現役女子高生プロゴルファー 清本美波 

トライ&エラーを繰り返し、自分に最適な方法で勝利をめざす

現役女子高生プロゴルファー 清本美波 (きよもとみなみ)

■プロフィール
父の影響で6歳からゴルフを始める。2018年「全国中学校ゴルフ選手権春季大会」優勝。21年「樋口久子 三菱電機レディス」では18位でローアマタイトルを獲得した。23年のプロテストにトップ合格。
好きなゴルファー、憧れはタイガー・ウッズ。
身長153センチ。好きなクラブは8番アイアン強気のパッティングが長所。

2023年、現役高校生でありながら、ゴルフのプロテストをトップの成績で合格し、今後の活躍が期待される清本美波選手。当初、ゴルフは「遊び感覚で始めた」というが、いつしか本気で向き合うようになり、プロゴルファーへと転身。そんな清本選手にゴルフの魅力や今までの経験を伺った。

これまで様々なスポーツに触れてきましたが、一番継続できたスポーツがゴルフだったんです。たとえば、幼稚園の頃は、毎週金曜日にダンスを習っていましたが、なかなか楽しめず、2年ほどしか続きませんでした。ゴルフに出会ったのは、6歳の頃。きっかけは、父の会社でのコンペです。私自身は付き添いで参加したものの、ゴルフを初めて経験しました。以来、父と一緒にゴルフに行くようになったのですが、当時はプロになりたいという想いはなく、公園に遊びに行く感覚でゴルフをしていました(笑)。
でも、小学3年生の頃から、プロゴルファーになることを本気で目指すようになりました。以来、毎日ゴルフをすることで、ますます「自分にはゴルフしかないな」と思い、練習への真剣度が高まっていったと思います。
今は試合で思ったようなパフォーマンスができなくても、雰囲気を楽しみながら、最初から最後までやり切る事や、全力で楽しむことを大切にしながら、ゴルフを続けています。

■家族の全力サポートのおかげで今がある

高校2年生の終わり頃に一度だけゴルフを本気で辞めたいと思ったことがあります。それまでは感じたことがなかったのですが、ラウンドの第一打目であるティーショットを打つことが怖くなってしまったのです。前に進めない恐怖から、本気で「無理だ」と思いました。私は父に「克服できる自信がない」と告げたところ、父が「失敗を恐れなくていい。大切なのは、挑戦をし続ける事、すぐには難しいと思うけど家族で一緒に乗り越えていこ」と言われ、これまでサポートしてくれた父の想いを感じて、心にあったもやもやが吹っ切れました。ただ、そんな経験をしたからこそ、「どうせ辞めるならプロテストだけ受けてみよう。そして受けるなら本気で挑もう」と考え、気合を入れなおし、練習を頑張りました。
現在でも、家族全体が私をサポートし、ゴルフ中心の生活をしてくれているので、「頑張らなくちゃ」と思うことが多いです。また、試合で勝った時の楽しさや嬉しさも、ゴルフに真面目に取り組むモチベーションに繋がっていると思います。

■大切なのは技術力と分析力

本格的にプロゴルファーを目指すと決めてから、トレーニングを始めたり、コースのマネジメントを考えたりするようになりました。芝の深さや自分自身の体調、ピンから逆算した距離など、技術だけでなく、どう攻めていくかの戦略立ても意識しています。
また、ミスした時に備えて、ミスした時でも焦らずに進めるように、いくつか対応パターンも考えておきます。その結果、後悔が生まれるようなミスが減り、ミスをしても戦略があるので、焦らずに試合を続けることができます。
個人的な課題としては、目の前にあるものを狙いすぎてスコアを落としてしまうことが多いので、色々な人のプレーを見たり、先輩から話を聞いたり、人と自分の何が違うのかを考えて分析する習慣をつけています。
2023年のプロテストの時期、自分のパワーがボールに伝わるフォームにこだわり、ひたすら練習していました。その結果、690人が受けた中でプロテストをトップ通過できました。独特な雰囲気のなかでも堂々と落ち着いて自分のプレーができていたと思います。私は周りと自分を比べてしまう癖があるのですが、周囲を見ずに最後まであきらめず頑張ったことがよかったのかもしれません。
そして、父の助けも大きいです。父はゴルフをしませんが、ゴルフゲームやゴルフ観戦が好きで、ゲームや観戦で学んだことを熱心に教えてくれます。実際プレーしないため知らないがゆえに無理を言うこともありますが、先入観がないからこそできる提案があり、それにチャレンジできることがスキルアップに繋がっていると思います。

■リフレッシュがあるからこそ頑張れる

高校生活とゴルフを両立させることはとても大変です。朝から学校に行き、一日勉強して帰宅したら、軽い練習をします。そして、夕飯の後に毎日練習場に行き、ゴルフ練習に打ち込む日々を送っています。週3回程度はトレーニングに行き、体幹やウエイトを中心的に鍛えています。そんなゴルフ中心の生活をしていますが、休日に友達とテーマパークに行ったり、遊んだり、好きなコスメやスキンケア用品を集めたりします。この楽しみがリフレッシュとなり、「よし、ゴルフを頑張ろう」いう気持ちになります。

■私が思うゴルフの魅力

ゴルフの魅力はいくつかありますが、なかでも色々な人と交流が出来ることが大きいです。ゴルフのおかげで、全国各地に友達が増えました。全国大会でしか会えない友達もいますが、「一緒に全国行こうね」と、お互い切磋琢磨しながらゴルフに取り組めています。
また、ゴルフは個人スポーツなので、コースに対しての戦略を自分で分析する面白さがあります。トライ&エラーを繰り返して上達が見えた時や、戦略的に動けた時のやりがいも魅力だと思っています。
将来、私はタイガー・ウッズのようなスター性の溢れる選手になりたいと思っています。ゴルフのプレーや技術はもちろん、人間性でも立派な人になりたいです。

■大学生へのメッセージ

日々、私のことを応援してくださっている方々に感謝しています。InstagramのDM等でメッセージを頂くことも多いですが、そのおかげで頑張れているのを実感しています。この気持ちを忘れずに、「2028年のロサンゼルスオリンピックで金メダルを取る」という目標に向かって、頑張っていきたいです。

<お父様 清本宗健様よりコメント>

私は海外の試合をよく見ますが、ギャラリーと選手が一体となって盛り上がったり、感動が得られたりする点が、ゴルフの魅力だと感じています。娘はとにかく気が強く、悔しさを糧に頑張っているのがよく伝わってきます。それが、娘の強みであり、魅力です。今後、娘には見ている人を惹きつけ、感動を与えられる人になってほしいと思っています。

学生新聞オンライン2024年2月14日取材 共立女子短期大学2年 猪本玲菜

武蔵野大学4年 西山流生 / 清本宗健 / 共立女子短期大学2年 猪本玲菜 / 清本美波 / 上智大学短期大学部2年 大野詩織

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