プラントハンター 西畠清順
植物をとおして衝撃的な体験を届けたい
株式会社 offi ce N Seijun/そら植物園株式会社 代表取締役 西畠清順(にしはたせいじゅん)
■プロフィール
日本各地や世界中を旅してさまざまな植物を収集。国内外の政府機関、企業、王族などからの依頼に応じて植物を届ける現代のプラントハンター。年間200トン以上もの植物の国際取引を行い、数々のプロジェクトを成功に導き、業界に旋風を巻き起こしている。
プラントハンターとして世界中を駆け巡 る西畠清順さん。今では植物の虜であり、この仕事は天職であると語るが、意外にも 21歳まではさほど植物に興味がなかったという。そんな西畠さんがこの仕事を始め るきっかけとなった体験や仕事の根底を なす考え方、植物に対する思いを伺った。
■どのようなお仕事なのでしょうか
実家は植物を業者に卸す仕事が家業だったので、いつかは自分もこの仕事をするのだろうなと漠然とは思っていたものの、正直、全く植物に興味はなかったのです。しかし、昔から好奇心・冒険心が強く、秘境のボルネオ島で4000メートルの山を登った21歳のときに、世界最大の食虫植物を見て衝撃を受けました。この体験で180度価値観が変わり、植物に興味がわいてきたのです。 今はありとあらゆる人に植物を届ける仕事をしています。それは植物をただ届けるのではなく、植物を理解したうえで届けたいと思っています。そこには植物をとおして価値観が変わるような衝撃的な体験をしてほしいという思いが根底にあります。 仕事の8~9割はリピーターからの依頼や紹介が多く、新規の仕事を受ける際に、担当者の熱意を大事にしたいと思っています。それは私と仕事をしたいという方に、全力で応えたいからです。 1年のうち、8割くらいはホテル暮らしです。毎日転々としながら仕事をしていますが、植物を探し出し、仕入れて売るなど複数の仕事を同時進行で進めています。旅をしてその土地を物語る山に登ったり神社仏閣を訪れたりなど、自分の感性を磨くために自然のエネルギーを吸収したりして、楽しみながら仕事ができています。
■西畠さんにとって植物とは
植物は人生の全てです。地球上にとって一番大切なものは植物で、これ以上の魅力あるものはないと思っています。戦友や恋人のような要素もあり、自分の中にある可能性や野心を叶えてくれるすごく便利なツールであったりもします。また、植物という魔法のツールを活用することで、影響力のある人を巻き込めることに最近気づきました。どんなにすごい人でも植物に関しては話を聞いてくれるのです。それが雲の上のような人でさえ「君のやっていることはスペシャルだよ」と言ってくれます。
■個人が世の中で輝くために
人は誰かの真似をすることに何の疑いも抱かないものです。そのような中で何年、何十年に一人、その業界を変えるゲームチェンジャーが現れます。私は生まれてきたかぎりは、自分独自の道を歩みたいと思いました。 自分の個性を磨くためには好きなことを見つけること。また、人との出会いも大切です。仕事を夢中でしていたらテレビプロデューサーの紹介でメンターとも呼べる人との出会いがありました。その人との出会いによって自分の考え方も変わり、自分独自のフィールドができてきました。また、逆もしかりで人との別れによって人生が変わることもあります。 人は迷いがないほど強いものはなく、迷いがあるほど弱くなってしまいます。私の場合は植物に全身全霊を注ぐと決めていて、人生を後悔しない自信があるので迷いはありません。迷いがない人間は大きな壁にぶつかっても嫌なことがあってもへこたれないものです。結果としていろいろな人たちが応援してくれます。 しかし、学生のうちは迷うことも大事で価値があることだと思います。ただし、アンテナだけは高く張っていてください。
学生新聞2024年4月1日発刊号 上智大学短期大学部2年 大野詩織
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