗

武蔵野大学 4年 西山流生 / 教大学 4年 須藤覚斗 / 専修大学 4年 竹村結 

 

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