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学生新聞インターン

株式会社紀文食品 代表取締役社長 堤 裕

「感謝 即 実行」で、品質にこだわり、喜びを届けるブランドへ 株式会社紀文食品 代表取締役社長 堤 裕 (つつみひろし) ■プロフィール1956年生まれ、静岡県出身。慶應義塾大学経済学部卒。1980年4月、株式会社紀文(現・株式会社紀文食品)に入社。営業や商品企画担当等を経て、取締役総務本部長、常務取締役マーケティング室長、取締役兼専務執行役員秘書室長などを歴任後、2017年12月に代表取締役社長に就任。 水産練り製品大手・紀文食品。そのブランドを支えてきたのが、品質へのこだわりと時代に応じた事業展開である。創業以来受け継がれてきた理念のもと、発展を続けてきた同社の堤社長に、自身の歩みを振り返りながら、企業を支えてきた考え方やブランドへの思い、そして今後の展望について伺った。 大学生時代は社会と接点を持つきっかけの期間でした。愛知県で過ごした中学高校の6年間はいわゆる帰宅部で、周りの人と何かを一緒に行う機会は少なく、本ばかり読んでいました。その頃は人と接することが苦手でしたので、そのような状況を変えたいという気持ちもあり、浪人をして、東京の大学に進学しました。大学生になってからは、麻雀仲間と毎日のように一緒に過ごしていました。麻雀そのものが目的というより、それまでほとんど持たなかった外の世界との接点として、みんなといる時間が楽しかったことを覚えています。また他には百貨店でアルバイトをしていて、そういった経験を通して、徐々に社会に参加していったと感じています。 ■多様な経験を糧に築いたキャリア 大学で百貨店研究会に在籍していたことやアルバイト先でお中元やお歳暮といった食品を扱っていたことから食品系の企業には親近感を持っていました。百貨店では、とにかく目の前のことを丁寧に確実にやりきる、また商品の特徴に応じて売り方が異なることを学ぶ場となり、将来につながることとして、今でも大切なスキルになっています。その後、たまたまゼミの先生のご縁もあり、先生に紹介してもらった紀文食品に就職しました。入社後は、地元・名古屋での勤務からスタートしました。当時は地域ごとに会社が分かれていたこともあり、比較的早い段階で課長という立場を任されました。そこではマーケティングや商品開発、広告など様々な仕事に約10年携わり、さらに新人教育も任されていました。そのような環境ゆえに自分の思い描くように仕事をしていた部分があったと今では思います。その後、名古屋での評価を受け、沖縄の合弁企業へ赴任しました。沖縄が本土復帰する前で、現地と日本本土をつなぐ窓口のような立場となり、上層部に意見を伺いながら提案し、その許可を得ては現場に伝える、という橋渡しの役割を担った5年間でした。そんな中で特に記憶に残っているのが紀文のはんぺんプロモーションの出来事です。はんぺんの沖縄での製法と東京での製法は異なっていたのですが、そのことをパッケージに表現していませんでした。そのことを前会長から厳しく指摘・叱責され、私は東京に戻されました。振り返ると、今に至るまで浮き沈みが激しい人生だったように思いますが、その都度、目の前の仕事に対しては、丁寧に確実に向き合ってきたと考えています。 ■憧れから伝統を引き継ぐ 現在の社風には90年近く前の創業時の思いが引き継がれています。初代は農家の生まれなのですが、地元の食品問屋に東京から背広を着たセールスマンの方が訪れた際、その姿を見て「東京でスーツを着てかっこいい商売をしたい」と思い、東京に1人で出てきました。1938年に独立し山形屋米店を開いたのが当社の始まりです。創業時の根本となる思いは2つで、かっこいいスタイルと食品の商売でした。その後米店や果物店を経て資金を貯め、1947年に築地で魚肉加工品の製造に着手。自慢のオートバイで浦安や九十九里まで魚を仕入れに行きながら、出来立ての商品を築地場外市場で販売していました。当時は珍しかったのですが、清潔感や高品位感を示すよう、社員は白いワイシャツ、紺のネクタイ、紺の背広を着用し、市場の中で接客を行っていました。当時から“ブランド”というものを大事にしていました。商品に焼き印を入れることで品質と信頼の証としているのも、ブランドを大事にするという思いからです。またブランドに関連しますが、創業者は自身もアマチュア相撲で四股名を持つほど相撲が好きでした。戦後まもない頃に、物資が少なく、大相撲の世界でも縁の下の力持ちである呼出が困窮していると聞いた創業者は、支援のために着物を寄付したそうです。それに対し呼出の方々が感謝の気持ちを込めて「紀文」と染め抜いた着物を着ていただき、やがて相撲がテレビ放映されるようになると、呼出の着物に紀文の文字が入っていることが全国のお茶の間に映像として届けられ、当社の認知度向上とブランドとしての成長のきっかけの1つにもなりました。また、ブランドに見合った高品質な商品も販売していたことから現在の上皇陛下のご成婚に際し、引き出物の調製を賜りました。 ■品質へのこだわりとブランド力を活かした成長戦略 2代目の前会長が大学で専攻していたマーケティングを皮切りに、広告宣伝やマーケティング活動も積極的に行ってきました。また、市場の主力が百貨店からスーパーマーケットやコンビニへ移る中で、自前の物流網を駆使しながら直接取引をすることで売り上げ拡大を図ってきました。こうして自社と製品の持つブランド価値を大切にしながら商売を行い、堅実な商売を通じてブランドを認めてもらうという連鎖を作り続けてきました。また創業以来、出来立てで美味しく安全安心な商品をお客様に提供するといった品質へのこだわりを現在にも引き継ぎ、今に至っています。さらに2021年には東証一部(現 東証プライム市場)へ上場しました。上場に至ったきっかけには2つあります。1つは上場することで社会的なお墨付きがつき、信用がある企業であるという印象を関係する皆さまに与えることができます。もう1つは、創業家によるプライベートカンパニーから、長く続くパブリックカンパニーにしたいという思いがあったからです。これからも多くの方に役立ち、喜んでいただける商品と召し上がる機会を提供していきたいです。日本のみでなく、世界各地の方々にも当社の商品を喜んで食べていただけることも目指していきたいと思っています。 ■大学生へのメッセージ いただいたものへの感謝を大事にしてほしいです。いただくものは、物や笑顔、サービス、心遣い、機会など様々あると思います。そういったいただいたものに対して素直にありがとうと伝えるのです。そして“今”に全力を尽くしてほしいです。“今”は過去からの帰着であり、未来に向けての出発点です。“今”を大事にするからこそ素晴らしい未来を作ることができます。人間の時間は平等で、今目の前にあること以外に力を発揮することはできません。だから様々な人がいる社会の中で、いただいたことに対して感謝する気持ちを忘れずに、自分ができることを全力で行ってほしいです。 学生新聞オンライン2026年4月30日取材 津田塾大学4年 山下さくら 武蔵野美術大学2年 石井生成/法政大学2年 森川葵/実践女子大学2年 土屋栞菜/津田塾大学4年 山下さくら/東京女子大学3年 浮田梨紗

学生新聞インターン

エクスコムグローバル株式会社 代表取締役社長 西村誠司

人の幸せを届ける挑戦を、誰よりも真剣に エクスコムグローバル株式会社 代表取締役社長 西村誠司 (にしむら せいじ) ■プロフィール1970年5月20日、愛知県生まれ。アンダーセンコンサルティング(現アクセンチュア)を経て、1995年インターコミュニケーションズ(現エクスコムグローバル)を設立。モバイル通信サービス「イモトのWiFi」、メディカル支援サービス「にしたんクリニック」「にしたんARTクリニック」などさまざまな事業を展開。 「イモトのWiFi」や「にしたんクリニック」など、数々の話題性ある事業を手がけてきた西村誠司社長。幼少期から働き続けた原体験、起業への想い、そして人の幸せを届ける事業づくりについて伺いました。 学生時代に一番力を入れたことを聞かれたら、迷わず「働いたこと」だと答えます。家が裕福だったわけではないので、生きていくために幼い頃から働く必要がありました。12、13歳の頃には新聞配達を始め、朝刊と夕刊を配りながら、自分でお金を稼いでいました。高校、大学に進んでからも、引っ越し屋、葬儀屋、百貨店の配送センターなど、さまざまな仕事を掛け持ちしていました。その時に培った、お金を稼ぐ大変さ、1円を積み上げる重み、そして継続することで力がつく感覚は、今の経営にも強く活きています。若い頃は体力もあります。だからこそ、時間を使って本気で働けば、必ず自分の力になります。実際、私は20~21歳の頃には200万〜300万円ほど貯金できていました。環境を言い訳にせず、自分の行動量で未来を変えていく。その感覚は、学生時代に身についた大切な財産です。 ■働くことで身につけた、人生を切り拓く力 アルバイトと同時に、大学時代に力を入れていたのが、英語と会計の勉強です。英語ができれば、得られる情報量も、出会える人の幅も大きく広がります。お金をかけられなかったので、NHKのラジオ講座や英語の本、TIME誌などを使い、とにかく量をこなしました。卒業する頃にはTOEICで900点台を取れるほどになっていました。また、会社を経営するうえで数字を読めることは欠かせないと思い、簿記や財務諸表の勉強に取り組みました。会社を動かしていくには、感覚だけではなく、数字で状況を見る力が必要です。英語、会計、そしてこれからはコンピューターの時代になると考えたことが、後に外資系コンサルティング会社へ進むきっかけにもなりました。起業を意識したのは、学生時代に出会ったアメリカ人の友人たちの影響が大きかったです。彼らの多くは、優秀な人ほど自分で事業を起こすという考え方を持っていました。また、ジェフリー・アーチャーの小説『ケインとアベル』にも強く影響を受けました。恵まれない環境から、自分の腕一本で道を切り拓いていく主人公の姿に、心からかっこよさを感じたのです。就職活動の時点でも、私は「3年で辞めて起業する」と話していました。日本の大企業ではあまり良い反応をされませんでしたが、外資系企業ではその考え方を面白がってくれました。アクセンチュアでは、「起業して成功したら、うちのブランド価値も上がる」と言ってもらい、その懐の深さに惹かれました。結果的には、3年を待てずに25歳で起業することになります。当時はとにかく早く挑戦したくて仕方がありませんでした。 ■世の中に求められるものを見極める 事業をつくるうえで、私が大切にしているのは「自分が好きかどうか」だけで判断しないことです。もちろん、自分が心から良いと思えるものを届けられるのが一番です。しかし、商売として考えるなら、世の中の人が何に不安を感じ、何を求めているのかを見極める必要があります。「イモトのWiFi」を個人向けに展開したときもそうでした。それまでは法人向けのサービスが中心でしたが、スマートフォンの普及やSNSの広がりによって、海外でもインターネットを使いたいという個人のニーズが一気に高まっていました。そこで、BtoC向けにサービス名や見せ方を変え、より多くの人に知ってもらえるブランドづくりに力を入れました。マーケティングとは、単に商品を売ることではありません。世の中の人に、どのようなイメージを持ってもらうかを設計することです。どれだけ良いサービスでも、伝わらなければ選ばれません。逆に、受け手が価値を感じてくれれば、そのサービスは強いブランドになります。だからこそ、相手の立場に立って考えることが何より大切だと思っています。 ■命を支える仕事に、人生をかける 現在、特に力を入れているのが不妊治療の領域です。私自身、アメリカで不妊治療を経験し、そのおかげで娘と出会うことができました。その経験があったからこそ、日本でも高度な不妊治療をもっと身近に受けられる環境をつくりたいと思うようになりました。命を生み出す仕事には、他の事業とは違う重みがあります。患者様に「このクリニックに通ってよかった」と思っていただくだけでなく、人の優しさや思いやり、そして真剣に向き合う姿勢まで届けられる場所にしたいと考えています。たとえ結果として妊娠に至らなかったとしても、「ここまで一緒に向き合ってくれたから悔いはない」と思っていただける存在でありたいです。私が考える良い会社とは、単に成長できる場所ではありません。心がピュアで、人のために一生懸命になれる人たちと働ける場所です。「何をやるか」以上に、「どんな価値観を持った仲間と働くか」が大切です。だからこそ採用では、人としての根っこをとても重視しています。知識やスキルは後から身につけられますが、価値観や人間性は簡単には変わりません。人の幸せを本気で願える仲間となら、どんな事業でも価値を届けられると信じています。 ■大学生へのメッセージ 大学生の皆さんに伝えたいのは、知識と経験はできる限り積み上げた方がいいということです。人生は意思決定の連続です。今の自分は、これまでの意思決定の積み重ねでできています。より良い意思決定をするためには、質の高い情報に触れ、良い本を読み、尊敬できる人に会い、行ったことのない場所へ足を運ぶことが大切です。人は放っておくと、慣れた環境に留まってしまいます。だからこそ、自分から新しい経験を取りに行ってください。知らない街に行く、新しい人と話す、普段読まない本を読む。そうした小さな行動の積み重ねが、自分の視野を広げてくれます。若いうちの経験は、すぐに結果につながらなくても、必ず未来の自分を助けてくれます。自分の可能性を狭めないためにも、たくさん学び、たくさん動いてみてください。 学生新聞オンライン2026年5月8日取材 法政大学4年 島田大輝 日本大学1年 佐久間康登/法政大学4年 島田大輝

イベント・企業紹介

舞台『成瀬は天下を取りにいく』記者会見

7月4日(土)~12日(日)東京・サンシャイン劇場、7月16日(木)~26日(日)京都・南座、7月28日(火)~29日(水)滋賀・大津市民会館にて、大人気小説『成瀬は天下を取りにいく』が舞台化・上演されます。舞台版『成瀬は天下を取りにいく』は、主人公・成瀬あかりが全力で我が道を突き進む姿が読者を魅了し、2024年の本屋大賞はじめ数多くの文学賞を受賞した宮島未奈のデビュー作『成瀬は天下を取りにいく』(新潮文庫刊)と続編『成瀬は信じた道をいく』(新潮社刊)をもとに構成。シリーズ累計発行部数220万部を突破する大人気作は、周囲におもねることなく自由に生きる成瀬あかりの姿や、成瀬に影響を受けて新しい生き方を見つけていく人々の姿を生き生きと描き、滋賀県大津市を舞台にした新たな青春小説として、世代を超えた多くの読者の心を捉えています。成瀬あかり役には、本作が初の舞台単独主演となる山下美月。その他、あかりの親友・島崎みゆき役に藤野涼子、成瀬のバイト先のクレーマー・呉間言実役を山崎静代、成瀬を気にかける広島県の男子高校生・西浦航一郎役をISSEI、あかりの父・成瀬慶彦役を天宮良、そしてあかりの母・成瀬美貴子役を田畑智子が勤め、個性あふれる登場人物たちが、舞台を彩ります。脚本・演出にはミュージカル『SPY×FAMILY』、『有頂天家族』など数々の人気原作の舞台・演出を担当しているG2が勤めます。このたび5月29日に開催された記者会見を取材しました。 ■まずはご挨拶をお願いいたします。 G2:今回の作品は『成瀬は天下を取りにいく』『成瀬は信じた道をいく』の2本を原作とした舞台です。僕もお話をいただく前から原作のファンでしたので、一も二もなくやりたいと言いました。しかし、よくよく原作を読むと連作の短編であり、1本の作品にすることが非常に難しかったです。そこをなんとか頑張って、台本を書き終えました。キャストのみなさんが本当にお芝居が大好きな方ばかりが集まってくれたので、今からすごく楽しみにしております。僕もせっかくですから、ちょっと変わった演出やビジュアルを考えています。劇場に入ると、「これは面白いけど、どうやって芝居するの?」というものを、まずビジュアルとして飾る予定です。あとはずっと音楽劇のように、生演奏でピアニストとコラボレーションしながらやっていきます。さらに、原作が連作短編である以上、どうしても各エピソードにおけるキャラクターの登場回数が限られてしまいます。そのままでは舞台として中途半端なバラバラの作品になってしまうため、全員がほとんどの場面になぜか出ているという演出をする予定です。全員一丸となって作る舞台、きっと出演者のみなさんにも楽しんでやっていただけると思っています。 山下美月:成瀬あかりを演じさせていただきます、山下美月です。この作品のお話をいただいたのは、去年の夏頃でした。どの書店に行っても、成瀬の顔をたくさん見かけて。本当に大人気の原作、たくさんの方から愛されているこの作品を舞台化するということで、最強で天才なあかりを私が演じられるかなと、すごく不安に思っていました。そしてG2さんの演出の構成を私も今初めて聞いたので、若干プレッシャーにもなりつつも、この素敵なキャストのみなさんと一緒につくり上げられることが本当に楽しみです。今年の夏はこの成瀬と共に、爽やかに全力で精一杯駆け抜けていけたらいいなと思っています。私も成瀬の役柄に助けてもらいながら、成瀬がたくさんの人を救っていったように、見てくださっているみなさんの心をちゃんと救えるような、そんな主人公を演じたいです。 藤野涼子:島崎みゆき役を演じさせていただきます、藤野涼子です。 原作を読んだ時は、成瀬あかりがいろんなことに果敢にチャレンジしていく姿を見て、すごく憧れと尊敬の気持ちを持ちました。成瀬あかりに対して、こんな子が友達だったらいいな、こんな子が近くにいたら自分もすごく前向きになれるだろうなと思いながら読んでいたので、まさか自分がその親友役として演じられることがすごく楽しみです。私自身は結構おてんばで周りが見えてないところがあるのですが、今回は成瀬あかりの大ファンのうちの一人として隣で見守っていけたらいいなと思っています。緊張はしているのですが、これから素敵な共演者の方々と楽しい舞台を作っていきたいです。 山崎静代:呉間言実役をやらせていただきます、山崎静代です。 この舞台に出させてもらうと決まってから原作を読んだのですが、とても面白くて、成瀬に会いたいと思うような作品でした。その世界に入ることができて、しかも成瀬と会えるというのがすごく嬉しいですし、楽しみです。 私はクレームをいっぱいつける役なのですが、普段クレームをつけないんですよね。 すごく溜め込むタイプなので、役作りのためにクレームをつけていこうと思ったのですが、なかなかできなかったです。まずは相方にクレームをつけるところから始めようかなと思います。(笑) ISSEI:西浦航一郎役を演じさせていただきます、 ISSEIです。 僕もこのお話をいただいた時はとても嬉しかったです。 原作があるということで、すごく責任感とプレッシャーはありますが、今年のこのひと夏をさらに盛り上げて、素晴らしい舞台にしたいです。そして、成瀬あかりの自由な部分に振り回される西浦くんの心の変化もしっかり演じられたらなと思います。 すごくワクワクしてますし、たくさんの方に見ていただけたら嬉しいです。 天宮良:私は、自由奔放で予測不能な娘、成瀬あかりの父親である成瀬慶彦役を演じるのですが、きっと舞台装置がとんでもないことになっているんだろうなと楽しみにしています。みんなで力を合わせた素敵な舞台ができることを、みなさんも楽しみにしていてください。 田畑智子:今回は成瀬あかりのお母さんである成瀬美貴子役ということで、この作品はすごくファンの方が多くて、私もその中の一人だったので、まさか出させていただけるとは思ってもいなくて。何年か前にG2さんとはご一緒しているのですが、G2さんの舞台ってすごく疲れるんです。(笑) でもそれがすごくいい疲れというか、うわぁ、やり切ったというのが毎回、毎公演あります。 なので、一筋縄ではいかないなとは思ってます。また今回の作品は滋賀県が舞台になっていて、滋賀県でも公演があるので滋賀のみなさんもすごく楽しみにしてると思います。私は地元が京都で、京都のみなさんも公演をすごく楽しみにしていると思うので、今年の夏も一生懸命この作品と共にパワフルに乗り切りたいと思います。 ■今回、人気原作小説の舞台が決まった時の、一番初めの率直な感想はいかがでしょうか。 山下:原作を読ませていただいて、成瀬はちょっと奇想天外な行動も多いので、どう舞台化するんだろうと思いました。会話劇というか、短いエピソードがたくさん重なってできている一冊だったので、これを舞台にした時にどう表現するんだろうなと。あとは何より私自身が成瀬のかっこよさや天才的な部分をどう表現できるんだろうかということなど、本当にいろんなことを考えました。ですが、演出がG2さんということで、多分全部解決してくださるんだろうなとも思い、もちろん自分も頑張りつつ、たくさん教えていただいていい舞台を全員で作りたいなと思いました。 ■これからの舞台をみんな楽しみにしてると思いますが、乃木坂メンバーやOGメンバーで来てほしいメンバーはいらっしゃいますか? 山下:全員で来てほしいですね。人数が多いグループなので、総出で来てもらえれば。会場も全部埋まるぐらい、全員一人残らず来てくれたら嬉しいなと思います。(笑) ■舞台だからこその表現の仕方、挑戦したいことはありますか? 山下:『成瀬は天下を取りにいく』は、本当に魅力的な言葉がたくさん詰まっています。もちろん私が演じる成瀬あかりの言葉からも勇気をもらえますし、それぞれのキャラクターがハッとするような言葉を原作ではたくさん言っています。舞台では、よりキャラクター同士の掛け合いの中で、温かくも鋭い言葉をかけあうことになると思うので、ぜひ客席からもそこにハッとしたり、勇気をもらったりしていただけたら嬉しいなと思っています。 ■長い作品をまとめるのに大事にされたところはどこですか? G2:原作を読んで思ったのは、成瀬がずっと変わらず我が道を行くように見えて、実は成瀬の中に微妙な変化があるような気がしていて。だんだん自分は何をしていけばいいのかを見つけていく話じゃないかと思い、そういう観点で一本にまとめてみたいと思いました。本当に最近の世の中は、人の目を気にして生きていくっていうのがスタンダードになっているということに改めて気づかされる原作です。人の目を気にせずに、本当に我が道を行く成瀬というキャラクターは、すごく変わり者に見えたりとても特別な存在に見えたりするんですけど、「本当にそんな世の中でいいのか」という、なんとなく辛口な批評のベースが原作の根底にあると思うので、そんなところを舞台上で出していけたらいいなと思っています。 ■台本を読んだ時の印象を教えてください。 天宮:G2さんがおっしゃったように、今の世の中はなるべく目立たないよう、みんなが無難に生きていかなければいけない空気があると思います。しかし、それを舞台という空間に落とし込んだ時に、どう起承転結をつけ、お客様を飽きさせずに長い時間楽しませていくのか。G2さんの頭の中には、きっとさまざまな仕掛けがあるのだろうなと思いながら台本を読んでいました。その形がどうなっていくかは、本当に稽古が始まってみないとわからないのですが、楽しみですね。 田畑:膨大な会話の量で「すごい会話劇だな」という印象ですが、一つひとつのエピソードが際立っているため展開も早く、成瀬というキャラクターがより浮き彫りになっていると感じました。観てくださるお客様にも、よりパワフルな印象を与えられるのではないかと思っています。 山崎:台本がすごく面白くて、原作に忠実でありながら綺麗にまとめられているなと感じました。ここから自分たちでどう立体的にしていくかが勝負だなと思っています。また、結構独白が多いのですが、一人で喋るというよりは、お客様を巻き込んで喋りかけたりするような表現を少し取り入れたらいいのかな、などと考えながら読んでいました。 山下:原作は一つひとつのエピソードがとても濃厚なので、正直、舞台化にあたってこぼれてしまうエピソードもあるのではないかと思っていました。しかし、G2さんが一つひとつ丁寧に拾って脚本として組み立ててくださっているのがすごく嬉しくて、演じるのが楽しみになりました。成瀬は天才ではありますが、決して完璧な人間ではないと私は思っています。その不完全さこそが成瀬の魅力の一つであり、完璧ではない部分にこそポイントがあるのではないでしょうか。舞台の台本ではその部分が際立って描かれている感じがして、私自身、演じるのが非常に楽しみです。 藤野:独白が結構多いので、それを一体どうお客様に投げかけるのか、あるいは自分の中で解決していくものなのか。これらは今後の稽古を重ねていく中で磨き上げられていくものだと思っていますので、すごく稽古が楽しみです。成瀬の世界にどっぷりと浸かっていただけるのではないかと思います。 ISSEI:初めて台本を読ませていただいた時、率直に「めちゃくちゃ成瀬が好きだな」と感じました。その理由は、自分らしさを大事にしている人はとても素敵だなと思ったからです。僕も普段音楽活動をしていて、曲を作ったり歌ったりする時には、自分らしさを絶対に残そうと意識しています。だからこそ、今の時代を生きる同世代や若い世代の方々にこの舞台を観ていただき、成瀬のようなポジティブで前向きに自分らしさを大切にする姿勢を、伝えられたらいいなと思っています。 学生新聞オンライン2026年5月29日取材 東京都立大学4年 坂倉彩月 ■公演概要 舞台『成瀬は天下を取りにいく』原作:宮島未奈『成瀬は天下を取りにいく』(新潮文庫刊)『成瀬は信じた道をいく』(新潮社刊)脚本・演出:G2音楽:かみむら周平 美術:伊藤雅子 照明:髙見和義 音響:岩楯岳志 衣裳:髙木阿友子 ヘアメイク:miura舞台監督:下柳田龍太郎 演出助手:渡邉さつき 制作助手:尾崎裕子<配役>成瀬あかり 山下美月島崎みゆき 藤野涼子呉間言実  山崎静代西浦航一郎 ISSEI成瀬慶彦  天宮良成瀬美貴子 田畑智子 <公演スケジュール>東京・サンシャイン劇場 2026年7月4日(土)~12日(日)京都・南座 2026年7月16日(木)~26日(日)滋賀・大津市民会館 大ホール 2026年7月28日(火)・29日(水) 慶應義塾大学4年 山本唯那/成城大学2年 小澤実桜/東京都立大学4年 坂倉彩月

コラム

テリー伊藤 コラムVol.81 この職業 私には無理です

最も自分に向いていない職業は何かを考えてみた。真っ先に浮かんだのが「潜水艦の乗組員」これしかない。原子力潜水艦は任務として1ヶ月以上海に潜る事もある。私、喫茶店に入っても滞在時間は15分、毎日の入浴もせいぜい5~10分、まさに烏の行水なのだ。小学生の頃はよく先生に「伊藤君もっと落ち着いて!」と注意をされていた。私の落ち着きの無さは筋金入りだ。 絶対になりたくないが、怖いもの見たさで潜水艦乗務員の生活を考えてみた。何と言っても太陽、夕焼け、夜空の星を見ることが出来ないのは辛すぎる。風も吹かない。艦内の天井は低く通路は狭い。逃げ場が無いのだ。考えただけでも恐ろしい。曜日感覚も無くなるに決まっている。限られた空間の中での集団行動で人間関係のストレスも予想される。そのような環境下で国を守る使命を遂行するのだ。乗務員になるには閉所耐性テスト、長期隔離テスト、パニック耐性テストなどの特別な試験があり、幾つもの難関をクリアしなければならない。私など面接会場に近づく事すら出来ない。 彼らにとって1番辛いのはスマホを使えないことだと聞いた。当然海水は電波が通らない、圏外ではなく音信不能。それより先に潜水艦はステルスが命、敵に見つからない事が最優先となる。私物のスマホの持ち込み自体が制限されている。そうなんです、国を守るという使命感がなければ絶対になれない職業だと言える。 海の底での長期生活の対処方法を調べてみた。艦内の照明を24時間変化をつけて人工的に昼、夜を作ったり、食事時間の固定化で人間の脳を騙す作戦。乗務員に好評なのは音楽などの娯楽の時間を作る、映画やテレビドラマ鑑賞、中でも一番人気はお笑い、バラエティ番組を見ることらしい。やっぱりストレスには笑うのがベスト! 同じく大変な職業は宇宙飛行士ではないか。火星まで5460万km、到着まで9か月近くかかる。いくら宇宙旅行をしたいと思っても、狭い宇宙船に9か月は絶対に無理。お風呂も入れない、ベッドも無さそうだし、途中で帰りますと言える雰囲気は無さそう。毎日の宇宙食も飽きるだろう。 こう考えると2つの職業は、共に強靭な体力と精神力、使命感がないと絶対に出来ない。尊敬します。私のような軟弱男にはどんな職業が向いているかを考えてみたが、やっぱり「お笑いの演出家」しか思いつかない。今年は馬年なので早速普通の馬をペンキでシマウマに変身させたいと考えたが、今のご時世コンプライアンス違反で大問題になり企画採用されないだろうな。読者の皆さんは塗り絵で馬の絵の上から黒白の絵の具で変身シマウマ挑戦してみてください。熊をパンダにするのもチビッコ大喜び。楽しいですよ。 テリー伊藤(演出家) 1949年、東京築地出身。早稲田実業中等部、高等部を経て日本大学経済学部を卒業。2023年3月、慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科修士課程修了。テレビ番組制作会社IVSテレビに入社し、「天才たけしの元気が出るテレビ」「ねるとん紅鯨団」などのバラエティ番組を手がける。その後独立し、テレビ東京「浅草橋ヤング洋品店」など数々のテレビ番組の企画・総合演出を手掛ける。著書「お笑い北朝鮮」がベストセラーとなり、その後、テリー伊藤としてメディアに多数出演。演出業のほか、プロデューサー、タレント、コメンテーターとしてマルチに活躍している。YouTubeチャンネル「テリー伊藤のお笑いバックドロップ」LALALA USAでコラム連載中https://lalalausa.com/archives/category/column/terry

企業に聞く

株式会社にんべん 執行役員経営企画部長 町田忠男 / 執行役員商品サ...

売れる仕組みを創り、鰹節の価値を未来へ伝え続ける 株式会社にんべん 執行役員経営企画部長 町田忠男(まちだただお) 製造管理を経て2010年から企画マーケティング担当。2021年より現職、広報宣伝・デジタル施策を管掌。三百年を超える自社の歴史から商いの原点を関係性の構築に見出す。SNSやアンバサダー施策を通してお客様のハピネスと向き合いながらエンゲージメント向上を目指している。開発時代に設計、企画マーケで新パッケージを担当した「つゆの素ゴールド」シリーズが個人的イチ推し。 株式会社にんべん 執行役員商品サービス企画部長 外山浩二(とやまこうじ) 商品企画業務を中心に、市場分析から商品開発、販促提案まで一貫して担当。社内外との連携を大切にし、売れる商品づくりとブランド価値向上に取り組んでいる。 300年以上続く鰹節専門店の株式会社にんべん。時代に合わせて形を変え続け「出汁」という日本食の根幹を守り続けながらベストセラー商品を出し続けている。その背景にある生活者のニーズや出汁文化について経営企画部長の町田さん、商品サービス企画部長の外山さんに伺った。 ■学生時代や入社後の経緯について (町田)私は研究職採用として入社し、これまで研究開発、製造、商品企画、そして現在の広報宣伝へと、さまざまな部署を経験してきました。もともと鰹節や出汁が好きだったこともあり、会社説明会で「本当に鰹節が好きな人たちが働いている会社だ」と感じたことをよく覚えています。実際に社内には、原料や味づくりに強いこだわりを持つ社員が多く、その姿勢に惹かれて入社を決めました。現在は、広報宣伝とデジタル領域の二つを担当しています。広報では生活者の方やメディアとのコミュニケーションを行い、デジタルではECサイトやWeb運営管理などを担当しています。商品の魅力をどう伝えるかを考える仕事ですが、広報には正解がありません。同じ商品でも、伝え方によってお客様の受け取り方は大きく変わります。そのため、「何をどう伝えれば興味を持っていただけるか」を考え続けることが、この仕事の面白さだと思っています。 (外山)私は就職氷河期の時代に就職活動をしていました。当時から「メーカーでモノを作って売る仕事がしたい」という思いが強く、なかでもお客様に近い存在として商品づくりに携われる食品メーカーを中心に企業を見ていました。その中で、鰹節の持つ高級感や、日本食における出汁の重要性に魅力を感じ、この会社を選びました。出汁は和食の土台であり、日本の食文化を支える存在です。その価値を届ける仕事に携わりたいと思ったのが入社のきっかけです。現在は商品サービス企画部で、商品企画や販促提案を担当しています。単に商品を作るだけではなく、どう売るかまで考えることが私たちの役割です。市場分析を行い、ターゲットを考え、売場でどのように見せるかまで設計します。商品が計画通りに売れた時には、達成感が大きいです。 ■時代に合わせて変わる使い方 (町田)共働き世帯の増加など、生活スタイルは大きく変化しています。昔のように時間をかけて料理をすることが難しい方も増えています。そのため、私たちも時代に合わせて商品の“使いやすさ”を進化させています。一方で、鰹節や出汁そのものの価値は変えてはいけないと考えています。最近は「タイパ」という言葉もよく聞かれますが、私たちは単純に早く作れることだけを価値にはしていません。同じ調理時間でも、出汁の質が良ければ食事の満足度は大きく変わりQOLの向上だと考えています。 (外山)近年は共働き世帯の増加やライフスタイルの変化により、調理にかける時間を短縮したいという時短ニーズが高まり、簡単に調理できる商品への需要が増えています。そのため、炊き込みご飯の素やおかず調味料など、手軽に使える商品開発にも力を入れています。一方で、「休日には丁寧に出汁を取りたい」という方も一定数いらっしゃいます。そのため、タイパだけを追い求めるのではなく、食事を通じて生活の満足度を高める商品も大切にしています。お客様のニーズは一つではありません。アンケートなどを通じて声を集めながら、まだ表面化していない潜在的なニーズも探るようにしています。 ■品質を守りながら売れる商品を作る (町田)当社は300年以上続く鰹節専門店ですが、価格だけで大手企業と競争するのは難しい部分があります。そのため、私たちはワンランク上の品質を大切にしています。コストの許す範囲でできるだけ良質な原材料を選び、ていねいなモノづくりを心掛けています。また、鰹節については創業当初からの鰹節問屋という立場を貫き、長年信頼関係を築いてきた国内の職人や生産者の方々から良質な品物を仕入れた鰹節を、私たち自身の手で品質を見極めた上で商品に仕立てています。近年は原材料費の高騰も続いていますが、品質を下げる選択はしていません。必要であれば値上げを行い、それでも選んでいただける商品づくりを続けています。 (外山)商品企画の仕事は、ただアイデアを出すだけでは成立しません。営業部門や製造部門など、多くの部署と調整しながら進める必要があります。そのため、コミュニケーション力は非常に重要です。「どうすればお客様に選ばれるのか」を考え続けることが、この仕事の面白さでもあります。当社は大手企業と正面から価格競争をするのではなく、品質や専門性で勝負しています。例えば、つゆ商品の「ゴールドシリーズ」のように、ワンランク上のおいしさや品質を求めるお客様に向けた商品づくりを行っています。300年以上続く専門店としての歴史や信頼も、私たちの大きな強みです。 ■大学生へのメッセージ (町田)就職活動では、「自分が何をしたいのか」を考える機会が多いと思います。私は、会社の夢と自分の夢の方向性が重なると、働く中で大きなやりがいにつながると感じています。ぜひ条件だけではなく、「自分はどんな価値を大切にしたいのか」にも目を向けながら、自分に合った会社を探してみてください。 (外山)仕事では、自分の考えだけではなく、「お客様が何を求めているか」を考えることがとても重要です。商売は相手がいて成り立つものなので、相手の立場で考える姿勢を大切にしてほしいと思います。就職活動でも、自分がどんな人の役に立ちたいのかを意識すると、進みたい方向が見えてくるのではないでしょうか。 学生新聞オンライン2026年4月16日取材 京都芸術大学1年 猪本玲菜 情報経営イノベーション専門職大学2年 山田千遥/法政大学4年 島田尚和/京都芸術大学1年 猪本玲菜/津田塾大学4年 山下さくら

区長・市長

綾瀬市長 橘川佳彦

適度な都会、適度な田舎。綾瀬らしい暮らしを目指して 綾瀬市長 橘川佳彦 (きつかわよしひこ) ■プロフィール1970年 綾瀬市寺尾生まれ1977年 綾瀬幼稚園卒園1983年 綾瀬市立天台小学校卒業1986年 綾瀬市立綾北中学校卒業1989年 神奈川県立綾瀬高等学校卒業1994年 国士舘大学卒業2011年 綾瀬市議会議員(初当選)2015年 綾瀬市議会議員(2期目当選)2019年 綾瀬市議会議員(3期目当選)、副議長2021年 議長、神奈川県市議会議長会会長2024年 第5代綾瀬市長就任 温かい人が多く、横浜や東京にもアクセスしやすい一方で、畑や緑が広がる落ち着いた環境もある神奈川県綾瀬市。しかし、人口減少や交通課題、子育て支援など、さまざまな課題にも直面している。そうした中で、地域の魅力を活かした住みやすい街づくりを目指す橘川佳彦市長に、綾瀬市の現状やこれからについて話を聞いた。 学生時代はアルバイトに励んでいたのですが、ある日ドライブ先で偶然目にしたF3レースをきっかけに車のレースに挑戦したいと思うようになりました。その夢を叶えるため、大工や足場工事、コンビニ店員などさまざまな仕事を経験しました。そこで、普段は出会えないような多くの人々と関わることができたのは、自分にとって大きな財産になっています。現在の仕事においても、さまざまな職業に携わる方々を表面的ではなく、少しでも深く理解できることにつながっていると感じています。大学卒業後は、百科事典「ブリタニカ」の営業職をはじめ、トラック運転手、キッチンの取り付けを行う設備業、さらにシステム開発会社でプログラマーとして働くなど、幅広い仕事を経験してきました。 ■まず行動してみようと決断した政治への道 システム開発の仕事をしていた際、綾瀬にある家へは寝るために帰ってきているだけでした。しかし、自治会の役員に急遽選出され、地域のことに目を向けるようになりました。そのタイミングが子どもの小学校入学の時期とも重なり、それまで見えていなかった地域の課題や不満を実感するようになりました。そうしたときに、ただ文句を言うのではなく、自分で挑戦してみようと思い、市議会議員に立候補し、13年間勤めました。実は市長になったきっかけも、市議会議員になった時とほとんど同じです。市議会議員でできないことや、納得できないことがあるのであれば自ら市長になって改善しようという思いがありました。市長になれたのは、多くの方の協力やタイミングといった要素もあったと思います。600人を超える市役所の職員さんがいるなか、市長はそのトップとなる存在です。その選挙に対して、地域の皆さんが応援してくれたのは立候補への大きな力になりました。任期の4年間で、まずはできることを行い、綾瀬の良いところを伸ばしていきたいと考えています。綾瀬は、人の温かさが大きな魅力の街です。一方で、住環境はまだ改善できる部分もあるため、交通や生活環境などを一つずつ整えていくことが必要だと考えています。何か1つだけではなく、暮らし全体をより良くしていくことで、「綾瀬に住みたい」と思ってくださる方を増やしていきたいと思っています。 ■住みやすい街づくりのために 綾瀬市は令和2年をピークに人口減少へ転じています。これまでの人口増加や経済成長が前提だった時代から、大きな転換期に入っています。民間企業は変化に対応しようと努力していますが、行政にはまだ危機感が十分に浸透していない部分もあります。まずはその点を変えていくことが、綾瀬市がこれからも生き残るために必要だと考えています。近年、人口が増えている地域を見ると、駅を中心に開発が進められている場所が多くあります。しかし綾瀬市には駅がなく、厚木基地があるために、建てられる建物の高さにも制限があります。そんななかで多くの人に住んでもらうために大切なのは、「適度な田舎感」と「適度な都会感」の両方を持つことだと感じます。さらに、重要視しているのが、子育てしやすい環境づくりです。移動のための公共交通が整い、安心・安全に暮らせるよう医療機関や警察署があり、さらに働く場所として企業も充実している。そうした暮らし全体を整えることで、綾瀬市をさらに発展させていきたいと思っています。現在の綾瀬市の交通手段としては、路線バスやコミュニティバスに加え、シェアサイクルやデマンド型交通の実証実験も進めています。将来的には、Zipparなどの次世代交通も検討しています。また、働く場所の確保としては、工業系の都市開発を進め、新たな企業誘致にも取り組んでいます。特に力を入れているのが、子育て支援です。今年度から既存の公立保育園2園で受け入れできるよう整備し、子ども誰でも通園を始めています。さらに、保育園や幼稚園、小学校入学前の時期は、母親同士のつながりができにくく、孤立してしまうケースもあります。そうした課題に向き合うため、子育てサロンも開くことで、情報交換ができる場づくりにも力を入れています。そのほか、子どもの非認知能力を育てる講習も行っています。不登校や引きこもりの子どもたちに向けては、「あやぴぃす」という愛称の居場所を今年開設し、子どもたちが悩みを相談できる環境や、安心して過ごせる場所づくりを進めています。また、前市長から引き継ぐ形で進学の選択肢を広げるためにひとり親家庭等の高校生に対して通学費補助も続けています。 一方で、子どもが小さい頃は保護者や施設を通じた支援ができますが、中学生以上になると支援が難しくなることが課題でした。そこで今年度から、中学校の生徒会へ補助金を出す取り組みを始めます。これは、生徒会に立候補する際、自分たちの政策の中に10万円の予算を組み込めるという取り組みです。さらに今後は、高校生には市のイベントに運営する側として関わってもらいたいと考えています。子どもたちには、ただイベントに来るだけではなく、自分たちで一緒につくり上げる経験もしてほしいですね。 ■大学生へのメッセージ 夢や希望は、ぜひみなさんに持ってもらいたいです。しかし、夢や希望を持つ段階はもちろん、叶える過程にもさまざまな壁があると思います。それでも、まずは行動してみてほしいです。失敗しても何度でもやり直せますし、失敗を経験した人ほど強くなれます。だから夢や目標に恐れず向かって走ってもらいたいです。さらに時間はみんな当たり前に持っているものですが、逆に言えばどんな立場の人にも平等に与えられているものでもあります。「何をしようかな」と迷っている時間はもったいないと感じます。時間は買えないものなので、有効に使って、ご自身の夢や希望を叶えるためのチャレンジをしてみてくださいね。 学生新聞オンライン2026年5月14日取材 津田塾大学4年 山下さくら 法政大学4年 島田尚和/津田塾大学4年 山下さくら

イベント・企業紹介

『マイナビ ショードラアワード 2026』受賞式

株式会社プログレス(所在地:東京都渋⾕区、代表取締役:⻑⽥俊哉)が運営するショードラアワード実⾏委員会は、株式会社マイナビ(所在地:東京都千代⽥区、代表取締役 社⻑執⾏役員:粟井 俊介)の特別協賛のもと、2026年5⽉27 ⽇(⽔)に開催する縦型ショートドラマの⽇本最⼤級のコンテスト「マイナビ ショードラアワード 2026」受賞式を開催いたしました。 本年度の「マイナビ ショードラアワード2026」には、TikTok 2,819 件、Instagram 1,509 件、合計4,328 件の作品応募が集まりました。さらに、応募作品の総再⽣回数は、TikTok 約6.4 億回、Instagram 約5.9 億回、総再⽣回数12億回超を突破しています。受賞式は、司会はフリーアナウンサーの森⾹澄さんが務め、俳優・畑芽育さん、俳優・⼭下幸輝さん、コメンテーター・品⽥英雄さんがゲストとして登壇し、サプライズゲストで⼩林幸⼦さんが会場に駆けつけました。本受賞式では、最終結果の発表および賞の贈呈だけではなく、「ショートドラマ×AI」をテーマとしたトークセッションが実施され、⽣成AI によって動画制作の環境が劇的に変化する中で「AIはクリエイターの可能性を広げる存在になり得るのか」について議論が交わされ、ショートドラマ市場の未来性に注⽬が⾼まりました。 ■ゲストによるトークセッション 「1 話1 分のショートドラマを作るとしたら」というテーマに対し、森さんは、「ショードラなら(AI も活⽤して)不可能な世界観もできそう。⽔の中で⽣活するとか、そういったショートドラマを作りたい」と発案。⾃⾝の役柄については「⼈⿂……⿂になる︖ これ、⼤丈夫ですか。『森⾹澄、⿂になる』ってネットニュースになったりしませんよね」と笑いを誘うと、畑さんが「⼈⿂姫にしましょう︕」とフォロー。森さんも「⼈⿂姫にしておきます︕」と応じ、「⽔泳をやっていたので泳げます」とアピールしました。⼀⽅、畑さんは、ショートドラマならではのカメラワークに期待を寄せ「スマホのカメラで、画期的な画⾓だったり、カメラワークができそうなので、体を動かせるタイプではないですが、アクションをやりたい」とコメント。⼭下さんは「バイト経験が少ないので、コンビニ店員をやってみたい」と話し、常連客との会話劇のような⽇常ドラマに興味を⽰しました。⼩林さんは「妄想おばさんってどうですかね」と切り出し、「『家政婦は⾒た︕』ならぬ、『妄想おばあさんは⾒た︕』みたいな」と構想を明かし、会場を和ませました。また、⼩林さんは、地元・新潟のおすすめスポットを聞かれると「新潟は⽇本⼀細⻑くて、⽇本海に⾯しているので、海の幸、⼭の幸、⼩林幸……⾯⽩くないですね。ごめんなさい(笑)」とお茶⽬に回答。続けて「⼣⽇は本当にきれい。⼣⽇をバックにペアで話すとうまくいくというスポットがある」と紹介し、さらには⽶や⽇本酒、寿司のおいしさにも触れました。また、ショートドラマと絡めて、最近プライベートで笑ったことを聞かれた畑さんは「先ほど楽屋で、ハイキングウォーキングさんの話題が出て、クスッと笑ってしまいました」とにっこり。⼭下さんは、家でリラックスしてスマホを⾒る瞬間について「トイレです」と即答し、「狭くて、ちょっと暗くて、あの時間が意外と携帯をずっと触っている時間っていうのはあります」と打ち明けました。さらに、映画までの空き時間にトイレへ⼊り、30 分ほど座っていたというエピソードを披露すると、⼩林さんから「(上映に)遅れなかった︖」とツッコミが⼊っていました。森さんには「TikTok など縦型コンテンツを投稿する際に意識していることは︖」という質問も寄せられていました。これに「ショードラの世界もそうですが、最初の3 秒が⼤事ってよく⾔われるので、3 秒の中に引きつける動きをつける、カメラワークを変えることを意識しています」と説明。これを受け、⼩林さんも「おっしゃる通り︕ 演歌も、1、2⾏でヒットするかしないかが変わる」と共感し、ジャンルを超えて“冒頭で惹きつけること”の重要性を語りました。 ■受賞作品⼀覧(敬称略) ⼤賞:セイカイガワカラナイhttps://www.tiktok.com/@seikaiwakaranai/video/7605877419815341332 マイナビ新⼈賞:Agu.official|美容室https://www.tiktok.com/@aguofficial/video/7571385096947649810 Instagram いいね賞:忠津勇樹 (タダツ ユウキ)https://www.instagram.com/reels/DQ6Q0_0E1du/ TikTok いいね賞︓毎⽇はにかむ僕たちは。https://www.tiktok.com/@maihani.4/video/7577188081443425554 ショー旅賞:めんたいフィルムhttps://www.tiktok.com/@mentai_44/video/7580599750966152468 マテリアルショートドラマPR 賞:ビンビンビーンhttps://www.instagram.com/reels/DUSqjwBCUGX/ 出演者賞:⾺越友梨(ネガティブちゃん)https://www.tiktok.com/@negative_chan/video/7596142174694133013 出演者賞:川連廣明(#エモハルドラマ)https://www.tiktok.com/@emo_haru/video/7608877430744288528 出演者賞:⻄堀⽂(ただつわたなべ)https://www.tiktok.com/@tadanabe/video/7568788643205156103 クリエイター賞(企画部⾨):あの卓が気になるhttps://www.instagram.com/reels/DUnKBk5ExKm/ クリエイター賞(企画制作部⾨):N ⾼のドラマhttps://www.tiktok.com/@n_school_drama/video/7587718015177870613 クリエイター賞(監督脚本部⾨):柄シャツ男リターンズ🧠https://www.tiktok.com/@garashirtman/video/7611807906408729876 クリエイター賞(映像/⾳響編集部⾨ presented by Mitomo):Bee Studiohttps://www.tiktok.com/@bee.studio_official/video/7611106388420480274 ⼀⼈芝居賞:だいじろう【俳優】https://www.tiktok.com/@daijiro.suzuki1026/video/7569155373626625287 ■ショードラアワードとは誰もが動画づくりを楽しみ、発信できる時代。ショート動画では、まだ無名の才能たちが、プロのクリエイターでは思いつかないような斬新なアイデアで刺激的なコンテンツを⽣み出し、多くのユーザーを楽しませている。俳優、監督、プロデューサー。まだ、そんな肩書きでは呼ばれていないかもしれない。テレビドラマや映画をつくるようなスキルはこれから⾝につけるのだろう。私たちは、そんな原⽯たちが、原⽯のままで輝ける場所で次のスターたちと出会い、ともにエンタメの未来をつくっていきたい。TikTok やInstagram への投稿にハッシュタグをつけるだけ。動画づくりを楽しむというあなたの⽇常が、トップクリエイターという夢をつかむための第⼀歩になる。 公式WEB︓https://www.showdrama24.com/公式TikTok︓@showdrama_24公式SNS︓X アカウント @showdrama_24Instagram アカウント @showdrama_24NOTE アカウント https://note.com/showdrama_24公式Youtube︓https://www.youtube.com/@SHOWDRAMA_24...

学生新聞インターン

サミット株式会社 代表取締役社長 服部哲也

目の前の仕事が、いつしか天職に サミット株式会社 代表取締役社長 服部哲也 (はっとりてつや)■プロフィール1964年生まれ、明治大学商学部卒。1987年に入社後、総菜部マネジャー、営業企画部マネジャー、取締役常務執行役員、取締役専務執行役員などを経て、2020年4月、代表取締役社長に就任。 首都圏を中心に食品スーパーマーケットを展開するサミット株式会社。サミットでのアルバイトをきっかけに入社し、現在は代表取締役社長を務める服部哲也氏に、与えられた役割に誠実に向き合う中で育まれた経営観や、「店そのもの」を価値として届ける地域密着の店づくりについてお話を伺った。 学生時代はサミットでアルバイトをしながら、バンドの練習やライブに打ち込む日々を過ごしていました。小学校、中学校、高校と、同じような環境で育った人たちと過ごすことが多い中、音楽を通じて、それまでの生活では出会わなかった人たちと関わり、多様な価値観や生き方に触れることができました。当時は、大学を卒業し、会社に入り、働いていくことに対して、どこか不安も抱いていたように思います。会社に入ることで、社会の歯車の一部になり、自分の人生が単調なものになってしまうのではないかと感じていました。しかし、仕事をするようになって、その考えは大きく変わりました。仕事は、自分を社会の歯車にするものではなく、いろいろな人との出会いや考え方に触れ、人生を広げてくれるものだったと気づいたからです。一日の多くの時間を費やすものだからこそ、一生懸命向き合えば、自然と道が開け、自分自身を成長させてくれると実感しています。サミットとの出会いは、家から近いという理由で選んだ店舗でのアルバイトでした。最初からスーパーマーケットの仕事を強く志していたわけではありません。ただ、5年半ほど働く中で、職場の雰囲気が温かく「サミットという会社は良い会社だな」と思えたことが、入社につながりました。入社後は、店舗勤務を経て、加工食品のバイヤー、総菜部、営業企画部マネジャーなど、さまざまな役割を経験しました。実は、自分から「この仕事がしたい」と言って歩んできたタイプではありません。それでも、目の前の仕事から逃げずに向き合ううちに面白さが見えてきて、異動が決まる頃には、その仕事を「天職」だと感じるようになっていました。社長になった日の晩、最初に頭に浮かんだのは、約1万8000人の全社員と、その家族や大切な人たちに対する責任でした。業績を上げるだけでなく、働く人が心身ともに健康で、自分らしく仕事に向き合える環境をつくることも、社長としての大切な責任だと感じています。 ■“店そのもの”を選ばれる存在に 現在、サミットは一都三県で125店舗を展開しています。直近決算では、売上高366,558百万円、経常利益9,585百万円となり、売上高・経常利益ともに前年を上回るなど、地域に根差した店舗づくりが着実に成果へつながっています。私たちが大切にしているのは、単に商品を売ることではありません。接客、サービス、売り場の雰囲気まで含めて、「店自体が商品」なのです。お客様が商品を買うだけでなく、「この店で買いたい」「この店が好きだ」と感じてくださることが、サミットらしさにつながっています。その象徴が、日々売場の案内やお客様とのコミュニケーションを主に担う「案内係」や、気になる商品を試せる「おためし下さい」、そして「向き合う接客」です。機械的に「いらっしゃいませ」を繰り返すのではなく、お客様の目を見て「こんにちは」「ありがとうございます」と挨拶を交わすことで、お客様との距離はぐっと縮まります。案内係から毎日届くレポートには、お客様の人生に触れるような出来事が数多く書かれています。亡くなる前に「案内係の方にお礼を伝えてほしい」とご家族に託されたお客様の話もありました。単なるスーパーマーケットではなく、地域で暮らす方々の生活や人生に関わる場所になっている。そのことを知るたびに、私たちの仕事には大きな意味があると感じます。サミットが目指しているのは、「生きる糧を分かち合うお店」です。“生きる糧”とは、単に食品を届けることだけでなく、人が元気になったり、喜びを感じたりすることも含んでいます。お客様の暮らしに寄り添いながら商品やサービスをお届けし、その反応や感謝の言葉をいただくことで、働く社員も元気ややりがいを得る。そうしたお客様と社員の間に生まれる良い循環こそが、サミットの強みだと思っています。 ■地域に根を張る、サミットという大きな木へ 私は、サミットの店舗を一本の大きな木にたとえています。根は社員、幹は売場、枝は部門、葉は商品やサービスです。地域社会という大地に根を張り、お客様や地域のお困りごとを受け止め、商品やサービスという酸素を届けていく。そして、お客様からの喜びや満足が地面に染み込み、根である社員を育て、また木が大きく茂っていきます。樹木は、一度その場所に根を下ろすと、長くそこにあり続けます。お店も同じです。良い店であれば、10年20年と長く地域に必要とされ続ける存在になれるはずです。だからこそ、サミットでは各店舗がそれぞれの地域との関係性を大切にしています。今後は、この「生きる糧を分かち合うお店」という考え方をさらに深めていきたいです。社員の想いがお客様に伝わり、その反応がまた社員の力になる、そうした良い循環を実感しながら働ける会社にしていきたいです。一見すると同じスーパーに見えるかもしれません。しかし、お客様に「なぜかサミットに行きたくなる」と感じていただけるような、得体の知れない強さを磨いていきたいと思います。 ■大学生へのメッセージ 学生時代に、興味のあることを一生懸命やり尽くしてほしいと思います。勉強でも、趣味でも、活動でも、本気で取り組んだ経験は、必ずどこかで自分の力になります。社会に出たら、今度は自分にできることを考えながら、目の前の仕事一つひとつに向き合ってみてください。仕事は一生懸命やれば、必ず自分の糧になり、自分を成長させてくれます。思い描いた通りの道にならないこともあるでしょう。けれど、思い通りにならなかった道の方が、案外楽しかったり、結果的に素敵な人生につながったりすることもあるのです。 学生新聞オンライン2026年5月8日取材 津田塾大学4年 石松果林 津田塾大学4年 山下さくら/京都芸術大学1年 猪本玲菜/津田塾大学4年 石松果林/東京女子大学3年 浮田梨紗

イベント・企業紹介

映画『トムとジェリー 時をこえる魔法の羅針盤』

誕生から85年以上。世代を超えて世界中で愛されるトムとジェリーが、誰も見たことのない新たな世界へ!シリーズ初の全編フルCGアニメーションで描かれる最新作は、ふたりが時空を超えて未知なる世界へと迷い込む、かつてないスケールのアドベンチャー。きらびやかな花火が舞う「黄金の都」を舞台に、新しい仲間たちを巻き込んだ予測不能な大冒険が幕を開ける!息をのむような圧倒的な映像美と、言葉のいらないおなじみのドタバタ劇。映画館のスクリーンが、笑いと興奮に包まれる極上のテーマパークに生まれ変わります。学生新聞インターンが鑑賞した感想をご紹介します。みなさんもぜひ劇場へ! 本作は、トムとジェリーの代名詞とも言えるハチャメチャな追いかけっこをベースにしながらも、壮大な世界観の中で「魔法の羅針盤」を巡り繰り広げられる攻防戦が非常に見応えのある作品でした。これまでのシリーズを通して親しまれてきたコミカルでテンポの良いドタバタ劇の魅力はそのままに、物語の鍵を握る羅針盤の行方が、300年もの時を超えて世界の在り方を変えていく展開に終始ハラハラドキドキしていました。過去と現在が交錯する構成には引き込まれました!また、アニメーションならではの軽快なアクションや、思わず笑ってしまうユーモアあふれる演出も本作の大きな魅力です。トムとジェリーの息の合った掛け合いが作品全体を盛り上げ、爽快感を与えてくれます!ぜひ、この物語のスケール感を存分に味わってみてはいかがでしょうか。東京都立大学4年 坂倉彩月 本作はお馴染みのトムとジェリーが、シリーズ初のフルCGアニメーションとして描かれ、時空を超えた未知の世界で大活躍をします。フルCGですが違和感などは全くなく、トムとジェリーの掛け合いがコミカルかつ圧倒的な映像美で表現されていて、思わず見入ってしまいました。またいつものドタバタ劇だけではなく、異世界でかつてないスケールで活躍するふたりの姿にもワクワクさせられました。独特の世界観や、不死鳥仙人を始めとした魅力的なオリジナルキャラ達は、米中合作で作られた本作ならではだと思います。お馴染みのドタバタ劇と前代未聞のアドベンチャーが融合した、100分間ずっと目が離せない作品でした。法政大学4年 島田尚和 本作のテーマは「羅針盤」であり、それをめぐる争いが見どころです。物語の展開には何度も引き込まれました。トムとジェリーもかわいらしく、トムがジェリーを助けに行くときに胸を張って歩く場面は面白く、思わず笑ってしまいました。さらに、トムとジェリーをはじめとする登場人物たちの個性も興味深く、繰り返し観たくなる作品だと感じました。今回の映画はこれまでとは一味違う魅力があり、これまで観てきた人はもちろん、初めて観る人でも十分に楽しめる作品だと思います。東京薬科大学4年 庄司春菜 博物館の警備員をしていたトムが、ジェリーとの追いかけっこの末に古代の秘宝を起動させ、数千年前の「黄金の都」へタイムスリップする物語です。シリーズ初のフルCGで描かれる都は、寺やお堀、湖の細部まで美しく、ふたりの毛並みや豊かな表情のリアルさには終始圧倒されました。セリフがないからこそ、動きだけで伝えるふたりの魅力がより増しており、トムが「ネコ神様」と勘違いされる姿や、ラット魔王の野望を阻止するための共闘は胸が熱くなります。まさに「仲良くケンカ」し、あいつがいないとつまらないというふたりの強い絆を再確認できました。老若男女が笑って心からリフレッシュできる、この夏にぴったりな冒険活劇です。青山学院大学2年 松山絢美 幼い頃多くの人が一度は見た事のあるトムとジェリーですが、今回の映画では、いつものふたりだけれどとてもかっこいいふたりの姿を見ることが出来ました。喋ることはできないふたりですが、豊かな表情とキャッチーな効果音でふたりの感情がヒシヒシと伝わってきます。普段のアニメよりも壮大なスケールの中で、「星の羅針盤」を巡る騒動を通して、それぞれのキャラクターが成長して行く様子には心を打たれました。もちろんトムとジェリー以外のキャラクターも、人情味あふれてとても魅力的でした。いつもは喧嘩ばかりのトムとジェリーですが、ふたりのコンビネーションで様々なピンチを解決していて、見ていて自然と笑顔になれる映画でした。上智大学2年 石川仁菜 トムとジェリーは、小さな体でトムをもてあそぶジェリーと、その姿を追いかけるトムの姿が印象的です。その姿は「敵」のようにも、喧嘩するほど仲が良いように見える「仲間」にも見えます。今回の映画では、「敵」のようにふたりで戦っていました。しかし、時をかける羅針盤を何とか仲間のもとに返すために、トムとジェリーは「仲間」として戦います。それはまるで、仲が良い兄弟のようです。ぜひ、トムとジェリーの大迫力な冒険を、自分の身近な人に照らし合わせながら、ご覧ください。かえつ有明中学校2年 狩野百福 映画『トムとジェリー 時をこえる魔法の羅針盤』 5月29日(金)全国ロードショー配給:クロックワークス原題:TOM AND JERRY: FORBIDDEN COMPASS|映倫:G© 2025 Warner Bros. (F.E.). All Rights Reserved.公式HP: https://tomandjerry-compass.com/公式X: @TandJ_compass公式Instagram: @ tomandjerry_compass

学生新聞インターン

株式会社神明ホールディングス 代表取締役社長 藤尾益雄

新たなビジネスモデルで日本の農業と食生活に貢献する 株式会社神明ホールディングス 代表取締役社長 藤尾益雄(ふじおみつお) ■プロフィール1989年大学卒業後、㈱神明(現㈱神明ホールディングス)に入社し、米卸の老舗企業4代目として2007年社長に就任。2009年に急性骨髄性白血病を発症したが、半年後に復帰。米を中心に青果・水産・外食へと事業領域を拡張し、川上から川下までをつなぐアグリフードバリューチェーンを構築。現在は農業のプラットフォーマーを目指し、日本の農業と食の持続的発展に取り組む。 米卸を祖業として長い歴史を持ちながらも、青果事業や外食産業に参入するなど、積極的な事業拡大を行なっている神明ホールディングス。その創業家の4代目でもある藤尾益雄社長に、跡継ぎとして過ごした学生時代や日本の農業が抱えている問題点、ビジネスモデルの転換や今後の展望についてお伺いした。 私は米卸の創業家の4代目として生まれたので、3歳頃からずっと「お前は跡取りだ」と言われて育ってきました。祖父からは大学への進学を反対され、高校を出たらすぐに精米工場で働くように言われました。ですが、大学に行きたかったので、通いながらも精米工場で働くことを条件に、なんとか説得をして進学しました。精米工場で最初に経験をしたのは、産地からトラックで運ばれてきた米をタンクへと流していく「張り込み」という仕事でした。体力的にも1番しんどい作業なのですが、この経験によってしんどいことへの忍耐力が身につきましたね。そして何よりもお米を1番身近で見て品質のチェックなども自分自身でするので、お米のことがどんどん分かっていきました。その後も様々な部署で経験を積み、入口から出口までの全ての工程をこの期間に学びました。この経験は後々すごく活きて、営業でお得意様のバイヤーさんが来た時に精米工場のことも全て説明できたので、非常によい経験でしたね。 ■米卸からアグリフードバリューチェーンへ 大学を卒業後はそのまま神明に入社して様々な経験を積み、父から交代する形で2007年に社長へ就任をしました。神明はもともと1902年に米屋として創業して、そこから米卸へと転換して歴史を築いてきました。その中でずっと日本一の米卸を目指し続けており、たしかに神明としては成長してきました。その一方で消費面では日本の食の多様化によりお米の消費は低下しており、生産面では生産者の減少など様々な要因が起因し、食料自給率の低下や日本の農業の弱体化をもたらしていました。そのような過渡期にある中で、ビジネスモデルのチェンジが必要でした。どうすればもっとお米を食べてもらえるかと考えた時に、朝食マーケットに目をつけました。朝食はどうしても時間がないためパンで済ませる人が多く、しかも当時のパックご飯は独特の匂いや酸味がありました。そこで家で炊いたご飯と同じようなものを提供できればもっと朝食でパックご飯を食べてもらえるのではないかと考え、新プロジェクトを開始しました。全国の水が綺麗なところを巡る中で富山県の入善町という場所に出会い、水質も米の炊飯に非常に適していたことから、入善町に工場の建設を決めました。2026年には第4工場が竣工して、年間1億5000万食を提供できる体制が整います。ご飯がおいしくなることでパックご飯の普及が拡大して、お米を食べてもらうきっかけを増やすことができました。また従来はスーパーや外食産業にお米を卸して、それを買ってもらい、食べてもらうのが中心でしたが、お客様の口元まで届けることにもチャレンジしようと、回転寿司の「魚べい」などで外食産業にも参入しました。このように私たちは生産からお客様の口元に届くまでを一貫して担う、アグリフードバリューチェーンを構築しています。 ■日本の農業の今後とグローバルな食料危機 日本の農業は今危機に瀕しています。お米を作っている農家さんは2020年85万人いますが、それが2040年には半数以下の30万人になる見込みです。それに伴って生産量も減少し、年間700万トンから360万トンへと半減します。一方で消費は年間490万トンほどとなる予想であるので、年間130万トンが不足するということになります。つまり2040年にはお米の需要に対して供給が2〜3割も不足する可能性があり、これはあってはならないことです。私は人が生きていく上で絶対必要な資源は2つあると考えていて、1つはエネルギー、そしてもう1つは食料だと思っています。このままいけば日本はエネルギーだけではなく、食料の面でも大きな危機に瀕することになります。私はずっとグローバルな食料危機が来ると言い続けてきましたが、そうなれば食料自給率38%の日本は沈没してしまいます。その時に人々が飢えてしまわないよう、比較的自給率が高いお米と野菜は自給自足できるようにするのが課題であり、同時に我々の使命でもあります。 ■農業のプラットフォーマーとして農家を支える このような課題に対応するために、ドローンやGPSなどを活用したデジタル化の推進や、多収穫・良食味・早生である新品種「ふじゆたか」などの品種開発、さらに大規模農家を育成する事業も運営しています。また今後はアグリフードバリューチェーンを強化するために、農業のプラットフォーマーになることを大きな目標として取り組んでいます。具体的には昨年から川上戦略事業本部を作り、全国の先進的な取り組みをしている農家さんを支え、様々な課題を一緒に解決しています。最近では農家さんに向けた国の助成金の制度などが複雑なことから、AIの営農指導員を作って欲しいという声もありました。そのような要望をきちんと実現して、農家さんの後押しをすることで成長していってもらうことを目指しています。 ■学生へのメッセージ みなさんには大きな夢や目標を持って欲しいです。社会人になると学生時代と違って、様々な障害や試練に直面することがあると思います。そんな時にも諦めずに前向きに取り組んでいくことが、夢の実現につながっていきます。私も神明の企業理念を実現するために、常に大きな目標を掲げて実現してきました。勉強ができる・できないは関係なく、夢と目標だけは大きく持って、絶対に何があっても諦めないという気持ちで突き進んで欲しいです。そのような信念があれば、必ず夢は実現していきますよ。 学生新聞オンライン2026年4月20日 法政大学4年 島田尚和 法政大学4年 島田尚和/京都芸術大学1年 猪本玲奈

イベント・企業紹介

パルコ・プロデュース2026『リチャード三世』 俳優10人で創り上げる濃密な...

撮影:加藤幸弘 2026年5月10日 東京・PARCO劇場にて『リチャード三世』が開幕しました。パルコがプロデュースするシェイクスピア作品を森新太郎さん演出、吉田羊さん主演で上演するシリーズ。2021年に全キャスト女性の『ジュリアス・シーザー』、2024年に『ハムレット』の原型と言われる戯曲『ハムレットQ1』を上演し、物語の壮大なスケールはそのままに登場人物の繊細な心理を丁寧に描き出した演出で好評を博しました。第三弾となる今作『リチャード三世』は、兄や貴族を策略によって次々と葬り、王位を奪取するも、血塗られた王座を守るための暴政が破滅に向かう物語。本作では、『リチャード三世』に出てくるさまざまな登場人物たちを、リチャード三世役の吉田羊さんと9人の出演者で描きます。人類の歴史の中で繰り返されている権力闘争と政治的野心からなる悲劇。シェイクスピアが描いた現代にも通ずるこの物語を、吉田羊さんと9人の出演者により観る者を深く魅了する森新太郎さんの演出でお贈りします。初日に先立ち5月9日に行われた開幕前会見・公開ゲネプロを取材させていただきました。 言葉と感情が疾走する『リチャード三世』〜開幕前会見〜 吉田羊:今回タイトルロール(リチャード三世)を演じさせていただきます。1ヶ月強稽古を続けてきまして、やっとお客様に観ていただけるワクワクと、そして若干の緊張とで複雑な感情です。残酷な話をやっているとは思えないほど、非常に和気あいあいとした座組で、爆笑の稽古場でした。その楽しさと、シェイクスピアが悲劇として描いた作品を今作では喜劇として描いているのでそのおもしろさを伝えられるように頑張りたいと思います。ぜひ皆さんお待ちしています。よろしくお願いします。 愛希れいか:主にアンとラトクリフという役を演じます。ここまで大変なこともありましたがすごく楽しく、充実した稽古期間でした。ここからは自分自身だけではなく、お客様に楽しんでいただけるように精一杯努めてまいりますのでどうぞよろしくお願いいたします。 中越典子:この1ヶ月以上の時間を演出家さんをはじめとするスタッフさん、キャストの皆様と一緒に過ごしてきて、とにかく「一生懸命やる」ということだけを今回考えてやってきました。明日からは心を込めて演じていきたいと思いますので、ぜひ『リチャード三世』を観にいらしてください。よろしくお願いします。 赤澤遼太郎:あっという間に初日を迎えるということで、毎日密度が濃くて、楽しい充実した1ヶ月強の稽古期間でした。おもしろいシーンや笑いが出るシーンもあるので、それをお客様とどのように創り上げていくのか本当に楽しみになっております。長い期間上演する公演になりますので、怪我なく楽しんで頑張りたいと思っております。 増子倭文江:今作では楽をしている人が本当に一人もいません。皆さんの目には見えないかもしれないのですが、スタッフの方も死に物狂いで仕事をしています。どうぞ皆さんご覧になってください。よろしくお願いします。 浅野雅博:何役も演じておりまして、やっと次のシーンが何かということが体に入ったところです(笑) そういうところも踏まえて楽しんでくださったらと思います。どうぞよろしくお願いいたします。 星 智也:私も10以上の役を演じることが判明しました(笑)この素晴らしいキャスト、スタッフ、そして観に来てくださるお客様のために、誰ひとりとして怪我なく、無事に千秋楽まで迎えられるよう、みなさんも何卒応援よろしくお願いします。 清田智彦:僕も9役やっております。本当にチームワークの良い座組なので、このチームワークを出して頑張っていきたいと思います。 篠井英介:ジェンダーレスな時代になりまして、なんと(吉田)羊さんがリチャード三世を演じます。これは見物に違いないです。ぜひまずはそれを眼目として観ていただきたいです。(吉田)羊さんのリチャード三世に対し、絶世の美女マーガレットを演じさせていただきます(笑)浅野さんに至っては12役で、みんな何役も演じています。「あの人が次はこんな役を演じている!」と探すのもお楽しみのひとつでありますので、謎解きのようにご覧いただくのも良いかと思います。舞台上はセットが少なく、PARCO劇場にとても映えていてスタイリッシュでかっこいい舞台になっているはずでございます。 渡辺いっけい:長年役者をやっておりますと、たまにその仕事が”仕事を超えた何か”に成るということがあります。この舞台は恐らくそういう仕事です。今から終わるのが寂しいです。そのくらい密度が濃く充実した稽古でした。早くお客さんの前に立ちたいと思っています。みなさんいろいろな役を演じますが、吉田羊さんは一役です(笑) そこも見どころです(笑) お楽しみにしてください。 撮影:加藤幸弘 Q.演じてみて大変なこと、逆に楽しいことがあったら教えてください。 吉田:演じていて大変なことは体の造形です。戯曲に忠実に創っておりますので、劇中は体をくの字に曲げて、普段の半分くらいのサイズでお芝居をしております。腰痛ケアが必須になりますので非常に大変なところではあります。逆に楽しいことは、本来ならば隠したいはずのネガティブな感情をリチャードという役のフィルターを通して解放できるところです。これが思いのほか楽しかったです。演出の森新太郎さんから「そこまでやらなくていいよ」と言われるほど非常に楽しんでやらせていただいております。 Q.作品の見どころを教えてください。 渡辺:何役も演じることが中々ないので、自分も思ってもみなかったことなのですが、多面的にこのストーリーを感じることができます。通常であれば、ひとつの役でシェイクスピア作品の解釈をするところなのですが、今作は複数の役を演じているため、自分が違う登場人物でいるときに自分が演じている役の噂話があったりします。この作品の世界がじわじわと体に染みてきてシンクロするので、みんなでひとつの世界を創ることができていると思います。 篠井:シェイクスピア作品は正直ややこしいです。日本とは違って一人の人にもいくつも呼び名があるので、誰がどの人だかわからなくなってしまいそうと考えている方もいらっしゃるかと思いますが、あまり怖がらずに観ていただきたいです。いつの世も変わらぬ喜怒哀楽を僕たちが一生懸命演じますから、直にドラマチックなものを感じ取っていただけるはずです。よくわからない言葉もたくさんあるかとは思うのですが、あまり気にしなくて良いと思います。みなさんにも想像力がたくさんあると思いますので、観て、感じていただきたいです。生身の人間がやっている演劇の力というものを、お客様もどうぞ信じてください。絶対に楽しんでいただけると思います。 清田:この芝居の見どころは本当にたくさんあるのですが、個人的に好きなところはオープニングです。(吉田)羊さんのオープニングがとてもかっこいいので、いつも袖で赤澤くんとテンションが上がっています。楽しみにしていてください。 星:篠井さんも仰っていたように、シェイクスピア作品の難しいところは、言い回しや言葉、少し文章が長いことや、登場人物が多すぎるということがあると思います。今回、森さんの企みでもあると思うのですが、キャスト10人がいろいろな役を演じることによって、人物関係もシンプルになっているので観やすくなっているはずです。我々を観てもらえば、世界に入り込めるように創られていると思います。この10人の俳優たちが必死にタスキリレーをしているので、楽しんでいただけたらなと思います。 浅野:このシンプルな舞台からは想像もつかないくらいに袖とバックステージのスタッフさんのスタッフワークに支えられているというのはとても大きいです。信頼関係でできあがっているので、そのあたりも踏まえて、演劇って総合芸術なんだなと思って観てくだされば嬉しいです。 増子:確かに難しい芝居ではありますけれど、森さんがいろいろな仕掛けを考えていてくださっているので、喜劇としか考えられないようなシーンもあります。私はそこがとても好きなので楽しんでいただきたいと思います。 赤澤:(増子)倭文江さんが仰っていたシーンが僕も大好きなので、そこを楽しんでいただければなと思います。僕も最初はシェイクスピア作品が難しいなと思っていたのですが、大事なのはセリフではなくて、セリフの裏にある感情や、人と人との気持ちのやりとりだと思いました。このように考えると、役の感情や人間の立ち位置が分かってきたので、恐れることなく観に来ていただきたいなと思います、森さんの演出がかっこよくて、リアリティのある部分もあるので、そこも楽しんでいただけたらなと思っております。 中越:少し幕を降ろして非常に細長い景色の中でお芝居をしていくことに対して、最初は恐怖と不安に溢れていたのですが、日々稽古を重ねていくうちに少しずつ3時間弱のひとつの物語ができあがっていきました。袖で観ていると、自分が出ていない部分も心がグッと締め付けられて泣けちゃうような場面ばかりなんです。全部が見どころだとは思うのですが、先ほど(増子)倭文江さんが仰っていたシーンが、みなさん本当に楽しんでいます。他の場面ではいつも心が張り裂けそうな状態でいるのですが、そこのシーンだけはほぐれていられて、自分も楽しんでいられます。 愛希:全てが見どころですが、私が好きなのは、(吉田)羊さんが演じるリチャードの物事が自分の思い通りにいったときの「やった!」という、楽しそうで、嬉しそうな表情がたまらないです。リチャードは本当にひどいことをしているのですが、冒頭からお客様が巻き込まれていくようなお芝居になっているので、見ているお客様もその表情に乗せられてきっと楽しくなってしまうと思います。 吉田:先ほどからみなさん仰っていますが、この悲劇を喜劇とする理由の最大のひとつは、王様になるために企みを隠し、言葉を巧みに操って良心のある人を演じていくリチャードの大芝居にあると思います。おおよそ靡かないだろうと思われる周りの人々が次々に翻意していく様が非常に爽快でおもしろいです。そして、最初こそお客様とリチャードの共犯関係で「ここは嘘だよね。」「本当だよね」とわかっていたはずが、途中からリチャードの熱情にお客様も浮かされて「これはどっち?」とわからなくなっていきます。その嘘か真かの境界線が曖昧になっていく様というのもおもしろさのひとつかなと思います。 Q.これまで演じてきた役との違いや、悪役の魅力があれば教えてください。 吉田:自分が本来持っている負の感情、例えば、嫉妬や妬み、自己肯定感の低さという本来なら隠しておきたい感情を役のフィルターを通して解放できることが非常に楽しいですし、「自分ってこんなにも性格が悪いんだ」ということを実感しながら演じる瞬間もあります(笑) 醜い感情が乗るからこそ、その先にあるリチャードの悲しい切なさのようなものが、コントラストとして生きてくるかなと思いますので、そこは思い切り演じていきたいなと思っているところです。 Q.俳優さんの中には「役が抜けない」という方もいらっしゃるかと思うのですが、吉田さんはいかがでしょうか。 吉田:前に『ジュリアス・シーザー』『ハムレットQ1』を上演したときもそうだったのですが、舞台作品の中でも特にシェイクスピア作品は、普段から役が抜けないんですよね。女性誌の取材をしていただく機会があり、自分では爽やかに笑っているつもりだったのですが、マネージャーさんが飛んできて「吉田さん、リチャードになっています」と注意されたりしました(笑)でも、むしろ今は普段から役を抜きたくないという気持ちでおります。 Q.吉田さんから、作品を楽しみにされているお客様にメッセージをお願いします。 吉田:“シェイクスピア×森新太郎×吉田羊によるPARCO劇場シリーズ”は今回で一旦完結編となります。前2作品とは対極にある大悪党の役ですが、それぞれのキャラクターの背景にある想いになぞらえてご覧いただくと、非常に深く楽しんでいただける作品となっております。今回はリチャードを入れて全57役登場します。私はリチャード一人を演じさせていただきますので、残りの56役をこの9人のみなさまに演じていただくことになります。演劇的であり、挑戦的な試みでもありますので、楽しみにご覧いただきたいと思います。そして、森新太郎さんの演出作品ならではの疾走感のあるシェイクスピアをお届けするつもりでおります。「シェイクスピアって苦手だな、長いでしょ、つまんないでしょ、重たいでしょ、うるさいでしょ」と思っていらっしゃる皆様にこそ、ぜひ劇場に足を運んでいただいて、「意外とあっという間だったな。2時間40分もあったの?1時間ぐらいの感覚だったわ」という気持ちで楽しんでいただけたら幸いです。ぜひ劇場でお待ちしております。 撮影:加藤幸弘 言葉と熱量に呑み込まれる舞台 〜学生の観劇レポート〜 今回の舞台「リチャード三世」は、出演者の方の圧倒的な演技力で一気に物語の世界観に惹き込まれました。一人で何役もやっていらっしゃったのですが、言われないと気づかないくらいに、それぞれの登場人物が生き生きと舞台の上でストーリーを紡いでいて言い表せない気持ちになりました。また、照明や舞台セットがシンプルながらとても効果的に使われていて、自分がまるでその場にいるように情景を思い浮かべることができました。この舞台では一貫して「悪」をリチャード三世が背負っていましたが、リチャード三世の貪欲に王座を目指す姿が正解のように見えてしまっていたので、吉田さん演じるリチャード三世は存在感のある演技だと感じました。私は、個人的にマーガレットを演じた篠井英介さんが「怖い」ではなくて「不気味さ」や「妖艶さ」を感じる演技をされていて、とても印象深かったです。時間が進むたびに次は何を言うのだろう、何が起こるのだろうという息が詰まるような緊迫感が止まらない作品でした!上智大学2年 石川仁菜 シェイクスピア作品ならではの、ひとつひとつの言葉が持つ深みと、俳優の皆さんの圧倒的な表現力に惹き込まれる時間でした。吉田羊さんが演じるリチャードが印象的に残り、性別という枠を超えて「その人物として存在している」と感じさせる佇まいがとても演劇的で、冷酷さや孤独、野心を抱えたリチャードの姿が生々しく、終始目を離せませんでした。また、シェイクスピア作品は長台詞や独特な言い回しも多く、難しい印象を持たれることもあるかと思うのですが、今作は役者の皆さんの表現力が本当に素晴らしく、言葉が自然と耳に入ってきました。また、小道具の少ないシンプルな舞台だったからこそ、俳優の皆さん自身が放つエネルギーがより際立っていたように思います。そして、「権力を求め続けた先に何が残るのか」という作品全体に流れる虚しさや、誰かを蹴落とし、裏切りながら進んでいくリチャードの姿には恐ろしさがありながらも、人間の弱さや孤独も感じられました。苦しみや哀しみ、嫉妬、狂気といった感情が次々と押し寄せ、観ている側の私たちの感情までも大きく揺さぶられる舞台でした。城西国際大学3年 渡部優理絵 <公演概要> 作:ウィリアム・シェイクスピア翻訳:松岡和子演出:森新太郎 出演吉田羊愛希れいか 中越典子 赤澤遼太郎 増子倭文江 浅野雅博 星智也 清田智彦篠井英介 渡辺いっけい 公演スケジュール東京・PARCO劇場2026年5月10日(日) 〜2026年5月31日(日) 大阪・森ノ宮ピロティホール2026年6月6日(土) 〜2026年6月7日(日) 愛知・東海市芸術劇場 大ホール2026年6月13日(土) 〜2026年6月14日(日) 福岡・久留米シティプラザ ザ・グランドホール 2026年6月20日(土) 〜2026年6月21日(日) 岩手・奥州市文化会館 Zホール 大ホール2026年6月27日(土) 13:00開演 学生新聞オンライン2026年5月10日取材 城西国際大学3年 渡部優理絵/上智大学2年 石川仁菜

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株式会社AlbaLink 代表取締役 河田憲二

「訳あり不動産」に、新たな役割を 株式会社AlbaLink 代表取締役 河田憲二(かわた けんじ) ■プロフィール在学中にWebマーケティング事業を創業し、並行して空き家投資を開始。空き家市場の拡大に大きな可能性を見出し、Webマーケティング事業を売却後の2019年5月にルームセレクト社(現AlbaLink社)を買収。空き家の買取再販事業に専念。 空き家の買取再販と利活用を専門とする不動産IT企業、株式会社AlbaLink。47都道府県に対応し、WebメディアやSEO施策、広告運用を駆使して、累計相談件数は約5万件に上る。同社を買収後、事業を空き家・訳あり不動産領域へ展開した代表取締役・河田憲二様に、事業への思いや空き家問題への向き合い方を伺った。 大学時代、もともとは学校の先生になりたいと思い、教職課程を取っていました。ただ、教育実習を前に、自分には教壇に立つ覚悟がないと感じたのです。周囲が就職活動を始めたタイミングで、私も取り組みましたが、両親が経営者だった影響もあり、会社に勤め続ける自分の姿は想像できませんでした。どうせ数年で辞めて自分で事業をやるだろうと思っていたため、「商売のやり方を学びたい」という思いで就職活動をしていました。しかし、そのような姿勢では当然うまくいかず、結果的に就職ではなく、自分で事業を始める道を選びました。とはいえ、お金も人脈もありません。そこで選んだのが、インターネットマーケティングです。ドメイン代やサーバー代があれば始められ、自分で記事を書き、情報を集めれば挑戦できる。起業というより、「それしかできなかった」という感覚に近かったと思います。最初から分野を決めていたわけではありません。いろいろな商材を見ながら、単価や成約率を比べる中で、たまたま債務整理などのリーガル領域にたどり着きました。当時は検索エンジンの仕組みに工夫の余地があり、地域名ごとに記事を作ることでアクセスを集めることができたのです。メディアを立ち上げた結果、売上も出るようになりましたが、同時に「このままでは長く続かない」と感じていました。そこで、弁護士や司法書士、実際に相談した方々に取材し、本当に悩んでいる人の役に立つ記事へと作り替えていきました。単に検索上位を狙うだけではなく、読む人にとって意味のあるメディアへと変えていったのです。やがてメディアは成長しましたが、Googleのルールが日々変化する中で、専門性や権威性がより重視されるようになりました。自分が運営し続けるより、より体力のある適切な方に引き継いでもらう方が、メディアの価値を生かせると考え、売却を決めました。 ■眠る不動産に、もう一度価値を 不動産に関心を持ち始めたのは、インターネット事業だけに依存するリスクを感じたことがきっかけです。検索順位が変われば、売上が大きく落ちる可能性があります。そこで、資産形成のために不動産を買い始めました。レンタルオフィスや民泊、シェアハウス、戸建て再生などに取り組む中で、訳あり物件や古い空き家にこそ、大きな可能性があると感じるようになったのです。安く買い、必要な手を加え、価値を高めて次の人へつなぐ。不動産には、そうしたひずみを解消する面白さがあります。その可能性について、共同代表となる内木場と話す中で、事業として本格的に展開していく構想が生まれました。そこから仲間とともにAlbaLinkを立ち上げたのです。AlbaLinkの主な事業は、空き家や訳あり不動産を買い取り、再販することです。日本には多くの空き家があり、手放したくても手放せない方がたくさんいます。地方の古い家や、再建築が難しい物件、雨漏りしている物件などは、一般的な不動産会社では扱いにくい場合があります。仲介手数料が少なく、リスクも高いため、断られてしまうことも少なくありません。私たちは、そうした物件を買い取り、個人投資家や活用したい方へつないでいます。仲介ではなく自ら買い取るからこそ、売主の方にとっては「本当に買ってもらえる」という安心につながります。そして、次に購入した方がリフォームし、賃貸や民泊などに活用することで、眠っていた不動産に再び役割が生まれるのです。私たちが掲げているのは「2100年、空き家ゼロへ。」という目標です。もちろん、空き家を完全にゼロにすることは簡単ではありません。大切なのは、買い取った後にどう活用されるかです。人口や世帯数が増えにくい中で空き家を減らすには、二拠点生活や観光、民泊などを通じて、地域を行き来する人を増やすことも必要だと考えています。 ■新たな4つのバリューを軸に、ともに働く 会社の人数が増えるほど、同じ方向を向くことは難しくなります。それぞれ育ってきた環境も、大切にしている価値観も違うからです。だからこそ、私たちは上場を一つの節目として、改めてバリューを整理しました。それが「Be Agile 速やかに、柔軟に」「Focus on Impact 本質に注力する」「Basics First 基礎はすべてに通ずる」「With Respect 常に対等に、誠実に」の4つです。このバリューのもと、一緒に働きたいのは、自律性があり、同じ目標に向かって協働できる人です。誰かに依存するのではなく、自分の意思を持ち、自分の人生に責任を持とうとする人と働きたいと思っています。新卒の段階で完璧に自律できている必要はありません。ただ、「自分はどうしたいのか」から逃げずに考えられることは、とても大切です。自分の足で立ち、自分を律しながら、人のためにも動ける。そんな人が集まる組織でありたいですね。 ■大学生へのメッセージ 社会に出ることに、不安を感じる人もいるかもしれません。けれど、私は社会に出てからの方が楽しいと感じています。仕事では日々違う問題が起こり、できることや関わる人も変わっていきます。その変化が面白く、飽きることがありません。社会に出ると、学校のように明確な正解はありません。だからこそ、自分で考え、自分で意思決定することが大切です。「私はこうしたい」と思える方向に、自信を持って進んでみてください。正解は最初からあるものではなく、自分の行動でつくっていくものです。社会は思っているよりも面白い場所です。前向きに、楽しみながら挑戦してほしいですね。 学生新聞オンライン2026年5月14日取材 津田塾大学4年 石松果林 津田塾大学4年 石松果林/中央大学卒業 前田蓮峰/お茶の水女子大学2年 家田有彩/津田塾大学4年 山下さくら

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株式会社バトンズ 代表取締役 CEO  神瀬悠一

コンフォートゾーンを捨て、激動の時代をチャンスに 株式会社バトンズ 代表取締役 CEO  神瀬悠一様 (かみせ ゆういち) ■プロフィール1977年生まれ。エンジニア、コンサルタントを経験後、リクルートにてリクルートマーケティングパートナーズ執行役員、リクルートライフスタイル取締役、リクルート住まいカンパニー取締役を歴任。2019年4月にバトンズへ取締役CMOとして参画、2022年3月に代表就任。 IT業界、コンサル、リクルートを経て、M&Aプラットフォームを運営する株式会社バトンズの代表取締役CEOを務めている神瀬さん。「会社の結婚」とも言われるM&Aを通して、日本の中小企業や地域の未来を支えている。成長を軸にキャリアを重ねてきた背景や学生へのメッセージを伺った。 私の学生時代を振り返ると、今の仕事からは想像もつかないほど「学業以外」に熱中していました。小学校時代はずっと野球少年で、中高はバスケットボールに熱中していましたが、大学に入ると急に音楽に没頭しました。下北沢でライブをしたり、音楽サークルに所属したりと、当時は音楽とバイト以外にはほとんど熱中していませんでした。本来、学業を主とすべきでしたが、正直に言えば音楽ばかりの毎日でした。私が通っていたのは早稲田大学理工学部の情報学科(当時)です。1996年から2000年の在学期間は「Windows 95」が登場したばかりで、誰もがパソコンを使い始めた時代。プログラミングを学ぶ場に身を置いてはいましたが、真面目な学生だったかと言えば、だいぶ怪しいものでした。就職活動においても、現在のようにインターネットで調べる仕組みはなく、自宅に届く大量のダイレクトメールを眺めるような時代でした。「絶対こうなるぞ」という強い意志があったわけではなく、情報学科にいたことから自然とIT系に流されるようにして、1社目のエンジニア職へと進みました。 ■会社と会社の幸せをプロデュースする その後、リクルートでの経験を経てバトンズの立ち上げ期に顧問として関わり、現在はCEOとして経営を担っています。私たちが展開する「BATONZ(バトンズ)」は、M&Aのマッチングプラットフォームです。例えば、家を探すときに見る不動産サイトのような役割で、会社を売りたい人と買いたい人を結びつけています。会社の売却という情報は、秘密保持が極めて重要です。そのため、最初は会社名を出さずに「神奈川県の売上〇億円のネジ工場」といった概要だけで募集し、秘密保持契約書などを交わした相手のみに社名を公開し交渉を進めます。私はM&Aを「結婚」に近いものだと考えています。事業的なシナジーも大切ですが、最終的にはトップ同士の相性が合うかが極めて重要です。だからこそ、私たちはDX化とコンサルタントによる人のサポートを融合したサービスを提供しています。「社員をどう思っているか」「未来をどうしたいか」といった価値観が一致していないと、成約後の成長は望めません。条件交渉を含め、社長同士の間に入るこの仕事は「ビジネスの総合格闘技」と言われるほど大変ですが、その分大きなやりがいがあります。 ■急成長組織のさらなる進化とAI革命への挑戦 もちろん、会社としての課題もあり、大きくは二つあります。一つ目は、急成長フェーズにおける組織力のさらなる強化です。バトンズは2026年4月で9期目の若い企業ですが、数年前まで数十人程度だった仲間が、今では100人を超える規模まで増えました。新卒の採用も始めていますが、私たちは経営者の人生に一度の大きな節目に寄り添うプロフェッショナル集団でなければなりません。急拡大した組織の中で、全体の組織力をさらに高め、現場のプロフェッショナル意識や「お客様に感動を届ける現場力」を一層磨き上げていきたいと思います。二つ目は、「AIへのキャッチアップ」です。現在のAIの進化には凄まじいものがあり、プログラミングさえAIが書く時代になりつつあります。M&Aの現場でも、これまで人間が手作業で行っていた数十ページのPowerPoint作成や、複雑な決算書の財務分析といった仕事は、今後AIに置き換わっていくでしょう。バトンズにとってこれは大きなチャンスですが、もし対応が遅れれば、より便利なプラットフォームに取って代わられてしまいます。この「第四次産業革命」とも言える環境変化にどう適応し、ビジネスモデルをぶっ壊すほどの覚悟でキャッチアップできるか。これが私たちの未来を左右する大きな課題だと考えています。 ■日本の未来を繋ぐ夢 私の夢は、日本から「黒字廃業」をなくすことです。現在、日本では年間で6万社以上が休業・廃業、解散していると言われており、その約半数が黒字であるにもかかわらず、高齢化などの理由で事業を畳んでいます。地方の美味しい食べ物や独自の文化を支えているのは、こうした中小企業です。これらが消えてしまうことは日本らしさが失われることに直結します。バトンズが支援できているのはまだ一部ですが、これを1万組、2万組と増やし、「バトンズがあったおかげで廃業が減った」と言われる未来を実現したいと考えています。 ■大学生へのメッセージ これから皆さんが社会に出る中で、環境はさらに激しく変わっていくでしょう。人間にとって「変わらないこと」は快適なコンフォートゾーンですが、そこに留まっていては人生を豊かにすることはできません。変化はストレスでもありますが、それこそがチャンスなのです。変化を恐れず、むしろ「遊ぶ」ような感覚で楽しんでください。好奇心を旺盛に持ち、目の前のことに熱中できる人は、必ず成長していきます。ダーウィンの進化論と同じく、変化できるものこそが生き残り、人生を豊かにできるのです。日本の未来を担う皆さんが、この激動の時代を楽しみながら進んでいくことを心から応援しています。頑張ってください。 学生新聞オンライン2026年4月28日取材 情報経営イノベーション専門職大学 2 年 山田千遥/上智大学 2 年 石川仁菜 駒澤大学 3 年 前田康介/上智大学 2 年 石川仁菜/実践女子大学 2 年 土屋栞菜/法政大学 2 年 渡辺碧羽/情報経営イノベーション専門職大学 2 年 山田千遥/京都芸術大学 1 年 猪本玲菜

区長・市長

南アルプス市長  金丸 一元

「地の利」を戦略に変える 南アルプス市長  金丸 一元(かねまる かずもと)  ■プロフィール昭和24年山梨県中巨摩郡小笠原町(現 南アルプス市)生まれ。昭和49年立教大学卒。青年会議所理事長などを歴任し、平成16年に南アルプス市議会議員に初当選。3期10年にわたって地域経済やまちづくりに取り組み、平成27年に南アルプス市長就任。平成31年、令和5年と再選を果たし現在3期目。 住民発議で誕生した南アルプス市を率いる金丸市長。「3度断られたコストコ誘致」を覆した戦略をはじめ、財政改革への信念やAI時代の行政課題、南アルプス市の魅力。地の利を活かした街づくりの最前線と、激変する社会を生き抜くための「思考の武器」をお伺いした。 学生時代は、新聞社でのアルバイトと並行して、社会学部で社会学の学びに励んでいました。講義ではマックス・ウェーバーやカール・マルクスなどの理論を学び、夜には当時流行していた麻雀を学友たちと囲む。そんな、仕事と学びと遊びが詰まった充実した日々を過ごしていました。現職の「市長」という職についてはあまりイメージしておらず、当時流通業界が結構伸びていましたので新卒で西友ストアー(現 株式会社西友)という企業に就職しました。就職して2年が経った頃、地元で靴屋を営んでいた母親が体調を崩してしまったため、その事業を継ぐために会社を辞め地元に戻りました。ですが「靴屋」という事業はどうしても時代の流れで変わっていくものですから、最終的には時代に即さないと判断して事業を閉じることにしました。そして、次はどのような店を出そうか、と考えていた頃に出会ったのが「南アルプス市」の市政に向きあうことでした。 ■出馬することへの決心 平成15年の市誕生後、周囲からの後押しを受け、市議会議員を3期務めました。当時は財政問題が深刻で、自治体として破綻しかねない厳しい状況にありました。そうした中で、私は前市長に「行財政改革」を公約として掲げてほしいと強くお願いし、彼を支えてきました。しかし、2年目に入ると状況は一変します。巨額の予算を投じ、新しい市庁舎を建設する方針が打ち出されたのです。私は庁舎建設に反対の立場だったため、「行財政改革を掲げたのではないのか。その方針では認められない」と真っ向から反論しました。それでも計画は止まりませんでした。ならば自分がやるしかないと決意し、市長選への出馬を決めました。「庁舎建設反対」を掲げての選挙は、一般的には不利とされる戦いです。それでも、市民の皆様のご支持をいただき当選することができ、現在こうして3期目を務めさせていただいています。 ■南アルプス市の魅力と取り組み 大型商業施設の進出によって、この地域の可能性は大きく広がっていると感じています。特に大手スーパーのコストコの出店は想定を大きく上回る好調ぶりで、売上は当初見込みの約2倍に達しています。ここは一見すると中心人口が少ない商圏ですが、車で1時間半の圏内には約700万人が暮らしております。オープン当初は来店客の8割以上が県内からでしたが、ありがたいことに次第に県外からのお客様が増え、現在、土日には約半数の方が県外からいらっしゃいます。この地域の魅力は、災害の少なさと自然環境の豊かさにあります。水害リスクが低く、地価も比較的安く、水にも恵まれています。さらに、富士山や八ヶ岳を望む景観に加えて扇状地の特性を活かした果樹栽培も盛んですし、種類が豊富で品質も非常に優れています。住みやすさという点では間違いなく強みがあると考えています。これまで鉄道が通っていないことが課題でしたが、中部横断自動車道や新山梨環状道路の整備により交通の利便性が高まり、近年は移住される方も増えてきました。人口は自然減の傾向にありますが、転入が転出を上回る「社会増」によって、令和4年以降は微増を続けています。さらに企業誘致も進み、この2〜3年で約1500人規模の雇用が生まれました。今後はリニア中央新幹線の開通により、都心へのアクセスも飛躍的に向上します。地価の安さも含め、今後さらに人が集まる可能性を強く感じています。こうした流れの中で、私は特に子育て支援に力を入れ「子育てしやすいまちづくり」を進めてきました。 たとえば中学生までとしていた医療費の無償化を18歳まで拡大し、さらに給食費や保育料の無償化、現在は3歳から6歳までの給食費無償化も進めています。また、小中学校への入学時には支援金を支給するなど、家庭の負担軽減にも取り組んでいます。その結果、実際に支援制度を理由に移住してくださる方も増えています。地域全体の人口減少という課題はあるものの、こうした取り組みが若い世代の流入につながり、着実に成果が現れていると感じています。 ■AIとの歩み方 いま、テクノロジーの進化スピードは私たちの想像を絶するほどです。半導体の能力が4年で1000倍、8年で100万倍、12年で10億倍へと指数関数的に跳ね上がっていく。そんな時代がすぐそこまで来ています。レベル5の完全自動運転が実現し、既存の職業が姿を変える未来において、行政もまた「これまでの当たり前」を捨てなければなりません。当市でも、既に議会の答弁作成などに生成AIを活用し始めています。議員の皆さんもAIを使って質問を組み立ててくる時代ですから、遠くない将来、AI同士が議論を交わすような光景さえ現実味を帯びています。こうした技術は、膨大な書類作成に追われる職員の負担を劇的に減らし、少子高齢化で人が減っても、質の高い行政を維持するための強力な武器になるはずです。しかし、現実はそう単純ではありません。「DXを推進しているのに、なぜか職員数が増えている」という逆転現象が起きています。新しい業務が次々と生まれ、システムを導入しても組織の最適化に直結していないのです。さらに切実なのが、システム構築、維持のための巨額の支出です。また、市にはシステム会社と同等の知識を持ったプロの職員がいるわけではないので、こういった環境を整えることが課題となっています。市単独のレベルには限界があります。だからこそ、県レベルで専門家を揃え、システムの適正価格や技術を精査する「目利き」の仕組みを整えてほしい。技術に振り回されるのではなく、いかに賢く使いこなし、市民の幸せに還元できるか。私たちは今、その大きな転換点に立っています。 ■大学生へのメッセージ 大学の4年間は、人生で最も自由で貴重な時間ですので、ぜひ学問に本気で向き合ってみて欲しい。社会学などの理論を学ぶと、世界の見え方は一変します。自分なりの「ものの見方」を養うことが、将来あなた自身を支える大きな武器になると思います。 学生新聞オンライン2026年4月10日取材 情報経営イノベーション専門職大学 2年 山田千遥 情報経営イノベーション専門職大学 2年 山田千遥/獨協大学4年 深山琴美/京都芸術大学1年 猪本玲菜

参院議員

参議院議員 厚生労働委員長 小川克巳

理学療法士としての専門性を活かし、リハビリの重要性を届ける 参議院議員 厚生労働委員長 小川克巳(おがわかつみ) ■プロフィール北九州市出身、理学療法士。九州リハビリテーション大学校卒業後、臨床・教育に従事する傍ら、熊本県理学療法士協会会長、日本理学療法士協会副会長などを歴任。現在、参議院議員(2期目)。厚生労働委員長(2度目)、リハビリテーションを考える議員連盟事務局長、産前産後の母体に対するケアを通じて包括的に女性支援を考える議員連盟事務局長など要職を務める。 理学療法士として臨床や教育の現場に立ち、その後政治家になった小川克巳さん。現場経験や専門性を活かし、リハビリテーションを真に議論できる仕組みづくりに取り組んでいます。現場の声を法案の一文字に込める想いやチーム医療を阻む原因への問題意識など、自ら政策議論の土俵を作り上げた情熱の源泉に迫りました。 ■患者さんと直接関わる道へ 私のこどもの頃の夢は、身体が弱かった母の影響もあって、医師になることでした。しかし、家庭の事情等で医学部への進学が難しい状況になった際、せめて医療には関わっていきたいという思いから、その頃はまだ珍しかった理学療法士を目指すことにしました。当時は「リハビリテーション」という言葉の認知度も低く、理学療法士自体が新しく珍しい職業であったため、純粋に面白そうだと感じました。何より、大きな魅力だったのは、患者さんと直接関わることができる点です。進学した九州リハビリテーション大学校では、障がいを持つ子供たちと社会との接点をつくるボランティア活動に注力しました。在宅障がい者の方々のご自宅を訪問して外出を手助けしたり、障がい者同士をつないだりする経験を通じて感じた、理学療法士としてのあり方と様々な問題意識。これが私の理学療法士としての軸を作り上げてくれたと思っています。ともあれ、理学療法士として臨床で一定の経験を積み、次へのステップを模索していた私は、強力にお誘いを頂いた理学療法士養成校の教員へと環境を変えることになりました。それに伴い、昼間は教員として、夜は夜間大学の学生として経済や商業を学ぶという二つを同時並行でやったこともあります。商学に特別の関心があったわけではありませんが、後に日本理学療法士協会で副会長と事務局長を併任したときには大きく役立ちました。人生においてまったく無駄な経験というのはひとつもないんだなと改めて感じた経験でした。どんなことでもひとつひとつが自分自身の血や肉になるということを是非皆さんにお伝えしたいです。 ■リハビリテーションを真に議論する 私は、自分自身が政治家になるとは夢にも思ったことはなく、国会議事堂の中を走り回っている現在でも実感は伴っていません。しかし、理学療法士協会の役員として、関係省庁など、様々な方々と接する中で、政治力の重要性に気づかされました。日本は法治国家であり、法がすべての規範となっているため、その立て付け一つで人々の生き方が変わってしまいます。これは医療の現場でも同じことが言えます。法に守られている反面、逆にそこから外へ広げようとしても、法律が不必要な壁となって動けない場合があるのです。例えば、本来であれば専門知識を持つ有資格者が行うべき行為であっても、理学療法士はライセンスがあるがゆえに、法律によって縛られていることがあります。一方で、全く資格のない人たちは逆に法律による縛りがないからこそいろんなことできてしまう。こうした世の中の枠組みの不自由さがあります。私はこうした制度の問題に、社会保障を舞台として今まさに取り組んでいるところです。理学療法士として現場の経験はありますが、それでも理学療法の分野ですら自分が知っていることはごくわずかです。知らないことの方が圧倒的に多く、個々の領域の問題はその現場にいる人たちに直接聞かなければ分かりません。隣接する分野であれば多少の想像はついても、実際に声を聞くと全く異なることもあります。こうした現場の声は、各省庁の部会、私で言えば厚生労働部会などで活かされます。様々な立場の議員が集まって議論を練り上げ、原案に修正を加えていきます。閣議決定されて国会に出されると法案は事実上変えられないため、修正が可能なタイミングで訴えていくことが必要になってくるのです。また、議論をするためには、まず相手と共通の土台を持たなければなりません。たとえば、少子高齢化社会においてリハビリテーションは重要だと言われながら、これまではそれを政策的に議論する場が日本にはありませんでした。そこで私は、議員になって5年目に自民党の政務調査会の中に、「リハビリテーションに関する小委員会」というものを立ち上げました。他の議員にリハビリテーションを知ってもらうステップが必要で、これには時間がかかりますが、ようやく専門知識を広め、課題を詳しく知らない人とも政策的に議論ができる土俵ができたのです。また、議員連盟というものがあり、私のもうひとつの活動として、妊娠・出産のケアにおける理学療法の普及や女性の生涯を通じての支援システム構築などに向けて動き始めています。 ■互いの専門性を認め合う「チーム医療」を目指して 政策を動かす中での難しさは、同じ業界内での摩擦や既得権益との調整にあります。何かを実現しようとしても、他職種との軋轢が起きる場合があるため、周囲に迷惑をかけないようすり合わせを行う必要があります。しかし、自分の考えがたとえ一文字でも法案に載り、一人の人間として国の動きに具体的に貢献できたときには、大きなやりがいを感じます。現在のわが国の初歩の課題は、それぞれの専門性を持つ人が対等な立場で認め合い、補完し合うことで相乗効果が生まれる「真のチーム医療」の実現です。しかし現状の日本の医療制度は、医師を頂点とした上意下達のようなシステムになっており、多様な視点からのアプローチが活かされていません。これからの深刻な人手不足を考えると、相互に連携して2人の力を3人分に高めていくような仕組みが不可欠です。一人の患者さんを多角的にサポートできるよう、こうした制度的な問題を早く解消していきたいと考えています。 ■大学生へのメッセージ 大学は、リサーチマインドを育て、幅広い志向の中から多くの選択肢を持てるようになる大事な場です。もし人生の途中で行き詰まってしまったとしても、次の選択肢を選び直せることが重要です。例えば、リハビリテーションを学んでいる学生は、必ずしも理学療法士になる道だけではありません。そこで得た知識や技術は日常生活でも役に立ちますし、それを活かせる仕事は他にもたくさんあります。皆さんに大切にしてほしいのは、色々なことに問題意識を持ち、単に困ったなぁで止まらず、じゃあ、どうすればいいのかという解決策まで考えていく姿勢です。そうすることで、自分自身の人生に希望を持てるようになるはずです。「こうしたい」「こうなればいいな」と思うことがあれば、ぜひ考え続けてください。その願いを常に自分の中で意識することで、いつか実現するものだと、私自身の経験からもそう思うからです。最初は与えられた環境であっても、その先の環境は自分で作っていくものです。自分が理想とすることを日常の会話の中で口にしていれば、自然と同じ志を持つ人たちが集まり、大きな力になります。それが結果として、国や政治を変えることにもつながることがあるでしょう。私も、若い皆さんがこれからも希望や夢を持ち続けられるような社会にしたいと考えています。 学生新聞オンライン2026年4月1日取材 東京都立大学3年 坂倉彩月 早稲田大学3年 中澤京平/東京都立大学4年 坂倉彩月/獨協大学2年 中津亜結梨/城西国際大学3年 渡部優理絵/法政大学4年 島田尚和

土屋栞菜

丸大食品株式会社 取締役 ハムソー事業部長 池田 知功

人とのつながりがキャリアを広げていく力になる 丸大食品株式会社 取締役 ハムソー事業部長 池田 知功 (いけだともかつ) ■プロフィール1971年生まれ、神奈川県横浜市出身。早稲田大学人間科学部卒業後、1995年丸大食品に入社、入社後は食肉事業の営業、購買でキャリアを重ねる。2018年執行役員原料部長に就任後、食肉事業本部長、経営戦略室長を経て、2023年に上席執行役員ハムソー事業部長に就任。2025年より現職。 大学時代は研究に没頭していたものの、偶然のきっかけから食品業界へ進んだと語るのが、丸大食品株式会社・取締役の池田知功氏。その後営業や原料購買、経営戦略などを経験し、現在は事業責任者として組織を統括している。その経験から人とのつながりを大切にしながら歩んできたキャリアや、会社の魅力、仕事への思い、そして今後の展望について話を伺った。 大学在学時、ある授業を受けて大きな衝撃を受けました。それは『ゆらぐ地球環境』という本を題材にした「環境論」の授業でした。その講師であった教授のもとで、オゾンホール拡大や地球温暖化の問題についてもっと学びたいと思いました。無事にそのゼミに入ることができましたが、当時の研究室の方針で「男は山に籠って植物生態学の研究」と言われ、大学院生の手伝いをしながら渓流沿いの林の調査・研究に没頭する日々となりました。研究にまい進する中、気づけば就職活動の時期に。調査活動に集中していたため、特別な準備はできていませんでした。当時はハガキで会社資料を取り寄せるなど、手探りの就職活動でした。いろいろな企業を受けましたが、就職氷河期と準備不足もあり、なかなか結果にはつながりませんでした。食品業界に絞って面接を受け始めた頃、友人に偶然教えてもらった丸大食品の会社説明会に応募し、運よく内定をいただきました。引き続き他企業も受けてみたいと考えていましたが、教授に相談したところ、「丸大食品は大きくて良い会社だ。贅沢を言わず早く卒論に取りかかりなさい!」と背中を押され、就職を決めました。友人と教授が丸大食品での現在につないでくれた形です。 ■現在のポジションに至るまでのキャリア 新卒で入社後、食肉事業の営業部に配属されました。約8年間、営業として働いた後、本社で食肉の原料購買に長く携わりました。海外との商談が多く英語を使う機会が増えましたが、当初はほとんど話せませんでした。直接自分の言葉で伝えたい、外国の方とも深くつながりたいとの思いから英語を学び直しました。様々な国の人々との接点は、その後の私の価値感に大きな影響を与えました。その後、経営戦略室の室長を2年間務めました。サステナビリティへの取り組みを開示する中でCO2(温室効果ガス)削減の方針が示された際には、大学時代に培った論理的思考や地球温暖化に関する知識が活きたと感じています。現在はハム・ソーセージ事業の責任者として、生産・営業・マーケティング・物流の4部門を統括し、全体が円滑に機能するようマネジメントしています。 ■会社の魅力 30年間働いてきて感じる会社の良さは、人柄の良い社員が多く、努力がきちんと評価される、人を大切にする企業風土があることです。実際、仕事に打ち込んで着実にキャリアを伸ばしている社員が多く、手応えとやりがいを感じられる職場だと思います。また、女性も働きやすい体制が整っており、育児休業も取得しやすいのが特徴です。なかには、5人のお子さんを育てながら活躍している社員もいます。この会社の最大の魅力は、自社の商品を通じて多くのお客様に直接喜んでいただけることです。イベントで「ここのソーセージは美味しい。いつも買っています」とお声がけいただいた時には、本当にうれしくなります。 ■差別化と飛躍のきっかけ 当社は総合食品メーカーとして品揃えの幅広さが強みです。丸大食品グループ全体の売上規模は約2,400億円で、ハム・ソーセージに加え、レトルトなどの調理加工食品、食肉、飲料・デザートや梅干など、様々な商品を展開しています。スーパーやコンビニなどで必ずと言っていいほど、当社グループが作った商品に出会うことができます。食品業界は差別化が難しい分野ですが、そのなかでも「丸大らしさ」を大切にし、企業メッセージ「わんぱくでもいい。たくましく育ってほしい。」を忘れずに商品づくりに向き合っています。 当社が飛躍できた要因は大きく2つあります。1つ目は、燻製屋熟成ウインナー、スンドゥブ、チキンハンバーグ、魚肉ソーセージなどのロングセラー商品の存在です。新商品は春と秋に発表しますが、100品出して1品残るかどうかという厳しい世界ですので、ロングセラー商品の存在は大きな強みになります。2つ目は、認知度の向上です。お客様に知っていただくことを重視し、昔はTVCMで有名でしたが、最近はSNSやメディアを通じて商品の魅力を発信しています。ユニークな取り組みでは、魚肉ソーセージのキャラクター「フィッシュマンブラザーズ」があります。15年前に誕生し、一度は姿を消しましたが、近年復活し、商品パッケージに登場しています。ぜひ店頭で探してみてください(笑)。 ■求める人物像と働くうえで大切なこと 当社のモットーは企業メッセージにも表現されている通り「明るく元気」です。そのため、コミュニケーション力があり、前向きで明るい人と一緒に働きたいと考えています。また、チームで仕事を進めるため、協調性があり助け合いができる人も重要だと思っています。これからはAIの時代であり、ホワイトカラーの在り方も変わっていくと思います。現場でもAIを活用しながら働く“現場×デジタル”人材(いわゆるライトブルーカラー)が求められるとも言われています。そのような変化の激しい時代ですが、夢を持って行動できる人は魅力的です。『何かを実現したい』という思いを持つことが働くうえで大切だと考えています。 ■今後の展望と目標 今後の目標は、社名を聞いたら商品名がすぐ出てくるくらいに、会社の知名度を高めていくことです。そして、社員が「この会社で働いてよかった」と思える企業にもっとしていきたいと考えています。食品業界は、コツコツとものづくりを続ける真面目な業界である一方、昭和的な文化が残る部分もあります。そのため当社では、近年、オフィスカジュアルを導入するなど、よりフラットで自由な社風づくりに取り組んでいます。 ■大学生へのメッセージ 学生のうちにしかできない経験を、ぜひ大切にしてほしいと思います。学校、サークル、アルバイトを通して、たくさんの人と出会えます。そうした出会いが人脈となり、やがて将来につながっていきます。社会に出てから大事になるのは、やはり“人とのつながり”です。人と関わることで視野が広がり、思いがけない仕事・キャリアに結び付くこともあります。それから、失敗を恐れずにいろいろ挑戦してほしいと思います。学生のうちは挑戦できる場が多く、その経験は必ず自分の成長の糧になります。自分から一歩踏み出すことで、新しい価値観や可能性に気づけるはずです。ぜひ、学生生活を思いきり楽しんで、充実した生活を過ごしてほしいです! 学生新聞オンライン2026年4月14日取材 実践女子大学2年 土屋栞菜 京都芸術大学1年 猪本玲菜/情報経営イノベーション専門職大学2年 山田千遥/実践女子大学2年 土屋栞菜

コラム

テリー伊藤 コラムVol.80 寝つきの良くなる方法

寝つきの悪い私はいろんな事を考えながら寝ることにしている。柵を飛び越える羊の数を数える睡眠方法は誰でも一度は経験した事があると思うが、さすがに何十年も数え続ける訳にいかない。第一、羊の数にも限りがある。そこで最近私が実行しているのは、究極の二者選択「人生どちらを選ぶか。除外したものには二度と出会えない」をテーマに「一生食べ続けるとしたら和食か洋食か」という壮大なるテーマ。和朝食と言えば味噌汁、のり、納豆、鮭、おしんこ、食後に緑茶。一方朝の洋食と言えばスクランブルエッグ、ベーコン、ハム、ソーセージ、フランスパンなどホテルのモーニングが思い浮かぶ。そして目覚めコーヒーとの対決。一生食べられたいと思うとここは和食に軍配が上がる。 問題は昼と夜の食事だ。ランチに和食を選択すると、ハンバーガー、パスタ、ピザ、フライドチキン、オムライス、エビフライは二度と食べられなくなってしまう。ラーメンはどうなる。もともと中国から来たものだから食べられない可能性が高い。カレーライスはどうか。インド生まれだが子供の頃からから食べているので、これを洋食と決めるのは断腸の思いとなってしまう。では和食派は何処に行けばよいかを考えた時に思い付くのはお弁当屋さん。鮭弁当、明太子おにぎり、お稲荷さん、海苔巻きなどがお腹を満たしてくれる。本命はやはり日本蕎麦屋さんではないか。冬なら鍋焼きうどん、天ぷらうどん。夏ならざる蕎麦、冷や麦など盤石な品揃えとなるが、ここで大問題が!日本そば屋の稼ぎ頭、かつ丼はどうなる。洋食でもかつライス、カツカレーはある。かつとカレーは引っ張りだこなのだ。洋の括りになるのか和になるのか。 日本食の王様といえば当然お寿司が浮かぶ。いくら好きでも毎日食べ続けていると飽きてしまうし、お財布に自信がない。昼食は洋食に分が出てきた。深夜ベッドでここまで辿り着くには1時間を要する。しかしいっこうに睡魔は襲ってこないのだ。 晩御飯、更に選択は難しくなる。和食派には季節の魚は欠かせない。さんま、鯛、マグロ、白身魚など。極めつけは、うなぎ、フグ、蟹、伊勢海老などの新鮮魚介類。まさに日本食の醍醐味では。ここでも洋食も黙っていない。チーズ大好きアツアツチーズフォンデュ、大好き回鍋肉、韓国焼肉、ビーフストロガノフ、北京ダッグ、ロシアのボルシチやピロシキも抑えたい。そうなんです、考えれば考えるほど頭が冴えてくる。寝るどころではないのだ。考えてみれば究極の二者選択を2年も続けている。この旅は当分終わりそうにない。どちらにしてもクリスマスケーキだけは絶対に食べたい! テリー伊藤(演出家) 1949年、東京築地出身。早稲田実業中等部、高等部を経て日本大学経済学部を卒業。2023年3月、慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科修士課程修了。テレビ番組制作会社IVSテレビに入社し、「天才たけしの元気が出るテレビ」「ねるとん紅鯨団」などのバラエティ番組を手がける。その後独立し、テレビ東京「浅草橋ヤング洋品店」など数々のテレビ番組の企画・総合演出を手掛ける。著書「お笑い北朝鮮」がベストセラーとなり、その後、テリー伊藤としてメディアに多数出演。演出業のほか、プロデューサー、タレント、コメンテーターとしてマルチに活躍している。YouTubeチャンネル「テリー伊藤のお笑いバックドロップ」LALALA USAでコラム連載中https://lalalausa.com/archives/category/column/terry

学生新聞インターン

日本ケミファ株式会社 代表取締役社長 代表執行役員社長 山口 一城

イノベーションを生む・生み続ける会社であり続けたい 日本ケミファ株式会社 代表取締役社長 代表執行役員社長 山口 一城 (やまぐちかずしろ) ■プロフィール昭和33年7月23日生まれ慶応義塾大学商学部卒業昭和56年4月 株式会社第一勧業銀行 入行昭和60年4月 日本ケミファ株式会社 入社当社取締役等を歴任したのち、平成6年6月に代表取締役社長就任、現在に至るその他の加盟団体等 日本経済団体連合会審議員、東京商工会議所評議員、経済同友会、東京ロータリークラブ、学校法人星薬科大学名誉理事など 全社員の魂がこもった社名「日本ケミファ」。新薬、ジェネリック、臨床検査薬の三本柱に加え、がん治療の未来を拓く「アルカリ化」の新領域へと進出しています。創業75年を超えるなかで、創業家として企業の継続性を第一に置く山口社長に、仕事に懸ける情熱を支えてきた確固たる経営の指針を伺いました。 私の名前「一城(かずしろ)」には、両親の「一国一城の主として、いつか会社を継いでほしい」という切なる願いが込められており、幼い頃から会社を継ぐことを意識して育ちました。その後、進学を決める際に、仲間を大切にする慶應の方針に魅力を感じていた両親から「慶應は社会に出たときに役に立つから」と言い聞かされ、中学から大学までを慶應義塾で過ごしました。父の助言のとおり、慶應時代のご縁がきっかけで会社経営に活かされたことも多くあり、「慶應で良かった」と実感できたこともありました。実は、大学卒業後の進路を考える際、最初は父の会社に入社することはあまり考えていませんでした。大学院への進学や海外留学も検討しましたが、父の勧めで第一勧業銀行(現みずほ銀行)に入行し、外国為替や融資の業務に奔走しましたね。その後、私が20代半ばの時に、父の体調不良を機に日本ケミファに入社しました。 ■三本の柱を支える「差別化」の戦略 日本ケミファという社名の由来は、化学を意味する「ケミカル」と薬品を意味する「ファーマシー」を組み合わせた造語から生まれたものです。社名変更にあたっては、全社員からの公募による候補の中から選定したので、全社員の魂が込められていると思っています。弊社では、現在、三つの事業を柱としています。一つ目は、長年研究を続けている新薬事業。最近では国から画期的新薬として認定された抗うつ抗不安薬の開発なども行なっています。二つ目は、ジェネリック医薬品事業。医師や薬剤師の方々から「新薬メーカーとしての信頼感がある」と評価をいただいています。そして三つ目は、現在非常に好調な臨床検査薬事業です。特に、血液一滴で41項目のアレルギーを30分程で検査できる「ドロップスクリーン」は、画期的かつ手軽なものであるため開業医の方にも多く親しまれています。今後も競争優位性のある魅力ある製品を継続して生み出していきたいです。 ■大切なのは「先憂後楽」と初期対応のスピード 弊社は昔から新薬の開発に注力しており、その開発には20~30年を要します。時間的にも金銭的にもコストがかかり、忍耐力が試されます。そのため私が経営において最も大切にしているのは「企業の継続性(ゴーイングコンサーン)」です。会社が存続し続けなければ、患者さんに薬を届けることもできません。だからこそ、目先の利益に惑わされず、明るい未来の発展のために今何をすべきかを考える「先憂後楽」の精神は大切なのです。また、組織運営では「火事は最初の5分間」を信条としています。トラブルが起きた際の初期対応が、その後の成否を分けます。「悪い報告ほど早く上げる」ことを徹底させることで、傷口を最小限に抑える文化を築いています。当社は部門間の壁が低く、部門横断的に協力し合える、非常にアットホームな職場だと思います。イノベーションを生む・生み続ける会社であり続けたいので、失敗を恐れずに挑戦することを奨励し、たとえ失敗してもそれを教訓として次に活かす。そんな家族的な温かさと、プロフェッショナルとしての厳しさが共存する組織でありたいと考えています。 ■「アルカリ化」という新領域で世界のパイオニアへ これからは国内市場のみならず、海外市場の開拓が不可欠です。すでにベトナム工場での生産・販売や、中国への輸出を積極的に進めています。そして今、私が最も情熱を注いでいるのが「アルカリ化」という新たな事業テーマです。体の酸化を防ぎ、バランスを整える。特に、膵臓癌の化学療法剤とアルカリ化剤を併用することで、延命効果が期待できるという臨床試験を進めています。この領域において、日本ケミファはパイオニアであると自負しています。これを将来の大きな事業の柱に育て上げ、世界中の患者さんの希望になりたいと願っています。 ■「聞き上手」で「謙虚」な人材 採用において私が重視するのは、専門知識以上にその人の「人格」です。挨拶ができるといった基本的な礼儀はもちろんですが、特に「聞き上手」であることを大切にしています。相手の言葉に耳を傾け、周囲と円滑な人間関係を築ける社会性こそが、組織を動かす原動力になるからです。また、自分の力だけで生きていると思わず、周りの支えによって自分が生かされているという「他力」を理解し、感謝できる謙虚な姿勢を持つ方を求めています。 ■大学生へのメッセージ 最後に、未来を担う皆さんに二つのことを伝えたいと思います。一つ目は、「志を持つこと」です。「Boys, be ambitious」という言葉があるように、漫然と日々を過ごすのではなく、自分のやりたいこと、好きなことを見つけてください。小さな目標でもかまいません。志を持つことで、人生の景色は一変します。二つ目は、「出会いを大切にすること」です。人生は、誰と出会うかで決まると言っても過言ではありません。袖すり合うような小さな縁の中にも、素晴らしいヒントが隠れています。その縁を活かせるかどうかは、あなた次第です。類は友を呼ぶという言葉にもあるように、自分自身を磨き、誠実に生きていれば、必ず素晴らしい仲間が集まってきます。皆さんの人生が、豊かな出会いに満ちたものになることを心から願っています。 学生新聞オンライン2026年3月28日取材 青山学院大学1年 松山絢美/京都芸術大学 1 年 猪本玲菜/東京薬科大学 3 年 庄司春菜 情報経営イノベーション専門職大学 2 年 山田千遥/青山学院大学 1 年 松山絢美/京都芸術大学 1 年 猪本玲菜/東京薬科大学 3 年 庄司春菜

大学理事長・大使館

法政大学 総長 Diana Khor

世界へと開かれた大学を目指し、グローバル教育を実施 法政大学 総長 Diana Khor(ダイアナ・コー) ■プロフィール1994年スタンフォード大学大学院社会学研究科博士課程修了。1999年より法政大学に着任し、2005年に法学部教授、2008年からグローバル教養学部教授。グローバル教育センター長、副学長・常務理事を歴任し、2025年3月より法政大学総長に就任。 法政大学ではグローバル教育に力を入れるべく新たな学部、グローバル教養学部(GIS)を設置した。カリキュラム作りなどに奔走するほか、大学全体をグローバル化すべくDEIセンターを創設するなど大学改革を推進している。そんなKhor総長に、法政大学での取り組みや今後の展望などを伺った。 ■どのような学生時代を過ごして来られましたか 香港大学に通っていた当時は、さまざまな学部の人たちと話す機会があり、多様な考え方があることを学びました。社会学を専攻していましたが、より深く研究をしたいと思い、スタンフォード大学大学院へ進学しました。フェミニズムについて学ぶうちに、当時は欧米の視点が中心であったため、アジアの視点も知りたいと考えるようになりました。そこで、外国人招聘研究員制度を利用して研究員として1年間在籍した後、法政大学での教員生活が始まりました。教員生活は非常に楽しく、教えることはやはり好きだと改めて感じました。授業は一期一会です。1回の授業を大切にし、ライティングを教えたり、複数の教科書を参考にした手作りの資料を用意したりしていました。当時の教え子たちが今でも資料を持ってくれており、とてもうれしい気持ちになります。 ■グローバル化に向けての取り組みを教えてください 2008年にグローバル教養学部(GIS)が設置されました。私自身もカリキュラム作りなど学部の発足に関わったのですが、学生の英語力を向上させるためには全ての授業を英語で行うべきだと考え、この学部では授業は全て英語で行われています。さらに、大学全体のグローバル化には、学生や教員だけでなく、キャンパスなどの施設も含めた学内全体での多様化への理解が必要です。そのため、どのような学生も平等に学べる居場所が必要だと考え、2024年、ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン(DEI)センターを設置しました。そこでは、性的指向等や国籍、文化に関する個別相談に加え、コミュニティスペースの開放やイベントの開催を通じて、多様な学生が互いに理解し合うための場所として機能しています。 ■総長としての今後の展望をお聞かせください 今よりもさらに世界へと開かれ、多様で、公平で、包摂的な大学にしていきたいと考えています。学生には「グローバルマインドセット」を持ってもらい、自分の存在や行動をグローバルな視点で意識し、異なる価値観や文化に触れたり、初めての状況に直面したりしても、これまでに学んだ知識や経験を活かして前に進める力を育てていきたいです。このような学生を社会に送り出し、より良い社会を築いていきたいと考えています。 ■学生へのメッセージを 大学生活は、人生の土台を作る時期です。下書きでもよいので詳細な案を作っておかなければ、卒業したときに周りに流されたり、立ち止まってしまいます。自分にはどんな才能があるのか、どんな目標を実現したいのか、自分にとって大切な人はどんな人かを考えてみてください。また、友達との時間を大切にしてほしいです。大学時代に出会った友人は、その後も長く人生を共にする存在になることがあります。そして、大学生活の中でいろいろな人と話すことで、自分の価値観を見つめ、自分自身を見つめ直すこともできます。 学生新聞2026年4月号 法政大学1年 渡辺碧羽 城西国際大学2年 渡部優理絵/東京薬科大学3年 庄司春菜/法政大学1年 渡辺碧羽

中高生新聞

ムロツヨシ 成功の裏には必ず挫折がある

俳優 ムロツヨシ ■プロフィール1976年1月23日生まれ、神奈川県出身。大学在学中に役者を志し、自身が作・演出・出演を行った独り舞台で活動を開始。映画『サマータイムマシン・ブルース』(05)をきっかけに映像作品にも活動を広げる。近年の主な出演作には、映画「新解釈・幕末伝」(25)、Netflixシリーズ「九条の大罪」(26)など。 コミカルからシリアスな役柄まで、幅広く演じることのできる、唯一無二の俳優がムロツヨシさんだ。好きで選んだ職業だからこそ辛さや無念さまでもがやりがいだという。野球漫画『ドラフトキング』を原作としたドラマの続編の制作にあたり、主演を務めるムロツヨシさんに、作品の魅力や見どころ、自身の俳優観などを語っていただいた。 ■喜びだけでなく辛さや無念さもやりがい 大学に入学したばかりのころ、ある舞台に出会いました。当時、大学で学ぶことが本当に自分のやりたいことなのかどうか悩んでいました。そのときに観た舞台に強く感銘を受け、自分も挑戦したいと思いました。この出会いがきっかけとなり、偏差値を20上げて頑張って入った大学を中退し、演技の世界に飛び込むことにしたのです。こうして選んだ職業だからこそ、喜びだけでなく辛さや無念さもやりがいの一部だと感じています。さまざまな感情と向き合い、人前に立って仕事をする中で、隠し事ができない恐怖感もあります。しかし、舞台やカメラの前で多くの人に向けて表現したり、言葉を伝えられる喜びはその恐怖に勝るものであり、強い魅力を感じています。また、作品の世界観の中に入ることができるのも俳優の魅力の一つです。犯罪者役やおもちゃの役など、一般的には経験することがないような非日常的な役を演じることがあります。このような多様な役や世界に向き合うことでしか味わえない楽しさを感じています。役と向き合い、思考を巡らせて準備をしていく中で、大変なこともありますが、その時間があるからこそ観客に楽しんでもらえる大切な時間だと思っています。 ■その時々の役に真摯に向き合う 俳優の仕事は年齢とともに演じる役も変わるため、その時々の役に真摯に向き合うことが目標です。テレビを見ていて「あの俳優さん変わったな」と感じることがあると思います。年齢による変化に対してマイナスな印象を持たれることもありますが、私は年齢とともに役者も変わるものだと思っていますし、そう思われたいとも考えています。しかも観る人の想像通りに変わっていくのではなく、AIにも予測できないような姿になることを目指して、自分自身と役に向き合っています。今回の作品で特に面白いと感じているのは、タイトルにもある「ドラフト」という視点です。野球漫画がたくさんある中で、ドラフトに焦点を当てて選手やスカウトマン、元選手の人生を描く作品はあまりないと思います。野球の世界においては、プロを目指したからといって、全員がプロになれるわけではありません。だからこそ本作品では、野球の華やかな部分と同時に、厳しさや残酷さも描かれているところが魅力だと感じています。 ■ドラフトキングーBORDER LINEー 私は主人公の郷原眼力役を演じています。役作りでは郷原という人物の芯をぶらさないことを意識して取り組みました。余計な芝居をしないようにと自分に言い聞かせ、郷原という人間を表現するためにしっかりと向き合いました。郷原の魅力の一つは選手たちにかける言葉です。労いの言葉や鼓舞する言葉など、選手の人生に何かきっかけを与える言葉が今作ではより多く詰まっています。スカウトマン郷原だからこそかけられる言葉や想いが視聴者に伝わるように、説得力を持って準備しました。また、若い世代の俳優たちと共に作品を作っていく中で、私自身も作品を通じて〝自分の経験や想い〞を伝えられるように心がけてきました。多様な価値観がある時代の中で、若い世代の考えを否定するのではなく、自分の良い経験を言葉を選びながらも伝えていきたいと思っています。今作は野球のプレーシーンに力が入っており、野球経験のある役者も多く参加しています。プレーのリアリティや迫力は見どころの一つだと思います。また、前作で描ききれなかった選手の人生やプロを目指す者の人生、プロとしての期間に区切りをつける選手の人生など、さまざまな立場の人が共感できる作品になっています。夢を追いかける若い世代だけでなく、子どもを持つ親世代など、いろいろな視点で楽しんでいただける作品だと感じています。 ■夢や目標の大切さを感じてほしい この作品を通じて私が感じているのは「成功の裏には必ず挫折がある」ということです。挫折があるからこそ成功があり、実現できるのだと思います。振り子のように、小さな挫折には小さな成功、大きな挫折には大きな成功というように、挫折と成功は比例しています。このドラマはその振り子のような成功と挫折を残酷なまでに丁寧に描いており、そこに注目して見てほしいと思います。だからこそ、この作品を通して夢や目標を持つことの大切さも感じてもらえたら嬉しいです。本作が誰かの目標や前進のきっかけになればと思っています。中高生の皆さんも日々の生活で挫折や失敗を経験することもあると思いますが、その先には必ず成功が待っています。好きなことや目標を自分で選び、それに向かって進んでいってほしいと思います。皆さんが好きなことに挑戦できる環境を私たち世代が作れるように、私も頑張っていきたいです。皆さんは安心して今の時間を思い切り楽しみ、興味のあることに積極的に挑戦してください。 中高生新聞2026年4月号 国際基督教大学3年 渡邊和花 連続ドラマW-30「ドラフトキング -BORDER LINE-」 2026年5月15日(金)午後11時から全10話で放送・配信原作:『ドラフトキング』クロマツテツロウ(集英社「グランドジャンプ」連載)出演:ムロツヨシ 宮沢氷魚 三浦貴大_平山祐介 藤間爽子 川久保拓司 阪田マサノブ/上地雄輔 伊武雅刀/でんでん制作プロダクション:ツインズジャパン製作著作:WOWOW 津田塾大学3年 山下さくら/青山学院大学1年 松山絢美/城西国際大学2年 渡部優理絵/東京都立大学3年 坂倉彩月/東京家政大学2年 篠田陽菜乃