横浜銀行 取締役副頭取執行役員 小柴裕太郎

「記憶に残る仕事をせよ」逃げずに築いた信頼関係とは

横浜銀行 取締役副頭取執行役員 小柴裕太郎 (こしばゆうたろう)

■プロフィール
1967年1月21日 福岡県北九州市小倉生まれ
1989年 上智大学法学部卒 → 横浜銀行入行
2002年 湘南台支店長
2010年 桐生支店長
2012年 溝口支店長
2015年 融資部長
2017年 戸塚支店長
2019年 執行役員 西部地域本部長
2021年 常務執行役員 営業本部長
2022年 取締役 常務執行役員
2025年 取締役 副頭取執行役員

神奈川県を中心に地銀として国内最大級の規模を誇り、県内で圧倒的なシェアを持つ横浜銀行。「物を売らないからこそ、人が大切だ」と語るのは、その経営の最前線に立つ取締役副頭取執行役員の小柴裕太郎さんだ。信頼関係を築く上で大切にしている価値観や、これからの時代に求められる力について話を伺った。

大学時代は、アルバイトやバンド活動、ゼミなどに時間を使いました。特に印象に残っているのは、ビル清掃のアルバイトです。普段関わることのない人たちと出会う機会が多く、異なる価値観を持つ人たちとの交流を通じて、自分の視野が大きく広がったと感じています。こうした経験は、社会に出てから人と向き合う上での土台になりました。また、小さな目標を多く立て、自分なりにやり切る経験を重ねてきたことも今に繋がっています。
就職活動では、当初は百貨店や物流業界などに興味を持っていました。しかし、さまざまな企業を見る中で銀行に興味を持ち、最終的に横浜銀行に入行しました。決め手は「人」です。実際に働いている方々と多く接する中で、人柄に魅力を感じ、この人たちと一緒に働きたいと思いました。また、自分が長く過ごしてきた地域に貢献することができる点や、お金を扱うということで若い時には中々関わることのできない企業の経営者と関わることができる点にも大きな魅力を感じました。

■お客様からの評判と評価を軸にした信頼関係

銀行はモノを作る業界ではなく、お金を扱う業界です。だからこそ、商品そのもので差別化することは難しく、最も重要なのは人材だと考えています。横浜銀行では「人事部」ではなく、「人財部」と呼んでおり、人を財産として捉える考え方が長年にわたって浸透しています。
私が営業として大切にしているのは、お客様からの評価と評判です。横浜銀行だけが実績や業績を上げても長続きはしません。お客様に評価していただき、その対価として選ばれることが重要です。時には、お客様と意見が対立することもありますが、本当にその企業のためになると考えれば率直に伝えます。その場しのぎではなく、長期的な関係を見据えた判断を心がけています。
そして、信頼関係を築く上で大切なのが、状況が厳しくなった時こそ逃げずに信念を持って向き合うことだと感じます。それをたとえて、私はよく「刺青を残せ」と伝えています。順調である凪の状態のときは印象に残りにくいですが、困難な局面でどう行動したかは強く記憶に残ります。そのような場面で逃げずに向き合うことで、信頼関係が深まり、結果として評価や評判に繋がっていきます。
また、一人でやり抜く力も重要ですが、唯我独尊ではいけません。困難が起きた時ほどチームとして周囲と協力しながらやっていく姿勢も大切です。個人と組織、その両方の力を発揮することで、より良い価値提供ができるはずです。

■命の次に大切なお金を扱うということ

今後の銀行業界は、人口減少やデジタル化の進展など、大きな変化の中にあります。効率化や利便性向上のためにデジタルの活用は不可欠です。一方で、全てをデジタルで完結できるわけではありません。AIが発展するほど、人間にしかできない判断や関係構築の重要性が増し、人間力に求められる比重はさらに高まっていくと感じています。
採用においては、「一緒に働きたいと思えるかどうか」を重視しています。そのうえで、自分でやり抜く力と周囲と協力する姿勢の両方が求められます。銀行は、多くの方にとって命の次に大切な『お金』を扱う仕事です。その責任の重さを理解し、厳しい状況でも逃げずに向き合えるかどうかが重要になってきます。
また、資格の有無だけで評価が決まるわけではありません。関わる企業は、業績の波や一世一代の夢を叶えたいという想いを持つなか、異なる歴史や背景があるので、正解は一つではありません。経験したからこそできるものでもありませんが、経験の積み重ねの中で学びは確実に蓄積されていきます。資格を持っているからといってできるとは限らないということです。一見無駄に思えるような経験であっても、その一つひとつが将来に繋がっていきます。
私自身、横浜銀行に入行した当初から地域の発展に貢献したいという思いで仕事を続けてきました。現在も同じ志を持つ人が多く、地域を盛り上げたいという思いは変わっていません。横浜銀行だけが成長するのではなく、地域全体で発展していくことが重要だと考えています。そうした積み重ねが、結果として日本全体の活性化に繋がると信じています。どの時代も必ず変化や困難は訪れます。何においても良い時ばかりではなく、困難こそチャンスだと考え、一本筋を持ち、地域のためにひいては日本のために取り組み続けていきたいと考えています。

■学生へのメッセージ

学生のうちにしかできないことに、ぜひ挑戦してほしいと思います。社会に出ると自由に使える時間は限られてきます。遊びや海外旅行、アルバイトを通じて多くの人と出会うなど、さまざまな経験を積んでほしいです。
当然失敗することもあると思います。失敗は無駄ではありません。むしろ学生のうちに多くの失敗を重ねることが将来の糧になります。また、さまざまな活動の中で周囲の力を借りる場面もあるはずですが、その際は感謝の気持ちを持つことが大切です。
事実、「運が良い人」と言っている人は、日頃から周囲に感謝をしている人が多いと感じています。感謝の気持ちが新たなつながりを生み、その積み重ねが結果として「運が良い」という状態に繋がっていく。そうした意識を持ちながら、多くの経験を重ね、自分自身を成長させてほしいです。

学生新聞オンライン2026年4月3日取材 武蔵野大学4年 吉松明優奈/上智大学2年 石川仁菜

京都芸術大学1年 猪本玲菜/武蔵野大学4年 吉松明優奈/上智大学2年 石川仁菜

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