衆議院議員 経済財政政策担当大臣 山際大志郎

イノベーションを起こし、生命を大切にできる世の中へ

衆議院議員 経済財政政策担当大臣 山際 大志郎(やまぎわ だいしろう)

■プロフィール

山口大学農学部獣医学科卒、東京大学大学院農学生命科学研究科獣医学博士課程修了(獣医学博士)。動物関連企業経営後、2003年に衆議院議員初当選。内閣府大臣政務官、経済産業副大臣、自由民主党政務調査会会長代理等を歴任。岸田内閣では経済財政政策、経済再生、新しい資本主義、新型コロナ対策・健康危機管理、全世代型社会保障改革、TPP等を担当。

2003年に初当選を果たして以来、日本経済の発展に尽力している山際大志郎大臣。大自然の中で世の中の変えるべき課題を見つけた山際大臣の学生時代とは。そして、生き物と自然を愛する政治家である山際大臣が、経済の活性化に全力を尽くす理由に迫りました。

■大自然と触れ合う中で気づいた自分のやるべきこと

 自然や生き物が大好きだった私は、学生時代は獣医を目指していました。そのため、山口大学の農学部獣医学科に通っていたのですが、自然豊かな環境だったこともあり学生生活の初めの頃は友人たちと自然の中で様々なアクティビティをしたり、バックパッカーとなって世界中を歩き回ったりしていました。大学3年生の秋から解剖学の研究室に所属したのですが、なかなか研究に身が入らない私を見かねた教授が、南極で鯨を研究してみてはどうかと勧めてくださいました。南極の大自然に行けるなんてこんなに嬉しい事はないと思い、鯨の研究を始めました。鯨は不思議な動物で大学院でも研究を続けようと決め、東京大学の大学院に進学をするため1日に18時間勉強しました。これだけ勉強に励んだのは、この時が初めてだったと思います。

■思い込みと情熱から、政治家への道を決意

 一方で研究を続けながらも「自分がやらないといけない事は何なのだろうか」と、ずっとモヤモヤとした気持ちを抱えていたのです。そんなある日、南極での船中に田中角栄元総理が亡くなったというFAXニュースが届きました。そのニュースを見たときに「自分が本当にやらなければいけないのは政治なんじゃないか」と直感が走ったのを今でもよく覚えています。

 そもそも、私は様々な生き物や自然と関わる中で、人間も生き物の一種類なのに、どうして人間だけが驕っているのだろうと疑問を持っていました。もっと生命に敬意を持ち、生命を大切にする世の中に変わるべきだと思っていたのです。こうした私の中の問題意識はどの道に進めば解決できるのだろうとずっと悩んでいました。そうしたときに南極で田中元総理の訃報に接し、世の中のルールを変えられるのは政治なんだと気づいたのです。「俺がやらなければ誰がやる」という言わば大いなる思い込みのようなものですが、そうした情熱から政治家を目指すようになりました。

 しかし、大学院生からすぐに政治家になれるわけではありませんから、獣医学博士号を取得した後、動物病院を開業しました。選挙に出馬するためにも資金が必要ですが、当時の私は企業に献金してもらうと当選した際にはその企業に気を遣いながら活動をしなければいけなくなるというイメージを持っていました。そのため、動物病院を経営して得た資金で選挙に出馬し、2003年に初当選を果たしたのです。安定した職を捨てて不安定な道に進むことに回りから不安の声もありましたが、強い情熱が周りの人たちに伝わり、やがて応援してあげようという声に変っていったと思います。実際には色々と迷惑をかけたと思いますが。

■経済に新しい価値を創造する

 私は政治家としては経済にこだわって活動しています。生命をもっと大切にする世の中にしようと決意した人間が、なぜ経済なのか。それは、衣食足りて礼節を知るという故事があるように、食べていけないと他人のこと、生命のことを考える余裕は出てきません。食べていけるようにする、人を豊かにするのが経済なんです。

 経済分野に長く携わってきて分かったのは、日本に一番足りないのは新しい価値をどんどん創り出すイノベーションです。新しい価値が創られるとそれにお金が支払われるようになりビジネスが生まれます。富の源泉となる新しい価値が自律的に生まれる環境を創り出すことが日本経済を再生させることに他ならないのです。しかし、10年以上取り組んでいるものの未だ完成していません。これをぜひとも完成させたいと思っていますが、簡単なことではありません。なぜなら、イノベーションを起こすことができるのは人であり、私たち一人ひとりが新しい価値を生み出そうという意思を持って活動しないと自律的にイノベーションが起きる環境はできません。ともすると人間は惰性の生き物ですから、今日、明日とそのままで生きていけるなら新しい価値は必要ないと思ってしまいます。それでは新しい世の中にはなりません。今よりもう少し良い世の中にしていこうとみんなが思って活動してもらうためには、政治がしっかりと環境を整備しなくてはいけません。これが最も難しいテーマですが、これをやれば世の中が変わるということが最もはっきりしているテーマであり、経済再生担当大臣として取り組んでいるテーマです。

■大学生へのメッセージ

 とにかく、色々なものに興味を持ってみてください。全てはそこから始まるのです。世の中、何でも興味を持って触れてみると、やりたいことや自分がやらなければならないことが見つかってくるでしょう。その中で、やりたいことを見つけることができれば運がいいです。さらに、やらなければならないことがみつかれば、それは天職と言えるでしょう。24時間を自分の時間として自由に使うことができる学生時代は貴重な時間ですよ。何事にも興味を持って生きてみてください。

学生新聞オンライン2022年2月22日取材 津田塾大学2年 佐藤心咲

津田塾大学2年 佐藤心咲 / 東海大学3年   大塚美咲

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