株式会社ブシロード 取締役 橋本義賢

IPディベロッパーとして、皆様にエンターテイメントを

株式会社ブシロード 取締役 橋本義賢(はしもとよしたか)

■プロフィール

1964年に栃木県に生まれる。慶應義塾大学理工学部卒業後、日本IBM株式会社を経て、1995年に株式会社コスパを設立。代表取締役社長に就任し、草創期のアニメ・ゲーム周辺市場を開拓。2006年にタブリエ・コミュニケーションズ(現コスパグループ株式会社)の代表取締役社長に就任。2012年1月から株式会社ブシロードの顧問、2015年9月より当社取締役を経て、2017年10月に当社の代表取締役社長に就任。2022年7月から取締役経営企画本部長として、経営計画・人事・総務・法務・システムを管掌する。

トレーディングカードゲームの製作・販売を中心に大きく成長を遂げた株式会社ブシロード。IP(知的財産) ディベロッパーとして、マンガやアニメ、音楽ライブ、プロレス等の多角的な事業から更なる成長を遂げている。現在の具体的な事業内容と今後の展開について伺った。

■あらゆる媒体を使ったプロモーションで、認知度アップに成功

IP(知的財産)コンテンツを軸にして、『カードファイト!! ヴァンガード』を始めとするトレーディングカードゲームや音楽コンテンツを中心とした『BanG Dream!(バンドリ!)』、グッズ販売等の企画からローンチまでを行っています。また、オリジナルコンテンツを開発したりライセンスを頂き商品化をしたりすることも並行化して事業を進めています。
一方で、カードゲームは古くて希少なカードに資産価値があったり、また歴史が長いほどユーザー数も多いため、歴史のあるカードゲームタイトルは市場において有利になる。そのため新規参入が非常に難しい市場とも言えます。そこで、商品をお客様に認知して、手に取って遊んでいただくためには、垂直的な立ち上げが必要になってきます。例えば、テレビ媒体を使ったアニメの放映やCM、駅構内の看板等、1日に多くの広告を打つことで、認知をしてもらうきっかけ作りを行っています。さらに、販売では専門店とのコミュニケーション を図り、販売後も手厚いサポートを手掛けています。

■コミカライズはプロモーションの一環

当社の事業の1つであるマンガやアニメは、プロモーションの一環として定義付けています。例えば、原作の『BanG Dream!(バンドリ!)』をコミカライズすることで、ゲームでは伝えきれないストーリーをマンガ、アニメを通じて、しっかりとユーザーに届けることができます。このようにお客様に対しストーリーの“映像化”をすることで、当社のサービスをより深く知っていただく機会を設けています。

■自社で声優事務所を運営するメリットとは?

声優事務所を自前で運営することには、大きく分けて3つのメリットがあります。1つ目は、自社で声優を抱えることで他社様に業務依頼をせずに済むことです。2つ目は、新しいコンテンツの立ち上げの際に声優の方々に情報発信していただけることです。3つ目は、自前で育成を行うことでが深い当社理解のうえで活動いただけることです。
例えばコンテンツを立ち上げてヒットさせるためには、タイミングが非常に重要になります。ネットなどで注目が集まってきた時に、声優さんにSNSで宣伝してもらうのが一つの戦略です。ただ他社の声優さんだと企画書を通したりする必要があり好機を逃すかもしれません。自社の声優さんであれば、企画書を立てたりせずにすぐ行動に移せるのでチャンスを掴めます。以上のことから、「響」の運営を自前で行っています。また、広告活動の一環として、当社の商品が販売されているカードゲーム専門店などで講習会やイベントを開催し、当事務所の声優が訪問させていただくことがあります。実際にユーザーとカードゲームの対決など、お客様と声優さんとの直接的なコミュニケーションを図ることで、ユーザーに楽しんでいただく工夫を凝らしています。

■未知の市場-ブルーオーシャンをこじ開ける

当社は新たなIPを0から作り出すだけではなく、かつて盛り上がった他社のIPをもう一度輝かせるプロデュース事業も行っています。その最たるものがプロレス事業です。例えば当社のグループにある「新日本プロレス」は2000年代の総合格闘技ブームの影響もあり全盛期に比べると動員数が低迷していました。そこで、当社はIPディベロッパー戦略を掲げる会社として、プロレス業界、ひいては日本全体を盛り上げていくためにIPプロデュースのノウハウを駆使して「新日本プロレス」をV字回復に導きました。現在も「新日本プロレス」は国内外で年間150大会以上を開催し、日本中、そして世界中の皆様にプロレスの魅力を伝えています。
ブルーオーシャンと呼ばれる市場は、ニッチだったり、日の目を浴びにくいコンテンツが多く、市場として成長するか未知の領域です。そのため、参入には勇気が必要です。しかし、そこでの分析がうまくできれば市場も開拓できて売上の大幅な成長に繋がります。

■若者が発信できる環境へ

当社の市場は、比較的若いユーザーに支持されております。若い方の先見の明がなくては、市場の予測ができません。そのため、当社では若い人にこれからの事業を担っていただきたいと考えており、社内の「若返り」を図っています。私達経営陣は若手が企画等で活躍できるように人事や経営面での職場環境づくりや営業面でサポートしていきたいと考えています。

■大学生へのメッセージ

私から皆様に2つアドバイスをお伝えします。1つ目に、グローバルなスキルを身に付けるよう心掛けてください。今後の国内マーケットは、我が国の社会問題でもある人口減少に伴い減少していくことが予想されます。一方で、世界中のマーケットは開けており、開拓の可能性が十二分にあります。そのため、海外マーケットの動きを見逃さない目を養うこと、それに付随して必要なスキルを身に付けていただければと思います。
2つ目は、専門領域を身に付けることです。これからの社会の動きとして、仕事の内容や成果に値段が付く時代になります。今までは年功序列制度が当たり前でしたが、スキルや能力の持った人材が活躍する成果主義、職能資格制度に変化しつつあります。このような社会の動きをチャンスと捉え、若い皆様は今のうちから資格の勉強をしたり得意なことを伸ばしたり、とにかくさまざまな経験をしてください。1つだけでも専門領域を養うことができれば、これからの将来を実りのあるものにしていけると思います。

学生新聞オンライン2022年10月14日取材 武蔵野大学3年 西山流生 / 國學院大學3年 峯松諒太

東海大学4年 大塚美咲 / 國學院大學3年 峯松諒太 / 武蔵野大学3年 西山流生 / 國學院大學3年 島田大輝 / 中央学院大学4年 田根颯人 / 立教大学4年 須藤覚斗 / 明治大学4年 酒井躍

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