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Archive for 運営スタッフ

経営者

株式会社サマンサグローバル ブランディング&リーサチインスティチュ...

ピンチだなと思ったときが大きなチャンスである ■プロフィール 広島県福山市出身。駒澤大学経営学部卒業。 1991年 海外ブランド輸入代理会社設立 1994年 株式会社サマンサタバサジャパンリミテッド 設立 2019年 代表取締役社長を退任。 2020年 株式会社サマンサグローバルブランディング&リサーチインスティチュート設立 人を喜ばせたいという想いの強い寺田社長。人とのつながりの大切さ、その根本にある「感謝と尊敬」、ピンチをチャンスと捉えることによって生まれる「運と縁」。これらのことを大事にすることで活路が開けるという。その心構えを創業者ならではの視点で語っていただいた。  私の父は広島にある鉄工所の5代目の社長で、非常に格好よく、憧れの人でした。子ども心に会社を継ぎたいと思っていましたが、中学2年の冬に、2つ上の兄が継ぐことを知りました。私はがっかりしましたが、次男なので仕方がないと思い直し、それからは自分で起業しようと思い、一生懸命会社を作るための勉強をしました。 私は次男に生まれて会社を継げないと分かったとき、なんて運が悪いのだろうと思いました。しかし、ピンチだなと思ったときにどうチャンスに変えていくのかが大事です。長男に生まれなかったからこそ今の会社があるのだし、今では父親の会社を継ぐよりも自分の作った会社の方が自分にとって良かったと思っています。ピンチのときこそチャンスであり、チャンスと捉えることで運が開けるのです。 ■会社を作るために何をすればいいのか  大学2年のときですが、起業をするには英語が必要だと感じ、留学を決意しました。しかし、当時は英語を話す機会もなく、人前で英語を話すのは恥ずかしいとさえ感じるような時代でした。そこで中学生に英語を教えることを思い立ちました。塾講師なら生徒に英語を教えながら英語を話すことができますし、文法を基礎から学ぶこともできてとても勉強になりました。 大学3年のときに休学してカナダに留学するのですが、ここでもまたピンチが訪れます。留学の間際に父親が倒れてしまい、自分で留学費用を捻出しなければならなくなったのです。このピンチをチャンスに変えるために、カナダで2つのビジネスを始めました。一つはカナダ人を英会話の先生として日本に派遣するビジネスです。もう一つは、カナダ産の革のジャンパーを日本に輸出し、知り合いの商社が開催する催事で販売するビジネスです。この革ジャンのブランドビジネスは上手くいったのですが、英会話の先生の派遣ビジネスは上手くいきませんでした。人の管理が思うようにいかず、やはり人を扱うビジネスは難しいと実感しました。しかし、この経験から人とのつながりがビジネスを生んでいくのだということを実感しました。 ■仕事をしていく上での大事なこと  その後、大学4年になってもカナダにいることが多く、カナダの毛皮ビジネスも順調でした。このまま会社を立ち上げ、起業しようかと思ったのですが「、こんなに上手くいくわけがない」と思い、考え直しました。 会社経営をするためにも一度会社勤めをしないとサラリーマンの気持ちがわからないと思い、ある商社で2年間働きました。そのときに実感したのは、人は「やりがいがあっても給与が悪いと文句を言う」「プライドがあるほどやりがいがないと文句を言う」「給与が良くてもやりがいがないと文句を言う」ことです。自分が会社を作るときは、やりがいがあり、プライドが持てて、良い給与を出せる、そういう仕事をやりたいなと思いました。 ■ブランドもので起業する  この経験で学んだことを生かして起業するには「ブランド」だと思いました。ブランドといっても、お金がないので車や時計は作れないなと感じていました。また、洋服とは違い、バッグは持っているとどこのブランドかがわかりやすいことにも気づいたのです。そのとき、「バッグが一番作りやすい」と直感的に思いました。 しかし、私はファッション自体わからないし、ファッション系の知り合いは一人もいなく、ピンチだと思いました。当時は雑誌が流行を決める、それをテレビが追いかけるという時代でした。雑誌に取り上げてもらうだけでビジネスとして成り立つくらいの勢いがありました。しかし、雑誌で取り上げてもらうのは至難の業です。それだけ雑誌は敷居が高かったのです。 当時、4人で会社を経営していたのですが、雑誌社に電話をかけることに全員が反対しました。しかし、反対されたことで私はむしろチャンスだと感じました。運良く会ってくれる雑誌社の方がいて、少しずつ関係を築きながらお付き合いをしていくうちに、次に来る流行の情報を教えてくれるようになったのです。仲良くしていただきながら常に心がけていたのは、相手が求めていることを先読みし、行動することでした。人との出会いをいかに活かすかが大切なのです。 ■message ピンチを感じないとチャンスは生まれません。コロナで大変ですが、こういうときだからこそ人と同じことはしない、人がやっていないことをしないと勝つことはできません。今はチャンスの時代なのでピンチを楽しんでチャンスをつかんでほしいと思います。 人間は「~したい」か「~しなきゃ」の2つの感情で動きます。おいしいものを食べたいと思う感情、学校に行かなきゃと思う感情のことです。いやなことでもしないといけないもの、「~しなきゃ」を「~したい」に変えていくことが大切です。そのためには明確な目標と目的をしっかりと持つことです。ここをきちんと決められると半分くらいは目標を達成したようなものではないでしょうか。 学生新聞2021年4月号 日本大学3年 辻内海成

人事

ストラテジー・アンド・コンサルティング株式会社 コンサルティング・タ...

■プロフィール 自動車・モビリティ・運輸・航空宇宙・製造・化学セクターコンサルティングリーダー。国内外で自動車業界を中心に20年以上にわたりコンサルティングの経験を持ち、経営戦略策定、事業構想、マーケット分析、将来動向予測等に従事。2021年より採用担当を兼務。 専門性を駆使し、プロフェッショナルなマインドを持って経営者を支え、クライアントの経営課題を解決する。そして、国籍や性別を越えてダイナミックに連携し、国際的に活躍できる魅力的なファーム。 ■業界の特徴と魅力をお聞かせください  コンサルティングは、第三者的立ち位置や専門性を活かしながら、業界や国をまたいで連携することにより、クライアントの経営課題の解決を生業としています。モノやサービスを世の中に提供するのではなく、弁護士や医師などのプロフェッショナルと同様なマインドを持ち、いわば黒子の立ち位置で経営者を支える仕事です。 その魅力は、SDGsなどの社会アジェンダに真正面からぶつかり、いろいろな人と協力し、解決するダイナミックさです。また、クライアントの経営課題に対し、専門性を駆使し、難易度の高い仕事をやり切ったときのクライアントからの感謝、そして自分がどう世の中に寄与したのかを目の当たりにすることができることが醍醐味です。 ■どのような人材を求めていますか  スキルがあり地頭がいいというだけでなく、業界のために役に立ちたい、より良い社会を作りたいというマインドを持っている学生は魅力的です。そして、クライアントからの高い期待に応え続けるべく、自己を常に成長させなければならないため、成長意欲や物事に取り組む情熱を持つ学生に来て頂きたいです。小さなことでも一歩踏み出し、「こういうふうにやりたい、だから今このような活動をしている」などと、アクションを起こせる学生を希望します。そういう人であれば、就職後も自分自身で成長することができます。 ■御社の魅力について教えてください  弊社は、圧倒的にグローバル化やダイバーシティが浸透しています。業界や国をまたいで仕事をしていく中で、目標を達成するにはいろいろな価値観を持った人材が必要です。そのため、外国人も積極的に採用しており、グローバルとの密な連携とともに、性別、国籍、年齢の違いを感じさせないこと、それが当たり前だと認識していることが私たちの強みです。 ■大学生へのメッセージをお願いします  就職は、人生において大事な意思決定だと思いますが、まずは悔いのないようにやってもらいたいです。コロナ禍という大変な環境ではありますが、それを前向きに捉え、今しかできないことに自ら挑戦してください。我々企業側もそういう姿勢を見ています。 学生新聞2021年4月号  駒澤大学4年 如意太一

DX・WEBマーケティング

株式会社Mizkan MD本部デジタルマーケティング部部長 亀山勝幸

信頼される味を時代のニーズに合わせて発信! ■プロフィール 1972年生まれ。神奈川県出身。法政大学経済学部卒業。1995年3月、株式会社Mizkan入社。1998年より商品企画部門において、食酢・ぽん酢・つゆなど主力カテゴリーのブランド戦略・商品開発を担当。2018年3月、デジタルマーケティング部部長に就任。広告宣伝、デジタルコミュニケーション全般を担当している。 創業1804年、江戸時代後期から続くミツカン。代表的ロングセラーブランド「味ぽん」は、入れ替わりの激しい食品業界の中で、発売から56年経った今でも成長し続けている。既存の価値をどのように新しい価値に繋げ、多くの人に届けるのか。デジタルマーケティング部の亀山部長にその秘訣を伺った。  食品メーカーの魅力は、やはり衣食住の一つということで、多くの人に触れるものを扱っているという点ですね。自分が開発に携わった商品やCMがたくさんの食卓に届くなど、多くの人の暮らしに影響を与えられるところが面白いですね。そのような中で、私が所属するデジタルマーケティング部は、広告・宣伝・PR・広報など「コミュニケーション全般」を担当しており、商品やメニューの魅力をより多くの生活者に伝える役割を担っています。 ■時代を超えて商品を届ける  われわれミツカンは創業216年、江戸時代後期から続いている歴史ある会社なんです。江戸の屋台でお寿司が流行りだしたことをきっかけに、それに合うお酢を愛知県で作り出したことから始まっています。代表的なロングセラー商品として「味ぽん」があるのですが、発売から年が経った現在も売り上げを伸ばしています。当初はお鍋用の調味料として発売したのですが、東日本ではお鍋にぽん酢を使う文化がなく、商品を知ってもらうまでには時間がかかりました。テレビCMなどを活用しながら認知を広めているうちにようやくお鍋用の調味料として定着し、次にどんな使い方があるのかを模索し始めました「。あそこに餃子に使っている人がいる」「焼肉に使っている人もいるらしい「」サンマにもいいんじゃないか」といった形で常に新しい価値を追求し続け、今では多くのお客様に様々な使い方でご使用いただき、長く愛され続ける商品へと成長いたしました。商品の味を変えるだけではなく、どういう使い方、楽しみ方があるのかをうまく伝えていくことで、ロングセラー商品でも伸び続ける。それを可能にするのがわれわれの部署だと思っています。 ■生活者ニーズに合わせた情報発信  情報発信する際に、企業目線ではなく生活者目線で興味関心のある情報を届けることが重要だと考えています。日々の意識変化を捉えるために、オンライン上の検索データやSNSの投稿を分析することで、生活者のニーズをタイムリーに把握することもできます。例えば、2020年には「コロナ太り」や「免疫」といった検索ワードなどをもとに、Twitterでミツカン社員おすすめレシピを配信したところ、高いエンゲージメント率を獲得することができ、フォロワーも一気に増えたことがありました。今では「おうちごはん特集」としてホームページ上で一番閲覧されるコンテンツに成長しています。 また、メディアの特徴も把握してそれに合わせた情報発信も必要と考えています。具体的には、バナー広告などのペイドメディアで認知を広げ、自社のメディアであるオウンドメディアで情報を充実させ、SNSといったアーンドメディアで生活者の方とインタラクションする。SNSはターゲット世代に該当する担当者が運営をして、世界観やコンテンツの内容を作りこんでいて、フォロワー数も順調に伸びている状況です。インタラクションとしては、インスタグラムのストーリーやTwitterのカンバセーショナルカードを使って、お客様へ質問を投げかけ、その回答や意見に沿った情報発信を行っています。双方向的なコミュニケーションをすることで、見ている方も積極的に興味を示してくれます。 ■業界によって異なるデジタルとの相性  食品業界では商品を実際に購入したり料理したりする場の多くがオフラインです。家や車といった購入頻度の低いストック型の商品は、デジタル上で調べ尽くしてから買うなど、お客様の関与度が高いのですが、食品はフロー型なのでデジタル上での関与度が低い傾向にあります。もちろんデジタル活用は重要で今後も不可欠ですが、デジタル活用自体を目的にするのではなく、オンライン・オフラインを切り離さずに、カスタマージャーニーに沿ってコミュニケーションを設計することが重要と考えています。 ■message 私自身が仕事を選ぶ際には「好きなことを選ぶ」ということを強く意識しました。嫌いなことを通じて自分を成長させることは難しいと思うんですよね。自分が何を好きか、何がやりたいかという観点から仕事を選ぶと人生楽しく過ごせるのではないかと思います。また好きなことを一生懸命楽しくやっていると、自然といいご縁が向こうからやってきてくれるように感じています。 学生新聞別冊2021年4月号 国際基督教大学4年 鈴木菜桜

濱穂乃香

株式会社 吉野家ホールディングス 代表取締役社長 河村 泰貴

一生懸命に努力することが 必ず成長につながっていく ■プロフィール 1968年生まれ。大阪府出身。1987年に広島の高校を卒業後、アルバイトを経て1993年吉野家ディー・アンド・シーに入社。2001年、吉野家ディー・アンド・シー企画室グループ企画室に着任。2004年、はなまるへ出向し、経営再建に貢献。2007年、同社代表取締役社長に就任。2012年、吉野家HD社長に就任し、2014年に吉野家の社長を兼務。長期経営ビジョンNEW-BEGINNINGS2025を掲げ、「飲食業の再定義」を進めている。 大学に2度入り2度中退。吉野家でのアルバイトに楽しさを覚えた若者は、正社員となり、吉野家ホールディングスの社長になった。学歴は関係ない、失敗を恐れず、興味があることに一生懸命になれ。価値は「ひと」が生み出す、という河村社長だからこそ語れる大学生へのメッセージとは。  私にとって、大学生になるということは代の自分とその自分を取り巻く環境からのエスケープであって、学業について語れることはあまりありません。ただ、いろんなアルバイトを経験しましたね。引越センターやゴルフ場などで体力勝負になるような仕事が多かったように思います。 さまざまなアルバイトのなかでも、19歳のときにはじめた吉野家のアルバイトにハマりました。そこで尊敬できる大人に出会えたことが私にとって価値のあることでした。また、吉野家は当時時間365日営業でしたが、社員は基本的に1店舗に1人の配置でした。つまり、ほとんどの時間はアルバイトだけで店を回すわけです。そのため、アルバイトでも責任者になれば、自分で考えて効率よく仕事を進めることができて、いろんなことを任せてもらえるようになるのです。任される、ということにやりがいを感じて熱中した結果、大学には行かなくなり、中退してしまいました(笑)。 その後、吉野家ではアルバイト店長が導入されたのですが、そのときに、店長を任せたいと言っていただいて、いろいろ悩んだ末に、そのお話をお引き受けしました。実際に始めてみると、店長の仕事はかなり大変で、2度目に入っていた夜間の大学も忙しくて行けなくなり、結局、中退してしまいました。 吉野家でのアルバイトを続けながら、23 歳くらいになると、ついこの間まで一緒に遊んでいた友達が急にリクルートスーツに身を包み、髪型を整えて、就活生に変わっていくのを目の当たりにして焦り始めました。手に職があるわけでもないですからね。そんなときに正社員にならないかというお話をいただきました。こんな自分を雇ってくれる会社はもう他にはないと思い、入社することにしました。 ■何よりも大事なことは、一生懸命やること  いざ入社式に出てみると、同期になる新入社員はみんな新卒ばかりです。今考えればよいことだったと思えますが、当時は最年長である以上、人の何倍も努力して仕事を早く覚えなくてはいけない、なんでもできて当たり前でないといけない、と焦りました。 それと同時に、アルバイトではなく社員なのだ、と社員として仕事に向き合うスイッチが入るきっかけになりました。私は、「こういうものだから」という言葉がとても嫌いなんです。何事もなぜだろうと考えますし、疑問に思ったことは追求しないと気が済まないタイプです。そのため、すべてのことに一生懸命取り組み、それが習慣になったことがとてもよかったです。 努力しているかどうかって、人の目をごまかせても自分には分かりますよね。だからこそ、自分に嘘をつかないように一生懸命勉強して努力しました。人生で初めてあんなに勉強したんじゃないかな(笑)。私はなんの取柄もないアルバイトでしたが、ありがたいことに、仕事ができるようになると次のチャンスを与えてくれる会社だったので、それが次の成長へとつながりました。 ■「ひと」が価値を生み出す会社になる  私は、「ひと、こそが価値を生み出す源泉」だと考えています。感動的なサービスはロボットにはできません、「ひと」が行うことでその価値を高めることができるのです。一方で、人件費は単にコストとして捉えがちです。しかし、私はコストではなく付加価値だと思っています。この「ひと」を大切にするのは、グループ共通の価値感になっていて、吉野家ホールディングスの魅力だと思っています。 幸せの定義は人それぞれであり、会社は一方的に社員に幸せを提供することはできませんが、当社では、努力する人には成長のための機会が平等に与えられます。だからこそ、学歴は関係がないと思っているので、実力主義を求める方に来てもらいたいですね。逆に、年功序列とかは全くないので安定を望む方には向いていないと思います(笑)。   与えられた機会に、自分がどこまでできるのか、食らいついて生き生きと活躍してほしいですね。さらに、飲食・サービス業は大変だというイメージを、「楽しくやりがいのある」イメージに変えていきたいです。 ■message  大学はブランドとか偏差値とかはまったく関係がなく、学びたいことを学んでほしいですね。興味のあることを深めていってください。そして若い人に希望を持ってほしいです。未来に希望を持って早く大人になりたいと思う社会でありたいと思っています。そうでない社会なのは、我々大人の問題でもあります。ぜひ、社会や未来に希望を持ってください。大人になったらいいことがたくさんありますよ。大失敗することもいいことなんです。今のうちに失敗を恐れず、いろんなことに挑戦して自分で道を切り開いていってほしいです。 学生新聞2021年4月号 東洋大学1年 濱穂乃香

大学理事長・大使館

学校法人神奈川大学理事長・神奈川大学長 兼子良夫

どうやって生きるかを、正しく選択していく力を育てる ■プロフィール 2003年より神奈川大学に勤務。経済学部長、理事を経て、2016年4月より学長に就任。2020年9月より学校法人神奈川大学理事長を兼務。現在、文部科学省大学設置・学校法人審議会特別委員をはじめ、学外の要職を多数務める。 「質実剛健」「積極進取」「中正堅実」の精神に基づき、真の実学を目指す神奈川大学。2021年4月にはみなとみらいキャンパスを開設。国際都市・横浜を知の拠点として、世界に通用する人材育成に力を入れている兼子学長に話を伺った。 ■どんな学生生活を過ごされていましたか  常に自分で考えて行動することを心がけて、学びの日々を過ごしていました。特定非営利活動法人アイセック・ジャパンという団体に所属し、海外の学生が日本で働くことに対する支援と、日本の学生が海外で働くことに対する支援をしていました。スタディツアーで東南アジアの大学を訪問することもあり、学生時代から海外に目を向けていました。 発展途上国の学生と交流する機会が多く、彼らの「自分で国を創っていく」という強い意志に触れることができたのは学びでした「。自分は将来にどんなビジョンがあるのか?「」自分はどう生きていくのか?」と自問自答するきっかけになりました。 ■学問を研究する意味について、教えてください  世界には解決できていない問題があります。私の研究分野である経済学においては、物価高騰、貧困と飢餓、失業問題などです。一人ひとりがより良く生きていける社会にするために、問題解決を目指して世界中の研究者たちが、日々努力しています。 私も「、人々の生活や生存の厳しさを、学問で解決したい」と思い研究の道に進みました。 ■学長としての想いをお聞かせください  私の根底には、「一生懸命頑張る学生をサポートしたい」という想いがあります。学生のみなさんに、学問の叡智をいかに伝えることができるかを常に考えています。 そのために、国際的な大学づくりを目指し、世界標準の高いレベルで研究を行っています。2021年4月に開設するみなとみらいキャンパスはその一環であり、産官学連携の視点においても、双方で啓発し合いながら進める「新しい教育・研究」を実現することができる理想的な環境です。いま本学が積極的に取り組んでいるのは、SDGs17の目標と169のターゲットの達成に向けた研究・教育の推進です。持続可能な社会をつくるために、高等教育機関として研究活動や教育活動を通じ、地球規模の課題に対して、さまざまな側面から解決策を見つけることに大きな責任を持っています。イギリスのタイムズ・ハイヤー・エデュケーション(THE)が発表した、SDGsを軸とした世界の大学の社会貢献度を測るTHEUni-versityImpactRanking2020にて、本学は指標となる全SDGでランクインしました。全SDGにランクインした日本の私立大学は校のみです。日本の主要大学の一つとして、一層SDGsへの取り組みを強化してまいります。 ■どんな学生が社会に求められていくと思いますか  資本主義社会の未来は、誰にも分からない、不確実で予測不可能なものです。分かっているのは、いまの概念は通用しなくなる、ということです。社会が激しく変化する時代にあって、その場に合わせて臨機応変に行動できる対応力や、グローバルに活躍できる力が必要不可欠です。「あの企業に入りたい」ではなく、「どうやって生きるか」を常に考え、正しく選択できる能力を磨いてほしいと思っています。 本学卒業生には、世界的企業で活躍している人や、官公庁でも重責を担っている人がたくさんいます。本学で学んだ学生が社会に出て、一生懸命頑張っている姿を見ると胸が熱くなりますね。 ■大学生へのメッセージをお願いします  新型コロナウイルス感染症の流行で厳しい状況が続いていますが、これをむしろチャンスと捉えていくことが大切です。本学でも、オンラインを活用し約180の海外協定校との交流を活かして連携をはかり、教育内容の幅を広げることで、頑張る学生をバックアップしています。 未来に向かって希望を忘れずに前に進み続けてほしいです。苦しい状況を一緒に乗り越えていきましょう! 学生新聞2021年4月号 明治学院大学3年 小嶋櫻子

DX・WEBマーケティング

株式会社ロッテ ロッテノベーション本部マーケティング部デジタル担当部...

お客様をファンに。デジタルメディアをさらに活用 ■プロフィール 早稲田大学社会科学部卒業後、株式会社ロッテへ入社。営業として卸店やスーパーマーケットの本部を担当したのち、リテールサポート部門、商品開発部などを経て、2016年より自社オンラインショップの実務責任者を担当。2019年11月より現職にて自社オンラインショップはじめホームページやファンサイトなどのオウンドメディアを統括。 「お口の恋人ロッテ」というキャッチコピーを耳にしたことがない人はいないだろう。「Ghana」「爽」「雪見だいふく」「XYLITOL」など、ヒット商品に枚挙の暇はない。また、ロッテといえばプロ野球千葉ロッテマリーンズを想起する人も多いはず。そんな大企業ロッテにおいて、デジタルマーケティングを担当している宮内さんに話を伺った。  われわれは、主にオウンドメディアやオンラインショップの企画・マネジメントを担当しています。もともとホームページは宣伝部の管轄だったのですが、オウンドメディアを連動して運用する事を目的にロッテlandやロッテオンラインショップとともに、現在はわれわれの担当で運用を行っています。 お菓子業界に特徴的なのは、「商品名と会社名が意外と一致しない」という点です。例えば「コアラのマーチ」などはCMソングで「ロッテコアラのマーチ」と歌っているので一致しやすいのですが、その他の商品に関しては、皆さん、「これはロッテの商品だ」という意識はあまりないのではないでしょうか。このような点を考えると、まずはロッテという会社の製品だという認知を持っていただくというよりは、各ブランド(商品名)に対して愛着を持っていただき、ロイヤリティーを高めるしかありません。その一環として弊社では、単純に商品情報を出すだけでなく、例えばオウンドメディア内にて各商品をモチーフにしたゲームを作ったり、お菓子の空き箱で工作をする企画を行うことで、商品への接点と増やしてもらい、結果としてロイヤリティーを高めてもらえるような施策を行っています。 ■お客様にアプローチする方法の変数が増大  昔の広告は、テレビやラジオ、雑誌や看板が中心でしたが、昨今では動画投稿サイトやホームページ、アプリに加えて、各種文字ベースのメディア等、露出箇所が際限なく広がってきています。そのため、それぞれの広告の効果を追って分析することが非常に難しくなっています。オンラインでやり取りの完結する商品の場合は分析できる点もあるのですが、お菓子というのは基本的にオフラインでご購入いただくものですので、このあたりは本当に難しいですね。 ただ、今後デジタルメディアの活用でできることは少なくありません。例えば、弊社の公式LINEの登録者は1200万人を超えていますし、各ブランドのSNS登録者数も順調に伸びてきています。こうしてSNSアカウントを通じて「どうファンにできるか」という取り組みがとてもしやすくなります。これはお菓子という商品の特性上、とても重要なことなんです。例えば家電などでは、事前にしっかりと下調べをして、あれこれ悩んで最後に「よし、これだ」というものを購入しますが、お菓子の場合は、ふらっとコンビニやスーパーに入って、たまたま目に入ったものを手にとる、いわば衝動的な購買が非常に多いですよね。ですから、その回の衝動的な行動の際に弊社の商品を思い出してもらえるかが大切だと考えています。 ■ヒット商品を育てる難しさ  昨今特に、ロングセラー商品は作りにくくなってきています「。ロングセラー商品はこうやって作ります」と答えられたらかっこいいんですけど、知っている人がいるなら教えてほしいというのがホンネです(笑)。ですが、弊社に限らず、各メーカーの稼ぎ頭は何十年選手の商品ですので、やはりどのメーカーもロングセラー商品を育てたくてほしくてうずうずしていると思います。 お菓子業界に限らず、ヒット商品を作るのが難しい理由のひとつは、面白い広告が必ずしも購買に繋がる訳ではないからです。どんなに面白い企画を打ってSNSでバズっても、どんなに豪華なキャストを用意してCMを打っても、それを見て「あ、これ買いに行こう」とならなきゃ意味がない。そして残酷なことに、莫大なお金をかけたCMでも、見た翌日までそれを覚えている方はほんの一握りです。これは本当に難しいところですね。 ■message  私たちは、デジタルの広告とアナログの広告(リアルの広告)とを分断して考えてはいません。それは、お客様がそれらの広告をデジタルかアナログかでは意識していないからです。そして、そんな中でデジタルの分野で大活躍するのが、何を隠そう皆さんのような世代の方々です。今の若い方々は、「デジタルネイティブ」と呼ばれ、デジタルを何の気なしに使いこなしています。そのような方々が主導して取り組みをしないと、これからはお客様たちへの訴求できないと思うんです。あの台湾の、天才と呼ばれるデジタル担当大臣オードリー・タンさんでさえ、「新しい事に対しては若い人には敵わない」とおっしゃっているくらいですから。柔軟なアイディアや発想、型にはまらない考え方。若さゆえに持ち合わせているものを武器にして、挑戦をしてください。 学生新聞別冊2021年4月号 慶應義塾大学4年 小川淑生

伊東美優

株式会社ファンケル 代表取締役社長執行役員 CEO 島田 和幸

お客様との絆を大切に、世界中にもっと喜びと笑顔を ■プロフィール 1955年生まれ。広島県出身。1979年、同志社大学法学部卒業。株式会社ダイエー入社。1993年から、8年間創業者の中内功氏(故人)の秘書を務める。その後、株式会社マルエツを経て2003年、株式会社ファンケル入社。2007年、取締役。2015年、取締役専務執行役員を経て、2017年4月から、代表取締役社長執行役員CEOに就任 創業以来、安心・安全にこだわった独自の商品開発により、無添加化粧品やサプリメントなど、多くのお客様から支持を得ているファンケル。このコロナ禍で大きな打撃を受けながらも新たな発見があったと語る島田社長。ファンケル独自の強みとは何か、今後の目指す姿について話を伺った。  大学生時代は混声合唱団に所属し、 年間ひたすら歌を歌っていました。今でも時間があるときに、学生合唱団の映像を見て楽しんだりしてます。勉強はあまりやってこなかったのですが、唯一語学は 年間頑張って勉強しました。とにかくサークル活動などを楽しんでいたので、大学4年生のときは、就活への不安で苦しかったのを覚えています。自分は何をしたいのか、どんな仕事が向いているのかを慌てて考えていましたね。ただ、当時は高度経済成長期で、流通業が牽引する時代でした。いろいろな業界を見ていく中で、私もこの業界で日本を豊かにしたいと思うようになりました。その結果、卒業後は小売企業の中でトップだった株式会社ダイエーに入社することになったのです。 ■チェーンストア業界での経験  ダイエーに入社して以降8年の間、私は社長秘書を務めることになりました。そこでお世話になったのが、ダイエーの創業者であり当時社長であった中内功氏 ( 故人 ) です。 中内さんは一言でいうと、本 当に怖い人でした。そして、 とんでもなく凄い人。彼は戦後アメリカでチェーンストア が発展していることを知り、 日本でも誰もが食べたいだけ食べられるような豊かな世の中にしたいという思いから、チェーンストアを興した第一人者です。私はあくまで秘書でしたので、中内さんと深い付き合いがあったわけではないのですが、近くで仕事ぶりを見ていて尊敬とはまた違った畏敬のような感情を抱いていました。そして、そのような業界に身を置いて一番感じたことは、やはり産業構造の変化の速さです。デパートメントストア三越を売上で抜いて小売業界トップに躍り出て、日本一の流通グループとなったあのダイエーが、年代後半から一気に業績が落ちていったのです。栄枯盛衰と言いましょうか、時代の流れは我々の想像を遥かに超えて早く、未来は予測不可能だと思い知りました。 ■コロナ禍を経て気づいたこと  このような経験を経て、2003年に新たに入社したのが株式会社ファンケルです。創業者の池森に社長になることを勧められたときは、ある程度自分の中で覚悟がありましたが、やはりプレッシャーは大きかったです。ただ、会社や社員、お客様のためにやるべきこと、そして果たすべき責任があるからこそ、人はやりがいを感じると思うのです。 この新型コロナウイルスによって、当社も大きな打撃を受けました。私が社長に就任してから右肩上がりで伸びていた売上も、昨年大幅に減ってしまいました。ただ、この状況下において全てがマイナスかというとそうではありません。その一つが「こんなときだからこそ頑張ろう」と、より社員との関係が深まったことです。やはり社員が元気でなければいい商品は開発できないし、お客様に喜んでいただくことも不可能だと思います。だからこそ、私たちのモットーは社員みんなで仲良く。ありきたりな言葉ですが、昨年は同じ目標に向かって頑張る仲間たちをより一層大切に感じることができました。そしてもう一つがお客様からのメッセージです。社員一人一人の気持ちが沈んでいるときにお客様から感謝の言葉をいただいたり、中には体の心配をしてくださったりなど、メッセージ一つひとつが私たちの心の支えになりました。おかげでこのコロナ禍でも、踏ん張って今は耐えようと前向きな気持ちになれました。 ■お客様の「不」の解決が原点  当社のような商品を扱う企業はたくさんありますが、他社とは価値観が違います。当社は創業当時、化粧品公害という大きな社会問題を解決するために起業したという経緯があり、「安心・安全」にこだわり続けています。商品開発にも力を入れており、無添加化粧品やサプリメントなど、素材や鮮度の追及を重ねた商品の数々が私たちの強みです。どんなに世の中が変わろうとも、私たちはお客様の「不」を解消するという創業当時からの原点を貫き、新たな課題を解決していきます。お客様に喜んでいただくことを常に考え、挑戦し続けることが重要です。 このコロナ禍は会社としても個人としても、足元を見つめる良い機会でした。そしてこれからもお客様との絆を深めていくことの大切さを実感しました。今後はデジタル化をさらに進めて今よりもっとお客様とつながること、独自性の高い商品をどんどん開発していくことを考えています。そして今後は中国を中心に、さらに海外で売り上げを伸ばしていきたいと思っています。日本から世界にフィールドを広げて、より多くの人々の「不」の解消に貢献していきます。 ■message  昔は60歳過ぎれば定年だったのですが、今では70歳まで働かないとやっていけない時代に変化しつつあります。だからこそ確実に言えることは、一つのキャリアで一生涯生きていくことは不可能だということ。学生の皆さんもどんなときでも学び続けください。 学生新聞2021年4月号 慶應義塾大学1年 伊東美優

芸能人

倖田來未 人生に無駄はなく、やってきたことは間違いではなかった

■プロフィール 1982年、京都府に生まれる。デビュー20周年を迎えるが、デビュー当時のスタイルとパフォーマンス力を現在でも維持し続けている。常に新しいことに挑戦し、多くのファンに愛され支持されている。2020年9月、徹底したコロナ感染予防対策の上、アリーナツアーを開催し、ファンを魅了。  小学校4年生のときから「歌手になりたい」という夢を持ってオーディションを受け始め、高校年生の夏にエイベックスに合格しました。しかし、デビューが確約されていなかった中で一年間レッスンを受け、やっとデビューできたのですが、“倖田來未”という人間をなかなか見てもらえず、会社の期待にも応えられませんでした。自分はデビューを目標に頑張ってきたのですが、デビューしてからがスタートだと気づかされ、そこからはもっと努力しないと周りのアーティストさんと並べない、勝てないのだと痛感しました。 ■自分には何があるだろう?自分の正解を見つける難しさ  デビューしてからは“倖田來未”という人間の正解を探す旅となります。人の背中を押せるような曲を届けたいと思って楽曲作りをしていたのですが、なかなかヒットに恵まれませんでした。そこで、まずは気づいてもらうことが大事だと思い、「人がやっていないことをやろう!」と、当時、周りにはいなかったセクシーなファッションをしたところ、多くの人に知ってもらえるようになりました。しかし、次はファッションで注目される“キューティーハニー”のような存在から歌手の“倖田來未”にならないといけません。歌を聴いてもらいたいのにファッションアイコンが一人歩きするのです。そこで次はメッセージ性のある曲を歌って歌手だということに気づいてもらうことにしました。音楽業界には正解というものがありません。自分自身で正解を見つけるのが大変でした。 私は大人も子どもも楽しめるエンターテイメントを作りたいと思っています。エンターテイメントは夢を与えられる仕事であるだけに自分自身が夢を忘れず、お金では買えない価値を届けたいと思っています。これをやったらお金がかかるな、などと現実的なことばかり考えていると夢はなかなか語れません。いくつになっても子ども心に戻って楽しんでもらえるものをと思っています。 ■message  いろいろ経験することが大切だと思います、恋も仕事も。そうすることで「自分ってこれが好きなんだ」という発見につながります。でもそれは一歩踏み出さないと始まらないです。いつもと同じルーティンでいると何も変わりません。やったことのないことをやってみる。そして自分の勘を大切に、自分を信じて進んでほしいと思います。 学生新聞2021年4月号 大阪教育大学4年 清水悦子

DX・WEBマーケティング

カルビー株式会社 マーケティング本部デジタルマーケティング担当マネー...

デジタルならではのコミュニケーションを探る挑戦 ■プロフィール 大学卒業後、SIerにて通信やウェブシステムの設計、構築に従事。その後ナビゲーションサービスの運営会社にて、大規模なデータベースや検索エンジン、音声操作UI等の開発をリード。2017年5月にカルビー株式会社に入社。事業開発本部にてアンテナショップ等のデジタル化を推進。2019年4月よりデジタルマーケティングを担当。 ポテトチップスの国内シェア7割を誇り、スナックフードのリーディングカンパニーであるカルビー。そのカルビーのマーケティング部門に在籍している関口さんに、デジタルマーケティングの役割やお菓子業界ならではの取り組み、消費者との関係性構築についてお話を伺った。  私は前職までずっとIT業界にいました。しかしIT、特にソフトウェアやサービスは有形のモノを作ることはできません。もっと人の本質に近いところで仕事をしたいと考えて、食品業界へ転職しました。なぜカルビーを選んだか?カルビーには新しいことにチャレンジできる風土があることが大きかったですね。 新しい商品やサービスを作ったりするには、なんといってもお客様に寄り添い、お客様を知ることが大切です。当社のお客様相談室にお寄せいただく声のなかから、商品開発につながることも少なくありません。 ■デジタルの仕組みで何を実現するのか  当社はスナックフードを中心とした会社です。商品は店頭で実際に手に取って購買されるものですから、お客様との最大の接点は売り場です。そして商品のパッケージが重要な要素のひとつです。デジタルで単発的に広告を出すことによって、消費者の行動変容まで結びつけるのは相当難しいと考えていますし、お客様が望んでいるとも思えません。 デジタルマーケティングというと、広告の展開や検索順位という点に注目が集まりやすいのですが、われわれはそれだけを追い求めることはしません。 広告をするための手法ではなく、お客様のことをどのように知るのか、お客様にわれわれのメッセージをどう届けることでファンになってもらうか。お客様との距離を縮めるための仕組みに、デジタルの仕組みを使えないか、という考え方です。 ■お客様をより知るためにアプリやSNSを活用  当社では、2020年9月にスマホアプリを公開しました。食べ終わった商品のパッケージを特定の方法で折り、写真撮影することで、ポイントがもらえる仕組みです。そのポイントを貯めて、工場見学などの体験賞品に応募できます。環境のことを考えながらお客様と一緒につくりあげていくアプリになっています。 そして購入した商品をお客様が登録するため、どのような商品を手に取られたかもわかるようになりました。従来、小売店までに留まっていたデータが、われわれメーカーも活用できるようになったのです。これは大きな一歩です。 ■お客様への提案も大切な要素  カルビーにはロングセラーブランドの「ポテトチップス」や「サッポロポテト」、「かっぱえびせん」があります。どれも皆さんがご存じの商品だと思います。ご両親がお子さんのために購入するのは「かっぱえびせん」や「サッポロポテト」が多いと聞きます。一方で学生の皆さんがコンビニで手に取るのは何でしょうか。恐らくこの2つのブランドを選ぶ方は少ないのではないでしょうか。 子どものころから食べ慣れて親しんだスナックであるにも関わらず、いつの日か遠のいてしまう。でもまたライフステージが変わると戻ってきていただける。とても面白いブランドだと思います。 喫食タイミングや場所、シーンによって選ばれるお菓子は変わります。そのシーンとわれわれが提案する商品のイメージがうまくマッチして、お客様の記憶に残っているときに購買につながります。われわれがお客様を理解せずしてその提案ができるとは思えませんし、その理解のためにSNSも有用です。無理にブームを起こそうとしたりせず、また作り手の押し付けにならないようなコミュニケーションが理想です。 何よりもお客様に楽しんでいただきたいですし、運営するわれわれも楽しみたい。バランスが大事ですね。 ■Message  社会では、ときに自分の希望とは異なるタスクに出会うこともあります。そのような場面でも、きちんと取り組むと、やりたい仕事に対峙した際に活用できる発想力を養うことができます。本当にやりたい仕事が出てきたときに活かせるよう、実力をためておく姿勢を大事にしてください。 また、大学生活ならではの経験や知識を蓄えましょう。何より考えること、気づくことが大切です。 学生新聞別冊2021年4月号 駒澤大学4年 安齋英希

経営者

大塚食品株式会社代表取締役社長 白石耕一

「おいしさ+α」にこだわり続け、健康の先にある幸せ・喜びに貢献する ■プロフィール 1968年福岡県生まれ。1990年大塚製薬株式会社入社。2005年、韓国東亜大塚株式会社マーケティング担当理事(出向)。2014年、大塚製薬株式会社ニュートラシューティカルズ事業部広島支店支店長。2017年、同事業部製品部長。2020年3月、大塚食品株式会社代表取締役社長に就任。 世界初のレトルト食品“ボンカレー”や大豆ミートを使用した“ゼロミート”など、常に食品業界にイノベーションを起こしてきた大塚食品。健康や環境など、「おいしさ+α」を追求し続ける姿勢はすばらしく、それをさらに極めようとする白石社長の展望を伺った。  体育会で野球ばかりしていた学生時代でした。プロを目指していたのですが、結局、そこまでの実力はなく、大学3年生のときに就職を考え始めました。受けたのはものづくり企業ばかりですが、それはアイデアをすぐに形にできると思ったからです。それと平行して当時は獣医になりたいという思いもありました。動物行動学などは図書館に行って自分で勉強しました。そこで得た学びは今でも生きています。実は、人間も動物も行動の理由はほとんど変わりません。 獣医になりたいと思って読んだ本は今でも鮮明に覚えています。いろいろなものに興味を持って、一生懸命それに向かっていました。そうして見聞を広げることで知識も深まり、話題も多くなっていきました。興味の湧いたことを、その根拠にたどり着くまで好奇心を持って深掘りしていく。そうやって表面的ではないインプットができれば、自然とアウトプットもできるようになっていきます。 ■理不尽さは前向きに、失敗は深く掘り下げる  1990年、大塚製薬に入社しました。大塚は身の回りにたくさんの製品が存在する企業なので、街で自社製品を持っている人を見かけるとすごく嬉しいものです。製品を通じて人々が喜んでくれる。そこに関われているということにとても満足感がありました。 入社後は営業に明け暮れていましたが、中でも今の自分の考え方に影響を与えているのは韓国への出向経験です。言葉も文化も違う中で、同じ人間同士、共に仕事をしていく。そこにはさまざまなコミュニケーションの形がありました。言葉が通じないので、表情や仕草で相手の気持ちを読み取るしかなく、苦労しました。それ以来、人と話すときには言葉以上のものを感じ取れるようになりました。それと同時に、改めて「大切なのは人だ」と強く認識することができました。組織はやはり人です。人で作られるものです。 そうした経験を経て、大塚食品に来ました。苦労はたくさんありましたが、常にポジティブに考え、理不尽なことがあってもこれはゲームなのだと思うようにしていました。失敗したときは周りのせいにせず、自分に原因があるのだと考えて、その理由を深く掘り下げる。そうすることで失敗を成長の糧にしてきました。 ■「おいしさ+α」で必要とされる製品を  食品会社なので、おいしく作るのは当たり前です。おいしさ以外にどんな良さがあるのかが大切で、われわれはその良さをきちんとした根拠に基づいて説明できる製品づくりをしています。 弊社製品の原材料名は裏面を見ていただければわかると思いますが、添加物は極力使っていません。また、一般的なレトルト食品では事前に処理された冷凍野菜を使うことが多いのですが、ボンカレーは違います。生の国産野菜を使い、手作業で皮をむいたり、芽取りをするなどしています。それはお母さんの手作りの味をコンセプトに製造しており、より深く健康にこだわった製品づくりをしているからです。 さらにこだわりは健康だけではありません。たとえば、ミネラルウォーターの「クリスタルガイザー」ですが、キャップはどうしてあのような薄い形をしているのかわかりますか?薄くすることでプラスチックの使用量が激減するからです。ビンやカンに比べ、プラスチックは環境への負荷が大きい。今後はペットボトル自体も再生樹脂に変えていこうとしています。おいしいのは食品企業として当たり前です。それ以上に、どのような+αの貢献ができるのかを常に考えています。 われわれは生活者である皆様のお役に立ちたい。この製品がないと困る、必要だと言われたいと思っています。今は日本国内がメインですが、将来はアジア、さらに世界へと活躍の場を広げていきたいです。世界の人たちの健康にこのブランドを通して応えていきたいと思っております。そして社員みんなに幸せになってほしいですね。 ■人間力のある人と一緒に働きたい  一緒に働きたいと思うのは、まずは大塚食品を好きだと思ってくれる人ですね。私自身大塚の製品が好きで、日々自分で食べたり飲んだりしていますが、改良点などはそうやって製品と接する中で見えてくるものです。だから、会社を好きなことが一番なのです。それと同時に、コミュニケーション能力があり、考え方がポジティブな方。そのような方は、誰からも魅力的だなと感じてもらえると思います。 ■message  興味のあることは、その根拠にたどり着くまで深掘りしてほしいですね。勉強だけではなく、あらゆることに好奇心を持って、後悔しないように全力で取り組んでほしいと思います。学生時代はそれができる時間も環境もあります。音楽、読書、スポーツ観戦など何でもいいのでとにかくいろいろなものに触れて、興味が出たものは深掘りする。「なんで?」という視点で考えてみて、疑問点を追求していく。そういった経験や知識が心の引き出しを増やしていって、人間力につながっていくのだと思います。 学生新聞2021年4月号 慶應義塾大学1年 宮田峻輔

経営者

ニチコン株式会社  代表取締役社長(COO) 吉田茂雄

みんなで喜びを分かち合い、成長できる企業に ■プロフィール 関西大学卒業。ニチコン株式会社に入社後、シンガポールや香港など海外での駐在を経て、2009年取締役執行役員、2013年6月に代表取締役社長に就任。電子・電気機器に欠かせないコンデンサや、蓄電システム、V2Hシステム、EV・PHV用急速充電器などエネルギー・環境関連ビジネスを展開中。  私は商店街の真ん中で育ったので自然と商学部を選んだのですが、当時は何を学びたいのかはっきりしていませんでした。友達の誘いで入ったクラブ活動の会計学研究会では、結果としてゼミの選択や社会人スタートのきっかけとなりましたが、今では論文発表会、合宿の企画で苦労したことやクラブ伝統のアルバイトをしたことがなつかしいです。 ニチコンを知ったきっかけは、就職活動の終盤にゼミへ卒業生がリクルートにきたことで、そこからすぐに会社訪問、即面接でした。当時はPCやCDなど新しいものが次々と発売されていた時代でした。私はモノづくりに関わる仕事をしたいと思っていて、電気や電子にも興味があり、入社を決めました。友達やゼミの教授、会社の先輩とのつながりでこの会社に出会えたので、人とのつながりは非常に大切だと思います。 ■仕事で目指すものは何ですか  製品を通して社会に貢献し、世の中で認められることが一番嬉しいです。会社では上司も部下も同じチームで働いているので、成果が出て「いい会社だね」と言われると従業員全員で喜びを分かち合えます。だから、どのようにチームを成功に導き、社会とつながるかを常に考えています。今後も最先端の製品を出し続け、「ニチコンは次に何を出してくるのかな」と楽しみにしてもらえるような会社にしたいです。 また、思いを共有できる仲間と一緒に働きたいと思っています。私自身、武田会長の『誠心誠意』『今日を真剣に生きる』という言葉やその実行力に感銘を受け、そのような会長が憧れでもありました。だから、決して諦めない、という強い思いを持った積極的な人を求めています。 ■message  いろいろな人や文化と接点を持ち、たくさんの経験をしてほしいです。一つの分野にこだわらず、文学や音楽などさまざまな分野に興味を持ってください。親や教授、先輩から話を聞くのもひとつだし、本を読むのも良いです。そして、知ったことを皆で話し合い、意見をぶつけ合ってください。自分と他人との違いを知り、新しい発想を学ぶことで、さまざまな角度から話ができるようになります。自分にできることを探して、決して諦めないでください。そして自分の信じることにチャレンジし続けてください。 学生新聞2021年4月号 京都府立大学2年鵜川紗和子

DX・WEBマーケティング

株式会社ディー・エヌ・エーゲーム事業本部マーケティング統括部UXブース...

テクノロジー×クリエイティブで広告効果を最大化 ■プロフィール 2009年に株式会社ディー・エヌ・エーに新卒入社。2012年からマーケティング領域に従事し、アプリマーケティングの立ち上げ、様々なゲーム/エンタメアプリのデジタルマーケティング担当を経て、2016年よりゲーム領域のデジタルマーケティング責任者に。2020年より現職。 ゲームや動画配信などのエンターテイメント事業と、ヘルスケアやオートモーティブなど社会課題を解決する事業を行い、2つの領域で事業を展開しているDeNA。どのようにターゲットにメッセージを伝えし、浸透させていくのか、ゲーム領域のマーケティングのマネージャーである川口さんにデジタルマーケティングについて伺った。  DeNAのデジタルマーケティングでは集客を目的としたスマートフォンの広告出稿をメインの業務としています。具体的には、アプリの新規ダウンロードを目的に、Face-bookやTwitter、YouTubeなどの大規模メディアの運用広告を活用しています。運用広告では、広告経由のダウンロード数やそこから生み出された売上などの数値をリアルタイムに把握することができるので、効果を見ながらターゲティングや広告クリエイティブを都度調整しながら効果を最大化させていっています。  デジタルマーケティングの仕事の魅力は、PDCA(plan-do-check-act)サイクルが短く、仮説検証を大量に繰り返せることと、大規模メディアの技術力により広告自体の進化が非常に速いことだと思います。また、媒体社や広告代理店など社外の方と話すことが多く、社外の様々な方と議論しながら仕事ができることも魅力の一つです。 ■広告は目的に合わせて使い分け  デジタルマーケティングとテレビCMなどのマスマーケティングはそれぞれ特徴が違うため、DeNAではどちらも重要視しています。例えば、テレビCMは幅広いターゲットに伝えることができるので、1周年企画などの大規模出稿の際に展開することが多く、デジタルマーケティングはターゲティングを細かくできて少額からでも配信可能なので定常的な施策として利用するなど、デジタルとマスをマーケティング戦略に沿って使い分けています。   ただしデジタルマーケティングにおいても、やはりどういった広告クリエイティブを出すか、「いかにユーザーの心を動かすか」といったエモーショナルな部分も大きく効果に影響するので非常に大事にしています。 ■「伝わる」方法をきめ細やかに模索する  広告以外にもLINEアカウントやプッシュ通知などにも多くの工夫を凝らします。伝えたい内容を小さな画像や短い文章でどう適格に表現するか試行錯誤しますし、通知を送るタイミングも議論を重ねます。例えば、スマートフォンの画面に表示される画像領域や文字数を意識して画像やテキストを作り、複数の候補の効果を比較してよりよいものにどんどんブラッシュアップしていきます。 また、通知タイミングに関しては、通知を見てもらえなければ意味がないので、ユーザーの方の生活を想像して「日中は仕事だから、時以降、でもそのタイミングは各社狙うゴールデンタイムで通知が集中してしまい結果見てもらえないのでは?じゃあ、18時59分にしようか」などと試行錯誤を繰り返すイメージです。 ■生き続けるDeNAQuality  私の就職活動時代、DeNAは若い人にも裁量権があり、いろんなバックグラウンドを持つ人が多く、ここに入ったら楽しく働けそう、成長できそうと感じたので入社を決めたのですが、若い人にも裁量がある組織である理由として、DeNAQualityという行動指針が浸透しているからだと思います。DeNAQualityの一つに、役職にかかわらず、しっかりと自分の考えを示す「発言責任」があります。新入社員だったとしても、相手が先輩や上司であることを理由に遠慮して発言しないことをよしとせず、自身の意見を発信することを求められます。 このDeNAQualityが、組織の規模が拡大していっても守られてきたことが、現に若い人の裁量権があることに繋がっていると感じています。 ■message  学生時代は学生時代しかできないことをやってほしいと思います。例えば飲食店でアルバイトするとか、いろいろなところに旅行にいくとか。そういった経験が社会人になったあとにユーザー理解という文脈で生きてくることも多いと思います。  社会人になってからは、どんな仕事でもまずは必死にやってみることをおすすめしたいです。仮に今の自分がやりたいと思っている仕事じゃなかったとしても、そこから得られるスキルは必ずあります。また、必死にやることで自分に向いている仕事や自分のやりたい仕事の解像度があがっていくと思うので、是非そういったマインドで社会人になってもらえると良いな、と思っています。 学生新聞別冊2021年4月号 横浜市立大学3年 小熊結菜

安齋英希

株式会社プレミアムウォーターホールディングス代表取締役社長 萩尾陽平

日本のおいしい水を世界へ届ける 1978年福岡県生まれ。高校卒業後、アメリカの大学へ留学。大学院進学を前に一時休学し、23歳でエフエルシーグループの前身となる会社を起業。2004年、株式会社エフエルシー設立。2016年、経営統合により株式会社プレミアムウォーターホールディングスの代表取締役社長に就任。趣味はトライアスロン、ゴルフ、水泳。 保有契約件数115万件を突破、業界シェアNo.1を誇る、プレミアムウォーターHD。ユニークな生き方や考え方を持ち、営業一筋で走り続ける萩尾社長。世界一と言われる国の経済・歴史を現地で体感し、皮膚感覚でつかむ社長だからこそ伝えられる、社会で大切なことは何かを伺った。  高校卒業後、すぐにアメリカの大学に進学したのですが、ネイティブと比べると語学力にかなり差があり、授業内容を理解するだけでも苦労しました。私は18歳の頃から、なぜこの国の経済が強いのかなどを考えることに興味があり、若いうちにアメリカに行き世界一の場所を肌で感じたいと思っていました。 当時、現地で感じたことや経験したことが、いま会社を経営する際の会社をどう強くしていくかや組織論に活かされていると感じます。国の歴史を学び、国がどう強くなってきたかは、会社をどう大きくしていくかと共通していると思うからです。 在学中に医学を志し、大学院を目指しましたが、親の収入だけでは学費が足りず、1年休学し日本へ一時帰国しました。そして資金を貯め、アメリカへ戻ろうと思いました。 日本では朝から晩までアルバイトに励み、歳の時に独立し、いまの前身である会社を作りました。会社が成長していくにつれ、結果が出ることに喜びを感じ、アメリカには戻らない選択をしました。 当時の仲間と何気ない会話から上場しようと決めましたが、調べるうちに1つの商材だけでは上場できないことがわかり、取り扱う商品を増やそうと考え、そのときに出会ったのがウォーターサーバーです。サーバー販売は、アウトバウンド営業で獲得したわりには他商材と比べ解約率が非常に低く、需要と供給のバランスが合う商品だと気づきました。また、自社の営業力で差別化が図れるビジネスモデルであったため、急速にウォーターサーバーのビジネスにのめり込んでいきました。はじめは代理店という形で、さまざまな会社のウォーターサーバーを販売し、その後、より良い製品を販売したいという気持ちから、メーカーにオリジナルブランドを製造してもらう「OEM」という形をスタートさせましたが、せっかく販売するのであれば、自社で工場を持つメーカーになりたいという気持ちが日々高まってきました。当時、国内最大の天然水の品質と生産能力を持ったウォーターダイレクト社と、国内最大の営業力を有する弊社が統合することで、さらに業界のシェアを拡大することができると思い、現在のプレミアムウォーターホールディングスが誕生しました。 ■会社の価値を最大化させるのが一番のやりがい  水は「安心・安全・おいしい」が重視されますが、安心・安全な水だけでは差別化は図れません。私たちは、ユーザーを増やすことで水源を増やし、製造コストを下げ、配送効率を上げることで、業界での優位性を創出しています。開発からアフターサービスまで一貫して手掛けることができるからこそ、より魅力的な商品・サービスを提供できると感じます。とはいえ、日本でのウォーターサーバーの普及率は、業界全体でも8パーセントほどです。まだまだ成長できる環境はありますので、自社で20パーセントまで伸ばし、1000万ユーザーを目指したいと考えています。 上場しているため、会社への投資をどれだけ最大化できるかに尽きると思います。株価をあげることも大事ですが、企業価値の最大化が一番の責任であり、そこにやりがいを感じます。 ■共感できて自分の道標がはっきりしている人  一緒に働きたいと考えるのは、『自社の活動を通じて人々の生活を豊かにし、そして世界で一番愛される会社へ』というビジョン、『社会的意義を果たし、地方創生を実現する』というミッション、弊社をもっとも象徴させる『自由と責任』というPWHDスタイルに共感できる人です。 雇われているという感覚ではなく、自分自身を成長させ、自分の価値を高めることで高給と好待遇を常に求めていける人材が集まってくれたら嬉しいと思います。 従業員持株会も、自分の頑張りが会社の企業価値に繋がっていると感じられることが大切です。社員が会社に投資したいと思える会社にしていかないといけません。みんなの努力の結果が株価に現れ、結果として社員の資産を増やすことができれば、皆の人生がより良いものになっていくと思います。 私自身はアポイントがあるときにだけ出社し、予定を入れすぎないようにしています。時間に追われるのではなく、経営においては考え、創造する時間が大切だと考えるからです。結果を出すことは最低限のことであり、空いた時間を自分で作り、よりクリエイティブな仕事ができるかが、トップに求められていると思います。 水という資源は、世界においても大変貴重な天然資源であります。日本の天然水の良さを、まずは日本の人にわかっていただくこと。そして、日本の天然水をこれまで以上に、世界に発信していけるよう、価値と信頼性の確立をしていければと思います。 ■message  自分たちは学生だからと言って可能性を狭める必要はありません。生まれたときから社会の一員です。いつかはみんな親を守らないといけないし、家族を持ったら子どもの成長も見守らないといけない。みんなとのレースはすでに始まっています。学生だからという言葉に甘えず、さまざまなことにチャレンジし、たくさん失敗することで、社会の一員として経験を積んでいってもらいたいです。 学生新聞2021年4月号 駒澤大学4年 安齋英希

経営者

湯快リゾート株式会社 代表取締役社長 西谷浩司

旅館の常識を破る取捨選択により、日本の温泉を身近にする ■プロフィール 東京工業大学大学院システム科学専攻を修了後、マッキンゼー入社。ロンドン・ビジネス・スクール(LBS)への留学後、GEキャピタル、GEエクイティーへ。その後、ミスミグループ取締役就任を経て、2010年、本間ゴルフ代表取締役社長に就任。同社再建後、2019年6月湯快リゾート株式会社代表取締役に就任。  学生時代はいろいろなサークルに顔を出したり、さまざまなアルバイトもしました。就職活動では「会社ってどうなっているのかな」という興味から、必ずしも志望しているわけではない会社もたくさん訪問しました。結果的に学生だからこその視点で社会や会社の実態を見ることができたのではないかと思っています。 私は新卒で入社してから今日まで、実は7回転職しています。経緯はさまざまですが、自分のやりたいと思うことに加えて、「お役に立てるならぜひ」という、求められるところでベストを尽くすということも大切にしてきた結果だと思っています。 ■旅館の常識を破り、日本の温泉を身近にする  今、湯快リゾートでは、「日本の温泉を身近にする」というビジョンに向かって仕事をしています。日本の旅館は平日でも1泊3万円くらいはします。それはそれでおもてなしとしてすごく素晴らしいですが、特別な日にしか行けず、行ける人や頻度も限られてきます。 そこで湯快リゾートでは、皆様に温泉をもっと身近に感じてもらいたくて、当たり前だと思われているサービスを廃止しました。たとえば、従業員がお客様のお部屋に行き、布団を敷くこと。湯快リゾートでは始めから敷いてあります。このように、無くても良いのではないかと思うサービスや旅館業界のしきたりを見直し、より付加価値のあるものを追求していくことを、グイグイ推し進めていきたいと思っています。 私が大切にしている言葉があります。「人事を尽くして天命を待つ」です。やるべきことをしっかりやっていれば、後悔することは少なくなります。プレッシャーという言葉を突き詰めていくと、もっとやらなければいけないことがあるんじゃないかとか、出来なかったらどうしようとか、そういう不安な気持ちが根本にあるんです。やるべきことをしっかりやっておけば、プレッシャーとは無縁なはずです。 ■message  今、世の中は大変革期です。変革期はピンチであると同時にチャンスでもあるのです。世の中の趨勢をある程度視野に置きつつ、自分は何を良いと思うか、何をしたときに嬉しいと感じたかなど、心の動きに敏感になってください。そして自分を理解し、興味や関心があることには積極的にチャレンジしてほしいです。行動は人生の満足感や納得感を高めてくれます。 学生新聞2021年4月号 大阪教育大学4年 清水悦子

DX・WEBマーケティング

株式会社GAtechnologies 執行役員CMO 田吹洋

テクノロジーによりお客様と寄り添い世界的な企業に ■プロフィール 明治大学卒。新卒でイマジニア社に入社。企画やマーケティングに従事する。その後カカクコム社にて事業開発やマネジメントを担い、ITスタートアップ企業でマーケティグ責任者を経験。2018年、当社に入社し、プロダクト企画・マーケティング部門の責任者を務める。 日本のみならず世界を見据えて不動産事業を展開するGAtechnologies。学生時代に音楽イベントを開催した際、どうすればより多く集客できるか考える中で「インターネット」の力を体感したという田吹CMO。デジタル技術がどのように不動産事業と結びついているのか、大切にしていることは何か伺った。  学生時代は音楽イベントを開催して、毎回300~400人の集客をしていました。それだけの人数を集めるのは容易ではなく、いつも必死に考える必要がありました。そのころ、ブログが流行り始めていて、集客に利用できるのではないかと感じ、実際に活用してみたところ、以前よりも人が集まったのです。その経験を通じて、「不特定多数の人に対して情報が一斉に伝わるインターネットの仕組みは目覚ましい力を持っている」と実感し、ITという分野に興味を持ちました。 就職活動を経てIT企業に入社しましたが、当時インターネットでモノが売れるということは理解されませんでした。しかし、日に日にインターネットが普及し、人々の意識が徐々に変化して「リアル」との垣根がなくなっていくのを実感していました。 そしてある時、弊社代表の樋口と出会い「、インターネットだけではなくリアルも鑑みてやっていかないと価値向上はない」と言われたことをきっかけに弊社に興味を持ち、転職して現在の仕事をしています。 ■GAtechnologiesが大切にしていること  GAtechnologiesは「認知・理解」「比較・検討」「申し込み」「契約後」という4つのステップをお客様に寄り添いながら行っています。 一般的に、「認知・理解」のステップを大切にしている企業は多くあると思います。しかし弊社では、販売まで自社で行っていることもあり、「より深い情報」をお客様にウェブ上で提供できるとともに、4つのすべてのステップについてお客様の反応をダイレクトに感じて仕事ができるので、より早く、スピード感をもって対応することができます。そうした、お客様と寄り添いながら仕事ができることは、私たちにとっても、魅力であり面白さでもあります。 ■グローバルな事業展開の魅力と課題  GAtechnologiesのビジョンは「世界のトップ企業を創る。」です。弊社では日本だけではなく、世界を見据えて仕事ができます。例えば、日本の物件を海外の方へ販売するなど、グローバルな事業展開していることも面白いと感じています。 日本国内だけではなく世界的に事業展開をしていくうえで、日本との市場環境が大きく違うことがあります。その一つが、海外と日本の物件管理システムの違いです。日本であれば、契約が終了するとデータベースに登録するなど、一連のシステムが確立されています。しかし海外だと、そうした仕組みのないところがあります。また、物件の情報をアップデートしていく仕組みがない場合があるので、そういった点も考慮しながらどう展開していくかを検討していっています。 ■ウェブもオフラインもお客様の利便のため  ウェブとリアルは、それぞれに良さがあり、状況に応じて使い分けています。 現在、お客様が不動産を購入する際、ほとんどの方がまずインターネットの情報に接しており「、最初に不動産業者に行く」という方は減少しています。私たちは、ウェブもしくはオフラインでお客様と接する「接点」を増やしていくとともに、お客様が「接点」を持たないといけない理由や、ウェブかオフラインどちらがお客様にとって利便性が高いのかを考え、アプローチを変えています。 そうしたことを通じて、不動産を購入していただくことだけではなく、理想の資産運用をしていただくことや、「もっとこういう家に住みたかった」などの不満をなくし、よりお客様の理想を叶えられるようにしていきたいと思っています。 ■message  ご自身が就職活動などを通じて得た情報や今のトレンド、日々生活するうえで感じたことを大切にしていただきたいなと思います。親世代からのアドバイスは、数十年前の情報をもとにしていることが多い。そうした情報よりも、学生のみなさんのほうが感度が高く、新しい情報を持っています。そういった自分自身の情報をもとに、就職活動や進路を決めたほうが、結果として良いキャリア形成ができると思います。自分の信じた道を進んでください。 学生新聞別冊2021年4月号 明治大学2年 山本真人

如意太一

KLab 株式会社 代表取締役社長 CEO 森田 英克

エンターテイメントコンテンツで、世界中のユーザーをひとつにつなげる ■プロフィール 法政大学社会学部を卒業後、WEBプランナー、モバイルコンテンツプロデューサーを経て、2002年にKLab(旧ケイ・ラボラトリー)に入社。2007年、コンテンツビジネス事業部長。2008年、コンテンツメディア部長。2010年、執行役員KLabGames部長。2012年、専務取締役。2019年3月より代表取締役社長に就任。 ゲームの運営は皆様の声が原動力、と語る森田社長。“エンターテイメントコンテンツで世界中のユーザーをつなげること”をビジョンに、コロナ禍で海外に行けない状況にあっても、ゲームを通じで多くの人たちにつながってほしいと語る。その熱い思いを伺った。  高校年生までは全く勉強をしていなかったのですが、このままではだめだと思い、最後の1年間は一生懸命勉強しました。受験日まで年を切り、時間が無いことに気づいたので、ただやみくもに勉強するのではなく、まず問題研究から始め、受験する大学が出題している過去問題を徹底的にやりました。その結果、法政大学に合格したのですが、偏差値が高いといって恐れるのではなく、やり方を考え、作戦を立てれば必ず突破できるということを学び、この経験が自信につながりました。 大学入学後はインディーズのバンド活動に力を注いでいて、そのクリエイティブさに夢中になりました。その影響からファッションや音楽関係の企業を中心に就職活動をしていました。歳までバンドを続けていたのですが、仕事よりも音楽活動が中心の生活でした。個性の違う人たちと何かを作っていくには協調性が必要です。仲間と一緒にイベントを企画したりしていましたので、主体性も身についたと思います。その反面、20代前半で人生のキャリアプランについて真剣に考えていなかったという反省もあります。 ■ゲームでつながるサービスのポテンシャル  大学卒業後は小売関係の会社で働いていましたが、自分に合っていないと思い、2年で辞めました。その後、WEBデザインやモバイルサイトを作る仕事をやっている中で、サイト運営に興味を持つようになりました。お客様が課金するサイトでは、私たちがいいサービスを作れば登録者も増え、収入も増えることが目の前でわかり、課金制というビジネスモデルが面白いと思ったのです。モバイル端末でこれから新しい未来が開けるというワクワク感と実際に市場がすごい勢いで伸びていることがわかり、若くてもこの分野で成果を上げることができると思うようになりました。 KLabもシステム開発などをやっていく中で、モバイルを通してお客様がつながり、一緒にゲームを楽しむサービスは、絶対にポテンシャルがあると感じるようになり、日本にソーシャルゲームが入ってきたタイミングでゲーム業界に参入しました。 このビジネスは自分たちでサービスを作ってネット上で提供し、お客様にお金を払ってもらうというビジネスモデルです。仕事をしていくなかで、いろいろな人と協力しながら面白いアイデアを見つけ、磨き上げ、世の中にリリースしていきます。その結果、大きな反響を得られたときは、ランキングやSNS上の書き込みでリアルに結果が見えるようになり、うまくいったときの達成感は格別なものがあります。 一方では、自分たちが作っている作品が本当に面白いのか、自問自答する日々です。その結果、品質を向上させるために今あるものを疑い、ときには勇気を出して作品を作り直すことも多く、そこがこの仕事の難しいところです。  また、私たちの会社は世界に向けてグローバルに展開しています。海外でゲームをリリースする際に、法律や文化などがそれぞれの国によって違うため、一つひとつ調べていかなければならないうえに、運営が始まった後では新しいイベントが始まるごとに対応言語を全て用意しなければならないのがとても大変です。 一緒に働く仲間は素直な人がいいですね。素直な人は成長余力があり、人からの指摘や自分の経験をまっすぐに受け止め、次の成長に活かすことができます。現在はスキルが不足していてもすぐに成長していくため、素直であることが大切だと思います。前例主義にならず、今やるべきことや勝つために何をすべきかを自分で考え、チャレンジや失敗を恐れない人と一緒に働くのは楽しいです。 ■視野は広く、世界を身近なものへ  日本だけでなく海外でKLabGamesという名前がゲームメーカーとして認知され、世界中の人たちに楽しんでもらえるようなゲームが作れればいいなと思います。そして、エンターテイメントコンテンツで世界中のユーザーをひとつにつなげることが私たちのビジョンです。コロナ禍の今、私たちができることは何かを考えたときに、世界中の人が携帯端末を持っている現在、ゲームを介して簡単に世界とつながることができます。物理的に行き来はできませんが、オンライン上で世界中の人たちがゲームで対戦したりコミュニケーションを取ったりという場を提供することが私たちの存在意義だと考えています。そして今よりももっと大きな規模で事業展開できるように頑張っていきたいと思っております。 ■message  周りの意見に左右されず、やりたいことを貫いてください。社会が多様化している現在、できないことはないと思っています。自分がやりたいと思うことを極めていけば、それがビジネスになっていくと思います。多様性とは他人の個性を認め、リスペクトすることです。 最後に世界を意識してほしいです。今や競争相手は海外です。海外で勝ち抜けるビジネスパーソンになることは必須だと思います。視野を広く持ち、世界規模でアプローチしていってほしいですね。 学生新聞2021年4月号 駒澤大学4年 如意太一

神田理苑

井上苑子 「言葉」は最高の自己表現ツール。だからこそ言葉に愛を込めて...

■プロフィール シンガーソングライター。神戸市出身の23歳。小学6年より作詞・作曲と路上ライブを始める。ミュージックビデオの総再生回数は1億回を突破。また、歌手としてだけでなく、映画・ドラマ・CM・YouTubeなどマルチに活動する次世代のシンガーソングライター。 ■学生時代はどう過ごされていましたか  小学校・中学校のときは、大勢でワイワイ言いながら過ごし、学校行事にも積極的に参加するような学生でした。女子校だったこともあり、無意識のうちに集団行動をしていました。一人で行動するような大人っぽい人を羨ましく思っていたときもありました。 小さい頃から歌うこと、人前でパフォーマンスをすることが大好きでした。小学5年生から今の事務所に所属し、「歌手になる」という夢に向けてひたすら走り続けていました。高校生になって東京に出てきたのですが、そのとき上京を決意できたのは少しでも夢に近づける気がしたからです。 ■歌と言葉についてお聞かせください  歌はこの上なく楽しいものです。もちろん、趣味から仕事に変わる中で苦しい思いもしましたが、それ以上に歌には「人生そのものを考えさせる力がある」と感じています。私は歌を通して「誰かに何かを思ってもらいたいし、刺激となればうれしい」と思っているので、自分自身も周りから刺激を受け続け、現状に甘えないように心がけています。そして言葉は私にとって自己表現にもっとも適したツールなのではないかと思っています。自分の考えを相手にきちんと言葉で伝えたいですし、伝えて理解してもらえるととてもうれしいです。だからこそ言葉をたくさん愛し、自分が発する言葉に最後まで責任を持ちたいと思っています。 ■大学生へのメッセージをお願いします  大学生はたくさん悩みや葛藤を抱えていると思いますし、実際皆さんと年齢が近い私も悩みはあります。しかし、苦しいときでも自分が好きなことをしているときは最高に面白いと信じ、それに対する知識量は誰にも負けないと自慢できるくらい突き詰めていってほしいと思います。 ■取材を終えて  井上さんの楽曲は歌詞に力強さがあり、どうしてこれほど心に響くのだろうかと考えていたのですが、お話を伺う中で、「ことばを愛しているから」だと気づかされました。社会がデジタル化される中で、言葉へのこだわりが薄くなってきているように思います。だからこそ楽曲を通して言葉と向き合う姿勢を学びたいと思いました。 学生新聞2021年4月号 日本女子大学2年 神田理苑

大学理事長・大使館

日本薬科大学 副学長・教授 都築稔

地域との連携を大切に、これからの教育を考える ■プロフィール 1974年生まれ。東京大学農学部卒業。東京大学農学生命科学研究科博士課程修了(農学博士)。サントリー株式会社勤務を経て、2005年4月より現職。専門は分子生物学、微生物学、 分析化学。伊奈町生涯学習委員会委員、聖学院大学大学評価 会議外部委員を務めるなど、自治体や大学との産学官連携を 多数手がけ、商工会等での講演も行っている。 地域との連携や社会貢献活動を大切にしている日本薬科大学。その副学長である都築稔氏に、地域と大学との関係性の重要性や今の教育に必要なこと、そして、人口減少やコロナ禍によって、今後、大きく変わろうとしている教育界の将来展望について伺った。 ■実験とテニスの毎日だった大学時代  小さい頃から生き物が好きでした。高校生の時に、手塚治虫の漫画やスティーヴン・ホーキング博士の本を読み、宇宙や未知の世界に興味を持ちました。その結果、「宇宙に生命体はいるのか」といった疑問を持ち、宇宙や生命科学に関する研究をしたいと思うようになりました。今振り返ると、未熟だったのですが、実際に大学に入って、学生実験の大半は、結果がわかっているものばかり。「知らないことを解明していくのが科学だ」と考えていた私は、「結果がわかっていることを繰り返しても」と疑問を抱くようになっていったのです。 部活動では、体育会のテニス部に入っていました。テニス漬けともいえる大学生活だったため、4年生になり部活が終わるまで、バイトや旅行とは無縁の生活を送っていました。「海外旅行は学生時代にしかできない」と思ったので、引退後は、東南アジア、中近東など、いろんな場所へ旅行に行きましたね。海外に一人で旅行をしてから世界の広さを実感し、視野を広げるためにも、「日本にいるだけではダメだ」と思いました。卒業後は研究者として学校に残るという選択肢もありましたが、まずは民間で頑張ってみようと、先輩からの誘いがあったサントリーに、営業職として就職をしました。 ■教育業界に入ってわかった、教育の大切さ  サントリーの営業マンとしての日々にはなんの不満もなく、ただひたすら楽しかったです。ただ、当時交際をしていた都築学園グループの次女との結婚が転機となり、あらためて教育研究の道に進むことになりました。その後、いろいろな大学を見てきて、私は2つのことに気づきました。1つ目は教育こそが人材養成の土台で、インフラの基本になっているということです。2つ目は現在、日本に約780もの大学があり(2020年4月現在)、専門性や地域連携など色々な特徴があるということ。日本では、偏差値で学校が評価されることが多いのですが、世界的に見るときわめて稀なケースといえます。世界には、研究活動、産学連携、国際性など、さまざまな評価指標があり、将来を見据えると、他の国々のように、日本の学校も、独自性や特徴を出さないといけないと強く感じました。 ■地域の周辺人口と大学の存続率は大きく関連している  日本薬科大学は、医療人養成だけでなく、社会貢献活動をとても大切にしています。代表例は、研究で力を入れている「漢方」を活用した地域連携です。埼玉県秩父地域で自生する薬用植物「キハダ」の例を紹介します。キハダは古くから生薬として使われていましたが、地元では有効に活用されていませんでした。私たちは、キハダに含まれる苦味成分を活用した「キハダサイダー」を地元の方々と共同開発しました。地元の人が気づかないようなものが、実は、地域に大きく貢献できることもあるのです。では、なぜこのような活動を展開しているのか。それは、地域と大学の存続は強く相関しているからです。国の統計によると、周辺人口が12万5千人を切ってしまった大学は、存在確率が50%を切ってしまうというデータがあります。つまり、地域の活性化と学校運営は、実は切っても切り離せないのです。 地域を元気にするためには、もともとその地にあり、地元に根ざしたものを見直すことが大切だと思っています。その他にも、有名ラーメン店「麺屋武蔵」(矢都木二郎社長がキャンパスのある伊奈町出身)とコラボして、薬膳ラーメンを商品化しています。花粉症対策、熱中症対策など、たくさんのラーメンを作りました。最近では、免疫力を高めるとされる食材を使ったラーメンを作り、コロナウイルスの軽症患者を受け入れているアパホテルに届けに行きました。もちろん全部、薬学の知見を活かした食材を厳選して作っていますよ! ■世界最高の「学び直し」を作る!  地球環境を守るための脱炭素社会の実現に向けた取り組みにより、今から約10年後の2030年には、ガソリン車がなくなる時代が到来するといわれています。つまり、市中からガソリンスタンドを見かけなくなる可能性があるということです。このように、今当たり前に存在するものでも、10年後にはなくなっているものがある。それと同じようなことが、教育業界にも起こりえるかもしれない。そこで、私は教育界の近未来を深く考えるようになりました。 そのなかで、教育機関にとって避けて通れない課題は「人口減少」です。私が18歳の頃は、同級生が約205万人いたのですが、2020年の出生者数(速報値)は87万人、コロナウイルス感染拡大の影響を受けて、結婚や出産を控える動きがあったことから、2021年は80万人を切るのではないかといわれています。つまり、この子たちが大学生になる2040年頃は、大学に入学する生徒数が、圧倒的に少なくなるということです。 そこで、まず私が目を付けたのが社会人の学び直しでした。現状、日本の25歳以上の入学者割合はOECD諸国の中では下から数えた方が早いのです。海外では、社会人の学び直しが広く行われており、スキルアップのために、一人が何度も大学に行くことが一般的です。一方、日本の割合がこれほど低い理由の一つとして、海外と比較して、企業の研修制度が充実していることが挙げられます。この仕組み自体は決して悪いことだとは思いません。そのため、大学が社会人対象のプログラムを提供しても、一部のビジネススクールを除いて、なかなか日本では根付きません。そこで、私が考えたのは、30代から40代、特に女性の関心が高い「健康と美容」をテーマに、世界中の有名講師を呼んで、オンラインで交流できる世界最高のプログラムを作るというものです。「漢方アロマコース」(文部科学大臣認定)というコースで、コロナ禍以降、海外への渡航が難しくなっていますが、このプログラムはオンラインで行われるので、パスポートやビザなしで国境を越えた交流が実現できるのが魅力のひとつです。 もうひとつが、留学生をターゲットにした取り組みです。日本では、修士・博士課程に進学すると、かえって進路や就職先が狭くなる傾向がありますが、多くの国では、最終学歴が上がるほど、生涯給与が上がるため、学ぶモチベーションも向上しているのです。そんな学生たちをターゲットにして、海外の留学生たちが、日本の文化や医療を学んだり、日本薬科大学で学位を取得するプログラムを考えています。 2020年にオンラインで海外交流プログラムを試行的に開講したところ、約1500人から参加申し込みが来ました。ゆくゆくは有料化して仕組み化できたら、日本の在校生よりも参加者が多くなる可能性もあります。 ■重要なのは、母校を利用し「いろんな人の経験を聞く」ということ  日本薬科大学以外にも、「いろんなことに挑戦しよう」と考えている教育機関は国内外を問わずたくさんあります。しかし、教育に関する情報はあふれすぎていて、学生の皆さんが必要な情報を捉えきれていないように思います。そこで、おすすめしたいのは、まずは視野を広げるという意味で、いろんな人の経験をリアルに聞くということです。それは身近な先輩の話でも誰でもいい。そして、聞いた経験を、今度は自分の血や肉として取り入れてほしいのです。まずは自分と向き合い、自分の中から「これをやりたい」と湧き出てくるものを感じたら、その気持ちを忘れず、一生涯持ち続けてほしいと思います。 卒業生は学校にとって大切な財産ですし、卒業生にとっても同じです。いずれは、母校に戻って、自分のやりたいことを実現するための助けを借りてもいい。むしろ、「母校を利用してやるぞ」という気持ちを持ってもいいのではないでしょうか。学びは一生!卒業したら終わりではなく、ずっと付き合っていける関係なのだと思ってもらえればと思います。 学生新聞WEB2021年2月12日取材 文教大学2年 早乙女太一