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Archive for 運営スタッフ

イベント・企業紹介

「第一生命 D.LEAGUE 20-21」開幕

日本のダンスの発展と普及、ダンスのプロフェッショナルの輩出を目的とする日本発のプロダンスリーグ「D.LEAGUE(Dリーグ)」が2021年1月10日に開幕。 それに先駆け11月15日、都内でプレスカンファレンスが開催。株式会社Dリーグの代表取締役CEO・平野岳史氏、チーフクリエイティブアドバイザー・EXILE HIRO氏、代表取締役COO・神田勘太朗氏らが出席し、「D.LEAGUE」に参加する各チームも登場しダンスパフォーマンスを披露。 今回、Dリーグ平野代表はじめ、チームディレクターたちに意気込みを語っていただいた。 株式会社Dリーグ 代表取締役CEO 平野岳史 株式会社フルキャストホールディングス 取締役会長。業界に就職。“会社員を3年間で辞める”と宣言して、予定通り退職。87年に家庭教師派遣サービスを開始、92年10月に株式会社フルキャストを設立。2001年6月にはJASDAQ上場、2004年9月には東証一部上場を果たす。現在は、取締役会長を務める。 持論は「すべての人には輝く場がある」。 このD.LEAGUEはダンサーたちの夢を叶える場を作りたいと思い、発足しました。他のアスリートや、歌手、俳優の方などは自分が主役となり活躍できる場がありますが、ダンサーはありません。世界的に活躍するHIROさんですら、若い頃は苦しんだそうです。 これからはD.LEAGUEで、将来が明確に見える場を作り、スポーツとしてダンサーが集って戦える、夢を見せる場を提供したいです。 ダンスはやっていない人でも、見ている人が楽しめる、勝ち負けではない魅力もあります。私は娘との話題作りのためにダンスを始めたのですが、体を動かすことの気持ちよさ、見た目以上にハードなこと、振り付けを覚えるのに集中力が必要なことなど、次第にダンスの奥深さに惹かれ、のめりこんでいきました。昔は、ダンスをやっている人は少しダークなイメージがあったように思います。しかし時代は変わり、学校教育にも取り入れられたことで、音楽に合わせて身体を動かす楽しさが広がっています。ダンス人口も増えてきたので、その魅力がD.LEAGUEを通してより伝わるといいなと思います。 今後は各地域からもチームを募集して、全国展開していく予定です。 またD.LEAGUEは世界初の取り組みなので、世界展開も視野に入れています。実は、日本はダンスのレベルが高く、ダンス先進国です。協調性・団結力があるため、チーム戦になると日本のパフォーマンスは圧倒的です。しかし現在、日本でダンサーの仕事だけで食べていくことが難しいため、みんな世界に出ていってしまいます。そのため、D.LEAGUEが日本でダンサーとして活躍できる場になればいいなと思います。 今、大学生で本気でダンスをやっている方も多いと思いますが、卒業後にはダンスをやめて就職をしたり、ダンスを仕事にすることを諦めて趣味として考える人もいると思います。 これからは、D.LEAGUEでプロのダンサーを目指し、夢を掴み取る人が増えてほしいです。また、ダンスをやっていない人でも楽しめる内容となっているので、今後のD.LEAGUEに期待してください。(津田塾大学 3年 川浪亜紀) RIEHATA  『avex ROYALBRATS』 1990年8月生まれ。新潟県出身。「RIEHATATOKYO」プロデューサー。小学6年生からダンスレッスンに通う。16歳で単身渡米し、19歳までの多くの時間をアメリカで過ごす中で、様々なジャンルのダンスを習得。帰国後はその圧倒的なグルーヴと多彩な表現力で、日本のダンスシーンに新風を吹き込む。同時に「SWAG」を最先端のスタイルとして発信し、ダンスのみならずスタイルアイコンとしても存在感を放ち絶大な支持を得ている。これまでに世界各国のワークショップのほか、多数のアーティストの振り付けやMV出演、TV出演等、国内外で幅広く活躍している。 コロナの影響で久しぶりに長く日本にいることになり、日本を盛り上げるためにもやってみようと参戦しました。自分のチームであり弟子でもあるRIEHATATOKYOのみんなに新しい景色を見せてあげたいという理由もあります。もちろん参戦するからにはトップになりたいと思いますけど、ダンス界全体で挑戦する大きなプロジェクトですので、私に出来ることは全力でサポートをしたいという気持ちも大きいですね。野球やサッカーと違って、ダンスは一般の方が応援できる場がないと思うんです。クラブイベントなどだと少し怖いイメージがあるかもしれないし、ダンス界全体で見ると、まだまだ認知度が低い。だから、D.LEAGUEのようなお茶の間でも応援できるような大会ができれば、もっとダンスを知ってもらえると思いました。ダンスって、みんな物凄い努力をしてカッコよくなっているすごいスポーツなんです。アスリートとしてダンサーがもっと尊敬されるようになってほしいですね。いくつものことを同時に頑張ろうとすると、 (学生は受験だったり、バイトだったり、怪我のリハビリだったり、、) 何かのために別のことを休まなきゃいけない時が出てくると思います。でもそれをネガティブに捉えないでほしいです。片方を休んでいても、別の何かに一生懸命頑張っている時間は絶対に人として成長しています。それを乗り越えたらもっとかっこいい自分になれるんだって、ポジティブに考えてほしいです。私自身、妊娠してダンスを休む時は「一年もダンスを休んだら周りとすごく差がついちゃう」ととても怖いと感じた経験があります。でも一生懸命子育てを頑張って、いざ久しぶりにダンスをしたら、「なんかオーラがかっこいいね」って言われました。やっぱり人って頑張っていればカッコよくなるし顔つきも変わる。何かを頑張るために休むのは、絶対に悪いことじゃないんです。たとえ別のことでも、一生懸命やっていれば、そこには成長しかない。それを忘れないでほしいです。 (慶應義塾大学     1年 宮田峻輔) KEITA TANAKA 『 KADOKAWA DREAMS』 2000年以降のダンスシーンに革命を起こした張本人。ストリートシーンで無敵を誇ったBASE HEADSを率いニュースタンダードを確立した。これまで国内のあらゆるアーティストとの共演で経験値も非常に豊富で、一般層への知名度も抜群に高い。また数多くのイベントのプロデュース、音楽プロデューサー、映像プロデューサー、自身のアパレルブランドのプロデュースなどその活動は多岐にわたる。ダンス・音楽・ファッションなど様々なカルチャーからの熱い支持も集める非常に貴重な存在。そんな彼が繰り出すであろうD.LEAGUEでの采配には目が離せない。 D.LEAGUEは、KADOKAWA DREAMSを除く8チームの参加が決まっていて、すでにプレスリリースもされていました。僕は急遽、9チーム目のディレクターとしてオファーをいただきました。プレカンファレンスは11月15日、オファーを受けたのが9月末のことでした。こんな短期間でチームを作れるわけがない・・と思いましたが、D.LEAGUEの理念が素晴らしかったこと、そして一緒にチームを創りあげていく企業がKADOKAWAだったことから、オファーを快諾しました。ダンスのプロリーグの設立は歴史上初の試みなので、歴史の扉を開ける作業はすごく魅力的でしたが、それ相応の反発を受ける覚悟が必要でした。ただ素晴らしい理念のもと、日本に大きな功績を残し続けている他チームのディレクターに名を連ねられることは光栄に思います。また、KADOKAWAの企業理念は「不易流行」、歴史がありながらも新しい事にチャレンジするということです。自分のポリシーである「温故知新」を掛け合わせ、KADOKAWAのメディアインフラに乗せていくことで、ダンスの楽しさをまだ認知していない人にローンチできると思いました。いかに視覚、聴覚、手触り感で届けるか。例えば、好きな曲が使用されていたら身近に感じてもらえるかもしれませんね。そんなダンスと人を結ぶ「フック」が作れたら良いと思います。そして、サテライトなドラマも届けていきたいです。2分間の戦いの裏には、レギュラーになれなかった人たちのドラマが隠されています。それをキャッチアップすることも、D.LEAUGEの隠れた面白さですね。大学生のみなさんには大学での学びを大きな社会に出た時に、応用できるようになっていてほしいです。僕自身も大学で身につけた思考回路は、夢に近づくためのロジックになりました。是非多くのことを知って、自分が目指す方向へ向かうための糧にして欲しいです。そのうちの一つにダンスが含まれていたら嬉しいですね。(明治学院大学 3年 菅井七海) ISSEI  『KOSÉ 8ROCKS 』 6歳より福岡にあるダンススクール「STUDIO MJ」へ通うようになり、ダンスを始める。STUDIO MJのブレイキンチーム「九州男児新鮮組」のリーダーでもある。講師であるSHUVANの紹介で「FOUND NATION」に出会い、メンバー入りを果たす。2012年には世界大会のうちの一つである「R16 KOREA」のソロ部門優勝。その後2013年・2014年と3年連続で優勝を勝ち取る快挙を成し遂げる。その後もISSEIの快進撃は続き、2016年にはチームメイトのWINGZERO、RYO-FLOWと共に日本人初の「Freestyle Session World Final」優勝という快挙を成し遂げる。・その翌月、日本人初にして、世界最年少での「Red Bull BC One World Final」優勝という偉業を成し遂げた。 6歳の頃からダンスを始めて、気がついたらダンスで仕事をしたいと思っていました。なので、D.LEAGUEのお話をいただいて、プロのダンスリーグにぜひ参戦してみたい、楽しそうだと感じました。今回参戦しているチームはとても強いと思いますが、なんとしてでも優勝したいですね。また僕達が踊っているブレイキンは、2024年のパリオリンピックの競技種目に暫定的に加わることが決定 しているので、D.LEAGUEを通じて、たくさんの人にブレイキンを知ってもらいたいです。僕はこのチームを作った時から人気のあるチームにしたいと思っていました。近年ストリートダンスは認知度が高まっていると思いますが、ブレイキンというジャンルはまだまだ認知されていないと感じています。D.LEAGUEをきっかけにダンスをやっている人もやっていない人にも、ブレイキンといえばKOSÉ 8ROCKSと言われるようになりたいです。またストリートダンサーはメディア露出の機会が少なかったので、今ダンスをやっている人にもD.LEAGUEというチャレンジする場があるということを知ってほしいです。ダンサーとして、今やりたいことがなければ、シンプルに好きなことを見つけてやってみることが大事だと思います。またその時に1人で考えすぎず、仲間を見つけられるといいですね。僕自身ダンスを始めたきっかけは友達がダンスをやっていて、その踊っている姿に憧れて始めました。続けられているのも友達の影響がとても大きかったです。たくさんの人に支えられながら、ここまでやってこれています。仲間を見つけたら大事にして、一緒にダンスを楽しんでほしいです。何かに打ち込んでいるとき、周りが見えなくなる瞬間があると思いますが、それが自分の好きなことであり、やりたいことにつながっているのではないでしょうか。(文教大学 2年 早乙女太一) FISHBOY 『 CyberAgent Legit 』 十代前半より頭角を表し、black D.O.G.S.として各世代のあらゆる全国的ダンスコンテストで優勝。ソロバトルでも20歳ごろから優勝を重ね、躍進を遂げる。世界大会「JUSTE DEBOUT WORLD FINAL 2009」 優勝、「SDK EUROPE 2011」優勝の経験も持ち、TVなどのメディアに露出しだすとRADIO FISHを結成。1年の活動を経て、“PERFECT...

企業に聞く

アマゾンジャパン Amazon インセンティブ事業部 統括部長 正村 嘉康

地球上でもっともお客様を大切にする企業をめざす 世界的IT企業として、総合オンラインストアを展開するAmazon。 商品購入や贈答用として幅広く活用されているAmazonギフト券に加え、今年3月から種類別商品券であるAmazon図書商品券の提供をスタートさせた。 日々新しいサービスを打ち出し続けるAmazonの今後の展望について、Amazonインセンティブ事業部、正村統括部長に話を伺った。 アマゾンジャパン Amazon インセンティブ事業部 統括部長 正村 嘉康(まさむら よしやす) 早稲田大学理工学部を卒業後、富士通株式会社に入社。法人営業として小売業界を担当。 2015年3月、アマゾンジャパンに入社。Amazonギフト券、Amazonプライムギフトコード、Amazon種類別商品券を取り扱うAmazonインセンティブ事業部でアカウントマネージャーを務め、2019年11月より現職にて法人向けのインセンティブビジネスを統括。 多様性から生まれるイノベーション Amazonは1995年に創業者のジェフ・ベゾスが本のオンラインストアとしてアメリカでスタートさせました。日本では2000年に事業を開始し、今年でちょうど20年になります。 創業当初から「地球上でもっともお客様を大切にする企業になること」という企業理念のもと、事業を進めてきました。 個人の消費者の皆さまだけでなく、商品を販売する事業者様や、本の著者の皆さまなど、多様なお客様の存在を考えていくと、ビジネスが広がり、様々なサービスが生まれてきます。 そういった世界中にいるお客様のために、Amazonはどのようなサービスを提供していけばいいのか、日々追求し続ける会社でありたいと考えています。 それに加えAmazonが非常に大切にしていることはイノベーションです。お客様の代わりにイノベーションを生み出す。これはお客様のためになる、お客様により良い生活を送っていただくために私たちが提供できる価値です。 イノベーションを生み出すために重要になってくるのは社員の多様性、ダイバーシティです。様々な経歴を持った人たちが意見を交わすことがイノベーションに繋がると考えています。 また、集中できるオフィス空間や、在宅勤務をしやすい環境づくりなど、社員が多様性を発揮するための土台となる働く環境も大切にしています。 イノベーションの作り方としては、第一にお客様のニーズがあります。エンドユーザーとしてのお客様のレビューを常日頃意識したり、法人のお客様と直接コミュニケーションをとったりしながら、様々なニーズにお応えするためのアイデアを得ます。 また、海外のチームと定期的にコミュニケーションをとりながら、一緒にビジネスの構想をブレインストーミングすることも大切にしています。 ニーズに合わせた新サービスを 従来からあるAmazonギフト券はAmazon.co.jpで提供している対象商品およびサービスにご利用いただけますが、2020年3月から、種類別商品券としてAmazon図書商品券の提供を開始しました。 これは「本」のカテゴリーに分類されている書籍や雑誌などの購入に限定した商品券です。 種類別商品券提供の背景には、「何でも買えるものではなく、何かに目的を絞った商品券が欲しい」というニーズが、世界中で高まったことにあります。 エンドユーザーである個人のお客様が本を購入するだけでなく、法人のお客様が福利厚生や商品のプロモーションに活用できたりと、様々なお客様のニーズに、より柔軟に応えるものだと考えています。 種類別商品券として、図書商品券を作った理由は、書籍や雑誌はタイトルや著者名でオンラインでもすぐに検索することができるという利便性に加え、数多くの中から好きなものが選べるのでプレゼント用にも使いたいというニーズが大きかったことです。 Amazonの今後の展開 今後はこの図書商品券を日本全体に普及させていくと同時に、お客様のニーズにあった新しい種類別商品券の提供を次のステップとして考えています。 そのために、種類別商品券以外にも、Amazon全体で取り扱う商品の品ぞろえや価格、利便性を追求し続けていきたいです。 Amazonはその時々のお客様のニーズに応えていくことで、世の中の変化に対応してきました。 今Amazonがすべきことは、コロナ以降、新しい生活様式に対応する中で、お客様が自分らしく生活していくために、どのようなサービスを提供できるのかを考えることです。 図書商品券も、ステイホーム中に本を読むことで、自分の知らなかった世界に触れていただくきっかけになればと思います。 大学生のみなさんに望むこと 「人との出会い」「多様性」を大切にしてほしいと思います。日本のAmazonの社員には約50の国や地域の出身者がいます。国が違うと日本では当たり前のことが通じないことがしばしばです。 多様な経歴に裏打ちされた意見を交換する中で刺激を受けて、イノベーションにつながる新しいアイデアが生まれます。 学生生活はもちろん勉強も大切ですが、いろいろな人と出会い、刺激を受け、多様な考えを持って発信していくことも大切にしてほしいと思います。 また、様々な知識やノウハウ、考え方を学べる書籍と出会うことも大切なので、図書商品券が良いきっかけになってくれるとうれしく思います。 学生新聞2020年10月1日号より(国際基督教大学4年 鈴木菜桜)

政治家

国家公安委員会委員長 武田 良太

その道を極めようと思ったら、周りが見えなくなるくらい無我夢中になれ! ■ プロフィール 1968年福岡県生まれ。1992年早稲田大学文学部英文学科卒業。1992年衆議院議員亀井静香秘書。2003年衆議院選挙福岡11区にて初当選、以来6期連続当選。2007年衆議院法務委員会理事。2008年防衛大臣政務官。2009年衆議院海賊行為への対処並びに国際テロリズムの防止及び我が国の協力支援活動等に関する特別委員会理事。2010年自民党遊説局長。2001年自民党福岡県支部連合会会長。2012年自民党国防部会長。2012年衆議院安全保障委員長。2013年防衛副大臣。2014年衆議院外務委員会理事。2015年自民党スポーツ立国調査会 幹事長。2016年自民党幹事長特別補佐兼副幹事長。2016年衆議院決算行政監視委員会理事。2016年自民党地方創生実行統合本部筆頭副本部長。2017年自民党北朝鮮核実験・ミサイル問題対策本部副本部長。2018年自民党安全保障調査会会長代理。 ■ どんな学生時代を過ごしていましたか あまり大きな声では言えないけれど、大学時代は勉強やサークル活動をした記憶があまりないんですよね。大学卒業後に、会社員や公務員になろうとは考えなかった。旅行したり、仲間との時間を大切にしていました。その過程でいろんな人と出会う事が出来たし、学生時代にしかできない経験ができたと思っています。失敗もあったけど、それもいい経験。 ■ 政治の道に進んだきっかけは  叔父が政治家ということもあって、政治の世界には興味がありました。「よし、この道を目指そう!」と覚悟を決めたきっかけは、亀井静香先生の秘書になったこと。ご縁ですね。初出馬から当選まで10年かかりましたが、私自身は当時を振り返ってみても苦労したというよりも、楽しかったなという思いの方が強いですね。 私は10年間で3回落選しています。しかし、選挙を重ねるたびに支持者が飛躍的に増えている実感があった。当選はできなくても、「政治家に着実に近づいている」と考えると、それだけで楽しかった。充実していましたよ。すべてに体当たりして、体で物事を覚えることができた、貴重な時間でした。 ■ 仕事でのやりがいと苦労は 世の中に同じ意見の人は一人もいません。千差万別、さまざまな意見をまとめて法律を作るのは、政治家が頭を抱えるところです。 私たちは明日のお金、一年後の生活が気になりますよね。でも、政治家としては日本の将来のために、いま取り組むべき課題がある。国民に非難されても、やり続けなくてはいけない。そこに葛藤があります。 一方で、そんな苦労の末、自分のやってきたことが人々に光をあてることができた、と思えることがあります。そんなときは、政治家としての喜びを感じます。 また、政治をやっていると、不要な人はいないということを実感します。政治はいろんな人の力を借りないと出来ません。あらゆる問題を解決するためには、いろんな価値観の人と関わる必要があります。 だから、その人の得意分野や才能、良いところをどうやって見出していくかというのが大事だと思っています。 ■ 大学生へのメッセージ 学生時代は自分のやりたいことができるラストチャンスです。固定観念にとらわれたり、既存のレールに乗っかる必要はないです。だから、外国を一度見てみるのもいいですね。 自分の興味のあるものにトライしてみることが大事なんじゃないかな。将来きっと役に立つと思いますよ。 学生新聞2020年10月1日号より( 駒澤大学2年 野上泰聖 )

如意太一

株式会社ブシロード 代表取締役社長 橋本 義賢

感謝と笑顔を世界に届けたい日本のエンターテインメントを世界へ発信 ■プロフィール 慶応大学理工学部を卒業後、日本IBM株式会社を経て、1995年に株式会社コスパを設立、代表取締役社長に就任。2006年タブリエ・コミュニケーションズ株式会社(現コスパグループホールディングス株式会社)の代表取締役社長に就任。2012年1月から株式会社ブシロード顧問、2015年9月同社取締役、2017年10月同社代表取締役社長就任。 すべての人に“楽しい”という喜びを届けることを目標に掲げ、日本の強みであるアニメコンテンツを世界へと発信しているブシロード。商品の提供だけでなく、お客様を楽しませるイベントを提供し、「笑顔」と「ありがとう」がやりがいだという橋本社長。そのアニメ業界への熱い思いを伺った。  大学生の頃は社会経験を深めたいという思いが強かったため、イベントの企画やプロデュース、広告などを中心としたサークルに所属していました。学園祭で企画やビジネス、スポンサー営業などをやってきましたが、チケットを売らないと収益が出ないこと、スポンサーをつけることによって収益を増やせることなど、さまざまな活動を通して世の中の仕組みやお金の稼ぎ方を学び、実践することの大事さを感じました。 ■始まりはヨーロッパで聴いた日本のアニメソング  私はいつか独立したいと考えていました。どんなモノやサービスを提供したいかということよりも、とりあえず起業したいという考えが先でしたが、まずは社会を学ぼうと思って日本IBMに入社しました。  独立するなら輸出できるものをビジネスにしたいと考えていたのですが、車のようなハードは資金がかかり、ベンチャー企業にとってはなかなか大変です。日本の強みを活かしたものをと考えていたこともあり、ソフト産業のアニメに行き着きました。ヨーロッパ旅行をしたとき、ロンドンでもパリでも日本のゲーム キャラクターはすでに人気だったし、聴いたことのあるアニメソングが流れており、現地の人たちが楽しんでいたのです。日本のアニメ、コミックというジャン ルにポテンシャルを感じました。そこでコスプレを楽しむ場としてのイベントを開催する事業を始め、その後、コスプレ衣装の事業も手がけました。 ■お客様からの感謝と社員の成長がやりがいに  独立というのは、良くも悪くもやったことすべてがそのまま返ってきます。売上をあげればその分が手元に入りますが、在庫もすべて自分に跳ね返ってきます。しかし、それ自体が得難い体験です。イベントに参加したお客様から「ありがとう」と言われたり、差し入れをいただくことがあり、お客様たちが楽しむ姿や 笑顔を作り出す環境を提供できることに喜びを感じました。 社員数が400名を超えたことから、現場を任せること も多くなりました。すると、これを君たちだけで仕上げた の?と聞きたくなるような見事な成果を見せてくれることがあります。若い社員たちが 私の想像を超えた結果を出したり、私には思いつかないアイデアを生んで、成長している姿を見ることは、私にとってのやりがいとなっています。 ■信頼される人、利他主義の人と仕事をしたい  社員や取引先、友人など周りの人から信頼されている人はすばらしいと思います。信 頼を集めることには長い時間がかかることもありますし、相手にとってメリットのあるものを提供しなければなりません。向上心がある人や、利己主義ではなく利他主義という考えを持つ人は周りから信頼も集まり、結果として仕事 も成功します。 社会に出ると自ら稼ぐ力を持たなければなりません。自分の手で仕事を作り上げ、協力した人に対価を払い、売上を生むというサイクルを構築できる人は尊敬に値します。 大事な点はお客様や同僚に対して付加価値を提供することが先で、自分が対価を得るのはその後ということです。親からお金を払ってもらっている立場から考えを切り替えられる人と働きたいです。採用を考えるときはそうしたところを見ています。 ■伸びている業界からコンテンツを世界へ発信  ブシロードグループでは文系、理系を問わず、巻き込む力、プロモーション力、プロデュース力や企画力などにたけている人材を採用したいと考えています。  コンテンツ事業はメディア業界と表裏一体です。世の中はアナログからデジタルへの変化が加速しており、一般の方のライフスタイルもかつてアキバ系といわれたようなオンライン中心のコミュニケー ションに移り変わってきています。生活のオンライン化が進んだことは業界への追い風 になっています。 これからは2世代で楽しめるコンテンツや、お客様に飽きられないために新しいコンテンツ、サプライズを組み入れ、半永久的なモノを作っていきたい。また、日本のコンテンツが海外に受け入れられ、世界中にアニメファンが増えているため、グローバル化に重きを置き、IP(知的財産) を生み出して世界へ供給して いきたいと思っています。 ■message  コンテンツ業界は若くないとできない仕事です。コアターゲットが10〜20代で、大学生は若者の情報や何が欲しいかわかるため、優位性が高い。しかしビジネスに変える力が足りない。この業界は作家やイラストレーターなどいろいろな職種の人と関わるため、人を巻き込む力が特に必要です。積極的に人と話し、相手にメリットを提供できる、利他的考えを持てるように頑張ってください。 学生新聞2020年10月号 駒澤大学 4年 如意太一

梶間直人

ハラミちゃん

■プロフィール YouTubeを中心に活躍しているポップスピアニスト。YouTubeでの動画総再生数1億5000万回以上、チャンネル登録者数60万人(2020年9月現在)。キャッチフレーズは“絶対音感でお肉が大好きなピアノ弾き”。  ピアニストは固いというイメージを壊すために「ポップスピアニスト」として活動しています。技術よりも感情をあらわすような演奏を心掛け、寄り添うことをテーマにしています。カメラ目線を意識して、目が合った感覚というか、高揚感をファンの皆さんに与えて、ちょっとドキッとするような要素も入れて定着させています。 ■大学生へのメッセージ  自己ブランディングとは自分を知り続けることだと思います。「明るい」「活発」など、ふわっと捉えているとブランディングは難しい。例えば「癒し」といっても、いろんな種類があります。細かいレベルで、自分はどういう存在なのか分析してみてください。自分を知ることを恐れずに、人からもどう見られているか聞いてみてほしいです。 学生新聞2020年10月号 中京大学4年 梶間直人

経営者

株式会社クイック 代表取締役社長 川口 一郎

個人に感謝され企業に評価され、自信をつけ、成長する ■プロフィール 大学卒業後、株式会社日本リクルートセンター(現:株式会社リクルートホールディングス)入社、その後トランス・コスモス株式会社常 務取締役を経て 2005 年株式会社クイック入社、人材紹介事業本部長、常務取締役執行役員を経て2019 年代表取締役社長就任。2020年株式会社キャリアシステム代表取締役社長も兼務し現在に至る。 「関わった人すべてをハッピーに」というグループ経営理念に基づき、独自の体制で人材紹介事業を展開する株式会社クイック。転職を考える個人から感謝され、企業に評価されるいい仕事をすること(BtoB&C)が人材紹介の面白さだと語ってくれた川口社長に、仕事における信念や大切なことについて語ってもらった。 大学時代はボート部に所属していました。ボート部は年の半分が合宿で、部活中心の生活を送っていました。 就職においては、会社選びの3つの基準を自分で決めていました。1つ目は、平均の能力と平均以上の意欲を持つ自分が、 代に鍛えられ成長できる会社かどうかです。 2つ目は、いい仕事をしたときに評価がダイレクトな会社、3つ目は経営理念の理と事が一致している会社です。多くの会社で経営理念が掲げられていますが、それが社員全体に浸透し、実際の業務に生かされている会社かどうかは、私にとってとても大事な会社選びの基準でした。 ■新入社員に伝える3つのこと 1つは「失敗を恐れるな」です。失敗は前を向いて動くから生まれるもの。失敗は財産で失敗する自分をむしろ褒めてほしいとも言っています。2つ目は「悩むな」です。ビジネスにおいて悩んで解決することはなにもなく、考えて行動し、行動して考える、その繰り返しの中で知恵を出すことが大事で、無駄に悩んではいけません。3つ目は「101の仕事をしてほしい」ということです。 100は言われてする仕事ですが、100の次の1は自発的にやる仕事です。その自発的な1を1年、2年続けると、その姿勢がビジネスパーソンとして大事な筋肉になり大きな財産になります。 ■独自の制度と社員の成長 多くの人材紹介会社は、早期戦力化というメリットもあって、分業制を取っています。しかし私は、人材業界の面白さややりがいは、個人と企業の間に入り、介在価値を両者に提供し、その結果、個人に感謝され企業に評価されるいい仕事をすることにあると考えています。 それを具現化するためにクイックは独自の一気通貫性を取っています。一人のコンサルタントが、個人対応も企業対応も両方担うという体制です。そして自分が担当する転職を考える個人の方に紹介したい企業を他のコンサルタントが担当している場合には、その二人のコンサルタントがコラボレーションして、個人と企業のマッテイングを図ります。チーム力、組織力でいい仕事をする体制です。 新卒が我々の考えるコンサルタントになるまで2年はかかります。その間は研修や実践を通じて、勉強勉強の連続で相当大変ですが、我々はそれでいいと思っています。社会に貢献できるバリューの高いプロになるためには、最初の2年間でどれだけ木の根っこをしっかり作っておくかがその後の成長に大きく影響すると思っているからです。 ■人材紹介のやりがい、 そして大切なこと 私のやりがいは、たくさんのメンバーがマーケットに対していい仕事をしお客様から評価を受け、成功体験を積み重ねることで自信を産み、さらに力をつけようと努力する、そんな姿を見ることですね。社員の成長がいい仕事につながり、結果、事業規模の拡大に、そして組織がよりよい仕事ができるようになっていけば、私の喜びはさらに増えていきます。 クイックには、「関わるすべての人をハッピーに」という経営理念があり、迷ったら理念に立ち戻りどうその理念に近づいていけるかを考えます。一部上場しているので、ステークホルダーを大切にし、様々なステークホルダーから見て魅力的な会社にしたい。その中で一番大切なのは社員です。社員がどれだけクイックでやりがいを感じ、成長を実感し活性度の高い組織にできるか。人が人に対してするサービスなので、仕事に誇りとやりがいを感じられないと、 強いエンジンにはなりません。社員を一番に考え、社員が活性化している組織であることが最も大切だと考えています。 ■message 当社の求める人材には3 つあり、一つ目は意欲の高い人、自分の成長のエンジンとなるものを持っているです。2つ目は地頭の良さです。学歴ではなく様々な課題に対して知恵を出せる人。 3つ目はチームワークの取れる人です。新入社員は、すべてが初体験ですから失敗はあたりまえです。様々な経験を通して成長していく、そしてその人たちを育てる土壌が自社にはあります。入社したら仲間であり、社員はみんなで育てていくという風土を持っています。大学生のみなさんは、学業でもスポーツでも何か自分なりのチャレンジを徹底的にやってみる経験をされたほうがいいと思います。自分の時間はたくさんあるので、挑戦を 繰り返すべきです。挑戦すると、最初は失敗してつらい思いをするかもしれませんが、それも財産になります。 学生新聞2020年10月号 青山学院大学2年 鈴木理梨子

北島麗音

石原彩香

■プロフィール モデル事務所HYBRIDBANK所属。関西を中心にモデル活動をスタートさせ、雑誌やネットショップ、TV出演やMCとしても活動中。動画配信アプリ『17Live』で世界総合ランキング1位獲得。幅広い世代から支持を集めている。  モデル専業になってから、ライブ配信もするようになったのですが、活動の一環として始めた17Liveの初日の視聴者数は8万人。ライブ配信は視聴者と一緒に作っていくものだと実感しました。私の強みは自分を飾らないことですね。キャラを作っているといつかは視聴者にバレますし、配信する側からしても長続きしません。自分自身をさらけ出すことが大切で、殻をかぶった状態だと自分の一部分しか見てもらえません。 ■大学生へのメッセージ やりたいことを諦めず、やり通してほしいです。失敗しても自分自身が成長します。何か一つを諦めずに長く継続すると思わぬ将来に繋がると思っています。 学生新聞2020年10月号 文教大学2年 北島麗音

伊東美優

セゾン自動車火災保険株式会社 代表取締役社長 佐藤 史朗

仕事はお客さまと世の中のため。 初志貫徹の精神を忘れない ■プロフィール 1981年大分大学卒業、同年安田火災海上保険(現損保ジャパン)入社。2015年取締役専務執行役員、2016年代表取締役専務執行役員、2018年代表取締役副社長執行役員、2020年4月セゾン自動車火災保険代表取締役社長に就任。損保ジャパンでは営業部門のトップとして、新たな取引先を次々に開拓。豊富な人脈を持ち、明るくエネルギッシュな人柄を慕う社内外のファンが多い。 保険とは形のないサービスであり、学生にとってはあまり馴染みがないかもしれない。しかし、時代に伴って保険業界にも様々な変革が必要となる。佐藤社長もこれまでに様々なチャレンジをし、周りがやっていないことも失敗を恐れず果敢に挑戦してきたそうだ。そんな佐藤社長の考える仕事の意義、そして「何かを変える力」とは。  大学時代はバレーボールやテニスなど、スポーツに明け暮れて過ごしていました。 就職活動はいくつかの企業を受けていたのですが、最終的には安田火災海上保険(現損保ジャパン)に入社しました。  当時この企業は、社員=家族と捉えるような「ファミリー主義」を掲げていたのですが、就職面接の際にその社風がすごく伝わってきて、最終的な決め手となりました。また、当時は事故を起こしてしまった際に保険に入っていなかったため、経済的に困窮される方も多くいました。その中で、「保険金を受け取ることができて助かった」というお客さまからの御礼の手紙などを読んで、自分の仕事は人の生活を支える仕事なのだと実感しました。 ■仕事における発想の原点は「お客さまのため」  会社人生の中で、仕事はお客さまそして世の中のためにしていくものだとずっと考えてきました。お客さまが本当に困っていること、ニーズに対して、保険にはあまり関係のないことでもわれわれにできることならば一生懸命やる。それが信頼関係につながり、だんだんとビジネスに広がっていきます。では、現段階で当社はどうなのか。確かにダイレクト自動車保険は価格の面ではお客さまのニーズを満たしていると思います。しかし、本当にお客さまが安心して生活できるか、そう聞かれるとまだまだだと思います。もっと努力が必要であり、われわれの会社も保険業界全体も、変わっていく必要があります。 また、デジタルの世界はどんどん新しくなっていきます。われわれの業界に関連づけると、安心・安全・健康という面でもデジタルでいろいろなサポートができますが、デジタルですべてが解決できるかというと、どうでしょうか。私はデジタル技術を使う際に最も気をつけるべきことは、そこに信頼があるかどうかだと思います。どんなに技術が発展しても最後は「人」。保険会社でも、コールセンターや事故対応部門などの人と人の接点の中で信頼関係が築けるかどうかが、今後も重要になってくるでしょう。 他にも、例えば死亡事故を削減できないかという課題があったとします。事故が起きてから重要なことは、いかに早く救急搬送するかという、時間との勝負です。保険会社は過去のデータを用い、どういうシチュエーションで事故が起きたかで、どのくらい危険なのかが判定できます。例えば、 度の角度で当たると危ないというデータがあるとします。そして実際にそのような事故が起きた時に、いち早く適切な治療ができる病院を判断して搬送することで、死亡事故を減らすことができます。このように保険とは一見結びつかないようなことでも、課題を一つ一つ解決していくことが社会貢献に繋がっていくと考えています。 ■モットーは「初志貫徹」  今まで苦労してきたことはたくさんあります。特に、高い目標を決めて今まで先輩ができなかったことにチャレンジしたり、従来のビジネスモデルを変革するチャレンジをしたりした時は、とても大変でした。でも、どんなに辛い状況でも、最初に決めたことは徹底的にやり抜く。それが自分のモットーである、「初志貫徹」です。歯を食いしばって最後まで突き進んでいって、ついに成果が出ると、周りから信頼を受けたり上司から評価されたりなど、必ず報われてきました。思うに、何かを変えたいと思っても、その人自身の熱量だけでは変わらないことが多い。まず何かを変えたいと思ったら、上層部の人間を説得し、理解してもらう。これが自分の経験上、極めて重要でした。もちろん理解を求める際は、口だけでなくレポートなどの材料の用意も必要です。そしてその後は、志を持って前へ進むのみだと思います。 仕事をする上で楽しかったことは、自分が苦労してチャレンジしたことに結果が出た時です。成果が出たことに対して、自分にとっては達成感、満足感があることはもちろん、それだけでなく、仲間が増え、上司に認められ、新たなことにチャレンジする機会を与えられるなど、どんどん活躍の幅も広がり道が開けていくことに楽しさを感じました。 ■message  会社に入ると本当にあっという間に時間が過ぎます。働き始めると責任も生まれるし、家族など支えていかなければならないものも増えます。ですから後悔のないように、失敗してもいいので若いうちからチャレンジし続けることを忘れないでほしい。 あとは仲間を作ることも大切です。性別・年齢関係なく、お互いが本当に信頼できる、そして自分が大変なときに支えてくれる、そういう仲間をたくさん作ること。そのためには真摯に人と向き合い、相手が困ったときにはしっかり助けてあげることが重要です。健康に気をつけて、学生の皆さん頑張ってください! 学生新聞2020年10月号 慶應義塾大学 1年 伊東美優

小川淑生

株式会社MCJ 代表取締役社長 安井 元康

若者は可能性の塊。 限界に挑戦して自分を知れ ■プロフィール MCJ社長兼最高執行責任者(COO)。アニメーションの企画・制作を手掛けるベンチャー企業を経て、PC本体や周辺機器を製造販売するMCJにて東証への上場を経験。その後、経営共創基盤にて戦略コンサルタントして9年間活躍し、2016年3月にMCJに復帰。著書に『非学歴エリート』(飛鳥新社)、『極端のすすめ』(草思社)等がある。 新卒で入社し、上場に携わったのちに退社、その後 10年の時を経て再入社し、 年で社長にまで上り詰めた安井氏。その圧倒的な結果は、人並外れたストイックさに裏打ちされたものだった。今回は、そのストイックさの原点である安井氏の学生時代も振り返りながら、働くことの意義を伺った。  大学時代にやっていたことは大きく分けて3つ。バイト、勉強、人に会うこと、ですね。 母子家庭であまり裕福ではなかったため、中学生のころからシャカリキに働いていました。勉強は英語、会計、PC関係の 分野を頑張っていました。特に英語に関しては、海外に行くことなく、ネイティブの方と卒なくコミュニケーションをとれるようにまでなりました。やると決めたことはとにかくやりきる性格なので、信号待ちの間も、夜道を歩いているときも勉強していました。「人に会う」に関しては、目上の働いている方とお会いしていました。母子家庭に育ち、働いている男性が身近におらず、働くとはどういうことなのかが全く想像つ かなかったんです。やっぱり目標、目指す姿がないと頑張れないじゃないですか。そのため、そういうロールモデルを見つけるためにたくさんの方とお会いしました。おかげで、何を目指すべきか悶悶としていた時期を抜け出し、「経営者になる」という明確な目標を見つけられました。 ■いったん退職、同じ会社に再び入社  初めからベンチャーに入りたくて、いわゆる王道の就活はせず、バイト雑誌から応募したりしていました。結果マウスコンピューターに入社したのですが、働き始めてからも就活をしていました。  入社してからも、シャカリキに働きました。1日18時間くらい働いていて血を吐いて倒れたこともありましたが、そのときは「やったー」と思いました(笑)。こんなに頑張っているのか、って。最終的には上場に関わるなどし、いったん退社。戦略コンサルタントとして働き、10年ほどおいて、取締役として再入社。  再入社した理由は、当時の私にとって一番チャレンジングな環境がMCJだったからです。当時、業績が横ばいで、そこから右肩上がりに成長させたかった。外から見ていて、一つのテーマというか、成長の方向性がなかったので、それを作ろうと入社しました。 最初の2ヵ月はそこに専念し、1年後に社長に就任。当時の会社になかった役割を持ち込み、それをしっかりと果たしたことが評価されました。 ■ともに働く人に求めたいこと  新卒の方なら、好奇心が旺盛な人ですね。あらゆる行動や努力の源は好奇心です。とりあえずやってみる、言ってみるというのが大事。行動と思考の足かせを外し、とりあえずやってみることが一番大事なんです。言ってくれないと、何がわからないかもわからない。間違ってもいいから、とりあえずやってみましょう。  中途の方では、何かスペシャルな面がある方ですね。新規プロジェクトが立ち上がってメンバーを集めるときに、「営業はこの人に任せよう」「マネジメントはこの人に任せよう」といった感じで、プロジェクトに必要な能力を要素化して、人を集めていくんですね。そのときに、「あれ?この人は何ができるんだっけ」となったら終わりなんです。 逆にエッジの効いた人、「この人といえばこれだよね」というものを持っている人にはもう一度会いたくなります。 ■常に複数の選択肢を持ちたい  ここまで頑張れる理由は、コンプレックスがあるからですね。家庭があまり裕福でなかったこともあって、若いころ、あまり選択肢を持てなかったんですよ。それがコンプレックスになったので、35歳までは、常に選択肢を複数持てるように努力し行動してきました。選択肢を一本に絞ってしまうと、苦しくなってくるんですよね。その選択肢が崩れると、どうしようもなくなってしまいます。「人生のプランB」を用意しておくことがとても大切だと思います。 ■これからについて展望すること  個人的には、自分の可能性の限界に挑戦したいですね。周りに対する影響力を強くするとともに、自分のクローンみたいな人も作りたいです。 仕事面では、特徴のある会社を作りたい。産業という視点からは、この業界は成長産業ではないかもしれません。ですが、その中で特徴のある会社を作っていきたい。具体的には、0から10まで全部自社でやって、ファンを作りたいです。部品の製造や調達から始まり、アフターサポートに至るまで、すべてを自社にて完結させているのですが、これを継続していきたいです。 ■message  若者って、可能性の塊だと思うんですよ。その可能性をどこまで突き詰めていけるか。何かを100%やったという経験をして、初めて自分を知ることができます。そして、若いからこそ限界に挑戦できると思うんですね。 また、可能性にあふれているからこそ、向かうべきところをしっかり定めないと、四方八方に発散してしまって、結局何にもならなくなってしまいます。明確な目標を一つきちんと定めて、持てる力を全てそこに投入して頑張っていただきたいです。 学生新聞2020年10月号 慶應義塾大学 4年 小川淑生

伊東美優

株式会社 再春館製薬所 代表取締役社長 西川正明

社員の笑顔を大切にしお客様の夢の実現を目指す ■プロフィール 1973年熊本県生まれ。再春館製薬所に入社後、広告制作、研究開発等様々な業務を経験し、取締役経営統括本部長を経て2004年7月代表取締役社長に就任。2007年、コールセンター・本社機能を有するオフィス棟「つむぎ商館」を製造工場のある再春館ヒルトップに移転し、同一敷地内に製販一体の体制を築き上げる。2011年からは順次台湾・タイ等を拠点にし、海外展開も進めている。 偉大な創業者である母のあとを継ぎ、2代目として再春館製薬所を経営する西川社長。お客様の悩みに寄り添い、ともに夢の実現を目指すことで社会に必要とされる会社に育てていきたいという。創業の地、熊本にしっかりと根を張り、製品を磨き上げることに情熱を傾ける西川社長にお話を伺った。  姉の影響と、英語を学びたいという思いがあり、高校はアメリカに留学させてもらいました。高校卒業後、すぐに再春館製薬所へ入社するのですが、学生時代をアメリカで過ごしたことがいい経験になりました。日本はよくも悪くも島国。アメリカではどんな考えも一方的に非難せず、受容してくれる空気があり、少しだけですが、社会の多様性を学べたと感じています。 ■どんなときでも相手の気持ちになりきって  創業者である母親は息子の私から見ても、とにかくなんでもできるすごい人。自分には同じやり方はできないし、同じ結果を出すことはできないと思っています。だからこそ社員みんなの力を借りて一緒にお客様に愛される会社にしていこうという気持ちが強いのだと思います。 お付き合いのある多くの尊敬すべき経営者に共通するのは、「社員を大事にされている方」だという点です。弊社でも最近、社員と会社のエンゲージメントを向上させるため、モチベーションクラウドサービスを導入し始めましたが、社員が元気だからこそ売上が上がるという考え方は、とても素敵だなと感じます。社長職を引き継いだときに決めたことは、社員とその家族に美味しいご飯を食べさせ続けること、つまりは社員が笑顔で働き続ける会社にすることでした。社員の笑顔は私にとって日々の仕事のやりがいなのです。 私は辛かったことも寝るとすぐに忘れるほうなんですよ。2016年の熊本地震や今年の新型コロナウイルスなど、日本にとっても弊社にとっても大きな出来事がたくさんありました。でも、この災害や感染症がなかったら気づけなかったこともあるので、私はプラスに捉えるようにしています。 例えば、年配の社員が腰を痛めないように、社内では12万円くらいする椅子を、私を含め全社員が使っています。ところがテレワークになって自宅の椅子に座った時に、会社の椅子の座り心地の良さに気づいたことなど。あらためて思いが伝わったことはうれしかったですね。 普段から一番意識していることは、何が辛いか嬉しいか、自分のこととして考えることです。例えばお客様を待たせてしまった時に、社員一人ひとりがお客様の気持ちになって考えることができたら、迅速に対応ができると思います。どんな時も相手の気持ちになりきって対応することは大事にしていることの一つです。 また、何か外に向けて新規事業を始める時は、一人ひとりの役回りを大事にしています。熊本地震の復興支援の際は、信頼できる社員に事業の再生を任せられたことで、社員に対しての独自の支援や地域にまで取り組みを拡充することができました。 ■社会、お客様、社員に必要とされる会社づくり  2代目として引き継いだからには、業績を下げるわけにはいかない。しかし、今より売上を何倍も何十倍も上げていこうとは全く思っていません。そうではなく、今後100年、200年と続く会社にしていきたいと考えています。長く生き残る会社になるには、多くの人に必要とされる会社でなければならないと思います。弊社はただ単に商品を売っているだけではありません。商品を通して悩みや痛みを解決し、その先にあるお客様の夢、例えば旅行に行ったり、孫と一緒に楽しく遊ぶといったことを実現するのが私たちの役目だと思っています。お客様と一緒にゴールを目指す会社になりたいですね。 弊社は、お客様のリピート購入で存続している会社です。新たな顧客獲得に向けてやみくもにお金をかけるのではなく、お客様一人ひとりと寄り添い、耳を傾けることに注力します。例えばお客様の中に年齢を重ねていく中で更年期が辛いという声が多いとします。更年期って、気持ちが落ちこみやすいことが多いので、 しっかりとお話を伺い、お客様の悩みに寄り添うことがすごく大事だと考えています。このような他社とは違う方法や思考でお客様にサービスを届けられる会社になっていきたいし、社員一人ひとりが同じ意識を持ってほしい。毎年新卒採用がありますが、どれだけ能力がある人でも、理念や価値観が一致して同じ方向を見ている人でないと難しいと思います。一番は、お客様の喜びを嬉しいと思えること。学生に求めているのは、スキルよりもこの気持ちですね。 ■message  最近の若い方は、多くの人が正解探しをしているように見えます。ですが人生は数学ではないので、間違いを気にすることなく、進んでいって欲しいですね。間違えたとしても、人の話を聞くことでより勉強になり、フィードバックをもらうことで成長します。 弊社ではアンケートを禁止しています。お客様一人ひとり、状態も動機も全く違うはずなのに、アンケート結果で「これが売れます」というのはおかしいと思う。社会も会社も人の積み重ねでできています。商売をするにしても現場、そしてお客様のリアルな声を大切にすることが必要です。 学生新聞2020年10月号 慶應義塾大学1年 伊東美優

人事

株式会社光文社 総務局総務部主任 北岡直美

■プロフィール 就活は苦戦し、新卒で小売業に入社するも早期に退職。その後、仕事で光文社に携わるなかで、コンテンツの魅力と社員の個性の面白さに惹かれ、光文社に転職。2016年より採用を担当。 採用HPに「才能×才能=奇跡」という言葉がある。本や雑誌はさまざまな才能をディレクションすることで形になる。ゼロから奇跡的なコンテンツを生み出す出版の仕事について話を伺った。 ■出版業界の特徴について教えてください  出版社の仕事の特徴を一言でいえば「人の心を揺さぶる仕事」ではないでしょうか。たとえば、我々が出版した本や雑誌を通して、読者の知的好奇心がくすぐられたり、ワクワクしたり、あるときは感動したりなど、誰かの心にアプローチできる仕事だと思っています。 また、光文社では創業当時から「読者調査」に注力しています。これは単にアンケートを取るだけでなく、実際にターゲット層の方に直接お会いして話を聞き、雑談の中で読者の悩みや興味を聞いていきます。この「読者調査」から読者にフックのかかる企画が生まれることも多いため、読者との距離が近い出版社であると言えます。 ■どのような人材を求めていますか  いろいろな学生を見ている中で、留学経験があるなど海外の知識も豊富な学生が多く、凄いなと思います。しかし、その学生自身の人物像が今一つ浮かんでこないことがあります。逆に、些細な経験でも他の人より深くそのことについて考えていて、自分の意見をきちんと言える学生には、また会いたくなります。出版社って世の中に絶対的に必要かと聞かれたら、そうではないです。でも、ないと人々の心が少しカサついてしまう気がします。誰かの心に響かせて、寄り添っていくためには常にアンテナを張りながら考えることを止めないで、自分で気づくことがとても大切なんです。もう一つ大切なのは、何に対しても興味が持てること。やはり出版社は人と会うことが仕事なので、どんなことにも面白がって興味を持てる学生は、光文社で活躍できると思います。 ■大学生へのメッセージをお願いします  自分が何に向いているのかは、学生の段階では分からないと思います。だからこそ本当に自分がやりたいこと、好きなこと、伝えたいことは何だろうと、まずは自分の中で噛み砕いてみてください。その上で、いろいろな会社に行ってみて、自分の目で、耳で、その仕事の面白さを感じてみてはいかがでしょう。自分の言葉で飾らずに伝えることはとても大切です。ぜひ学生のうちにたくさんの人との出会いを重ね、失敗や経験を通じて自分の可能性を広げてください。 学生新聞2020年10月号 慶應義塾大学1年 伊東美優

人事

ユニリーバ・ジャパン・ホールディングス株式会社 取締役人事総務本部長...

■プロフィール 1996年慶応義塾大学卒業後、株式会社パソナ入社。2002年コロンビア大学大学院にて組織心理学修士取得。日本GEにて人事マネジャーを経験。2008年ユニリーバ入社後、2013年4月取締役人事本部長就任。2014年4月取締役人事総務本部長就任、現在に至る。 「Purpose」と「Passion」。この2つの〝P〟は、外資系企業を目指す学生にとって、特に重要なキーワードである。 ■業界の特徴や御社の魅力を教えてください  弊社の特徴は「自分らしくある」ということですね。「BeYourself」という言葉をすごく大切にしており、新入社員でもプロフェッショナルとして自分の意見を言ってもらいます。全員がどんどんアイデアを出し、議論し、自分が良いと思ったことをしっかりと発言する。ユニリーバはグローバル企業なので、宗教、言語、文化など、それぞれ国によって違います。多種多様な社員が自由に意見を言うと、もちろんぶつかることもあります。しかし、「どうしてこの仕事をしているのか」ということを話すと、ゴールに向かって一致団結していけます。世界中の社員が「サステナビリティを暮らしの“あたりまえ”に」というパーパス(目的・存在意義)を実現するために仕事をしているのだという共通認識を持っているからです。 ■どのような人材を求めていますか  「Passion」のある人がいいですね。自分の好きなものに情熱を持っている人。それと次の一歩を踏み出せる人ですね。人生にはいろいろなことが起きます。いつもうまくいくとは限りません。グチを言ったりするのは構わないですが、それでも次の一歩を踏み出せる人です。それがないとユニリーバで働くのはとても大変です。なぜなら、解決策は誰も教えてくれないからです。そのような仕事の仕方はして欲しくないし、そもそも世の中には絶対の「正解」はありません。壁にぶつかって辛い思いをしても、次に向かって「じゃあ、こうしよう!」って思える人。それは「Passion」がないとできないので、この2つを持っている人といっしょに働きたいですね。 ■大学生へ一言メッセージをお願いします  「何かしなきゃ」って思わないで欲しいですね。「就職しなきゃ」とか、「良い会社に入らなきゃ」とか。皆さんの周りには、皆さんに幸せになってもらいたくて「、安定している会社に入って」などとアドバイスしたりする人もいると思います。それももちろん大切なことですが、それを聞きながら、あなた自身は何がいいと思うのか、何が響くのかを自分の心にしっかりと問いかけて欲しいです。大学生活はすごく豊かな4年間です。その4年間を就職のことばかり考えて過ごして欲しくないと思います。大学生活を就活のためではなく、人生を考える場にして欲しいです。そして、自らの力で道を切り開き、人生を楽しんで欲しいなと思います。 学生新聞2020年10月号 日本大学3年 大橋星南

濱穂乃香

HJ ホールディングス株式会社 代表取締役社長  於保浩之

先々に残るものをつくるために止まることなく進み続ける ■プロフィール 1985年青山学院大学卒業後、日本テレビ放送網(株)へ入社。営業局勤務を経て、1994年にスポーツ局でゴルフ中継等スポーツ番組制作を担当。その後は2001年人事局人事部、2004年に再び営業局、2007年編成局制作推進部に勤務。2011年から勤務した社長室企画部でHulu日本事業の買収を担当し、交渉成立の2014年からHJホールディングス勤務。 新型コロナウイルスによるステイホーム期間に、配信コンテンツの一部を無料開放したことでも話題になったHulu。日本テレビの社員として様々な経験を積み、Huluの社長となった於保社長だからこそ感じている、社長としてのあるべき姿とは。社長のこれまでの歩みや考え方、これからを語ってもらった。   学生時代はアルバイトに明け暮れていましたね。スーパーのチーズ売り場で働いていたころはチーズ屋さんに就職しようかと思っていたこともありました。しかし、アルバイトをする中で、偶然、日本テレビの方と縁があり、テレビ局でアルバイトを始めました。それが、この業界で働くようになったきっかけです。 当初は、テレビ業界への興味はなかったのですが、スポーツ中継のアシスタントとして働くうちに、人に様々な影響を与えるテレビの面白さに目覚めて、日本テレビに就職することになりました。 しかし、就職して最初に配属されたのは営業部でした。スポーツ中継がやりたくて入社したわけですから、不満がなかったわけではありません。ただ、人事部の方に「スポーツ部でアルバイトをして、このまま新入社員としてスポーツの担当になっても、アルバイトの延長になってしまう。ほかの仕事も経験してから担当した方がいい」と言われた ことは今でも覚えていますし、今考えてみると、とても良いアドバイスを言ってくださっ たと思います。  営業部でみっちり9年働いた後、スポーツの担当になりました。念願のスポーツ担当として働いた7年は本当に楽しかったですね。その後、人事部、営業部、管理部、社長室、と様々な部署で経験を積ませてもらったのち、放送した番組を外部に販売する部署と一緒に、当時アメリカ資本の Hulu と日本事業の譲渡を交渉することになりました。 無事、交渉が成立した後に、「交渉に携わったのだから」と大久保社長(現会長)に推されて、経営経験のない私が、気が付いたら社長として社員の前で挨拶していたわけです。  ■自分がいなくなってから評価される人でありたい  私の根本にある思いは「先先に物を残したい」ということです。そのためには、短期的に考えた中で、今、一番いいことを選ぶのではなく、将来のことを考えて長い目で見たときに最も良い選択をするべきだと思っています。常にそれを意識して、先に何かが残るように考えて行動しています。それが結果になったときが一番うれしいですね。 例えば、スポーツ担当だった際に、ゴルフトーナメントの運営をやる機会がありました。来場者のほとんどが大人 のゴルフだからこそ、一緒に来ている子供たちに楽しんでもらい、将来のゴルフ人口を増やしたいと考えて、練習グリーン上でのパター体験のゲームを子供専用にしたのです。 周りには猛反対されました。 しかし、「もしかしたら、参加した子供の中からゴルフの面白さを感じてプロになる選手が出てくるかもしれない、こ れは将来のための種蒔きだ」とやらせてもらいました。 先を考えて行動をしているわけですから、今すぐの評価には繋がらないかもしれません。社員からの社長の評価は、私がいなくなってから数年後にわかるものだと思いますし、そうであってほしいです。私が社長でなくなってか ら社員が思い返してみたときに「あのときのあれが今につながったのだな、ありがたいな」と良い評価をされるような社長でありたいと考えています。 ■めざすのは「とりあえずHulu」  今の目標は Huluという会社を大きくし、Hulu のサービスを生活に人々の必要なもの、なくてはならないものにすることです。昔の子供が家に帰ったらまずテレビをつけていたり、大人がとりあえずビー ルを頼んだりするように、みなに「とりあえず Hulu」と思ってもらえるようにしたい。 私たちが提供しているのは 「インターネットを通じた動画配信サービス」という形がない商品なので、売ってしまえば終わりではありません。 永遠に改良のできるものですから、常に止まることなく進み、改善が必要です。だからこそ、一緒に仕事をする人は現状に満足せず、常に向上心を持つ人や、改革心を持って変化できる人であってほしいと思います。私は、しつこくて熱い人、好きですよ!  これからは、オリジナル作品を増やすなどして、他サービスとの差別化をはかり、契約してくださる人にとって、 月額933円(税別)を払う価値があると思っていただけるものに、また、Hulu を使ってハッピーになっていただけるものにしていきたいです。 そして、いつか孫ができたら、「Hulu はおじいちゃんが大きくした会社だ」と自慢出来たらいいですね。 ■message  やりたいことに出会えないという人もいると思いますが、今はそれでもいいと思います。逆に様々なことをやれるチャンスがあると考えて、幅広く挑戦してみてほしいですね。 今は就職が一生を決める時代ではないですし、いろんなことにチャレンジできます。 せっかくなので、それを生かしていってください。そうやって挑戦したことが次の目標に繋がるようないい勉強になっ たり、自分自身の財産になったりしていくのではないでしょうか。 学生新聞2020年10月号 東洋大学 1年 濱穂乃香

大学理事長・大使館

学校法人五島育英会 (東京都市大学)理事長 高橋遠  

健康、熱誠をもって社会で活躍する人材を育てる ■プロフィール 1950年東京都生まれ。1974年東京大学経済学 部卒業後、東京急行電鉄入社。2011年専務取締 役就任。その後、東急ホテルズ、東急総合研究所 の代表取締役社長を歴任。2017年日本秘書協会 理事長、2018年五島育英会理事長に就任。 東京都市大学をはじめとする「都市大グループ」を運営する学校法人五島育英会の高橋遠理事長に、これからの社会で求められる人物像を伺ってきました。 ■学生時代から就職後のお話を聞かせてください  私の親族には医学関係者が多く私自身も高校3年生までは医者を目指していました。ただ高校時代に文科系に進学する人が多いクラスだった影響もあり、最終的には文科系の大学に進学しました。スポーツに熱心に取り組んでいたこともあり、アルバイトは家庭教師くらいでしたね。 就職活動に関しては、外交官を目指していましたが、東急電鉄に就職しました。外交官試験のために就職浪人も考えましたがいろんな人に相談をして、早く社会に出たほうが良いとアドバイスをうけて就職することにしました。今回もコロナで就活が様変わりしたと思いますが、一日で世の中ががらりと変わってしまうこともあるので、できることはしっかりやっておくことが大事です。やらずに後悔するより、やって後悔したほうがいい。 東急では、まずは現場を知るということで駅員などを経験したのちに海外部へ配属されました。まだできたばかりの部署で日本の土地開発のノウハウを海外へ持ち込んで展開するという取り組みでしたが、かなり苦労しました。その後はアメリカでMBAを取得し、財務、秘書などの業務に就きました。東急ホテルズの会長を務めたのち、2年前に今の職につきました。 ■どんな学生が社会に求められていると思いますか  人は社会に出たら、決断力、判断力、主体性などいろいろな能力が求められますが、世の中は変化するものなので、変化を人よりも早く察知し、それに対してどう対応するかが特に大事です。 そして、何事も人に伝えられないと始まらないので、かみ砕いて説明できる能力、相手に受け入れられる能力、いかにコミュニケーションがとれるかも大事です。また、これからグローバル化がさらに進み、少子化の影響で世界における日本の立場も変わってくるだろうと思います。それを踏まえて、海外で仕事ができる力をつけるといいのではないでしょうか。英語を学ぶこと。そしてそれだけではなく、英語で日本の文化を語り、自分の意見を言えるかどうかということも大事です。 ■重点を置いている教育はどのようなものですか  データサイエンス教育、グローバル教育の2つが力を入れていきたい教育です。ビッグデータ、AI、IOTなどが深く関わる社会が構築されつつある以上、こうした教育は必要になっていくと思います。そのため、現在は全学生を対象に、基礎的なデータサイエンスを学ぶ授業を取り入れています。 グローバル教育としては、オーストラリアへの4ヵ月間留学などがあり、毎年300名ほどが留学しています。TOEICのレベルが高い人はニュージーランドで学べるプログラムがあり、年間名までが参加できます。 海外でのインターンシップにも力を入れていましてね。東急グループの会社や取引先、OG、OBのネットワークを駆使して、3週間ほど行けるようなプログラムがあるんですよ。このインターンシップの仕組みは、本年、文部科学大臣賞を受賞しました。 ■大学生へのメッセージをお願いします  初代理事長の五島慶太が大切にしていた言葉として「熱誠(情熱、誠実)」というものがあります。失敗と成功の分かれ目において健康、熱誠があれば必ず成功するということを表しています。 学生の皆さんにはこの言葉を咀嚼して、新型コロナウイルスによる社会の変化に負けることなく、物事に対して情熱をもって誠実に取り組んでほしいと思います。 このような生活態度をとっていれば自らの成長をしっかりと自覚できるはずです。 学生新聞2020年10月号 武蔵大学4年 飯岡樹生

梶間直人

池田エライザ 映画の良さをもっと感じてほしいから「私は撮る」。

プロフィール 池田 エライザ 1996年4月16日生まれ。福岡県出身。女優。 数々のドラマ、映画、CMに出演中。 テレビ大阪ドラマ『名建築で昼食を』に出演。 NHKBSプレミアム『TheCovers』ではMCとして活躍中。 13歳で芸能界デビューした後、モデル・女優・歌手として活躍し、今年は初の映画監督も務めた池田エライザさん。学生時代はどのように過ごしたのか、仕事をする上で大事にしていることは何か、映画の制作にはどのような想いで挑んだのか、自らのクリエイティビティに懸ける気持ちを伺った。 ■一人ひとりに寄り添って丁寧に伝えていきたい 役者をやっているときの本番中は、周囲への配慮が足りなくなると思います。役が絶望で苦しみに打ちひしがれていたら、それが自分に降りかかってきます。そんな中で常にニコニコするのは難しい。だからこそ、ご飯を食べる時間はなるべく技術部の人といて、どういう気持ちでライティングしてくれたのか、どういうふうに編集していくのかを聞きます。自分が役者としてベストを尽くせるよう学んでいました。それが監督業に携わる上での準備になっていました。  映画監督をするとなると、自分の気持ちを削って役者に吹き込むため、これまで疎かにしていたコミュニケーションを一対一でしなければなりません。演出方法は一人ひとり違うので、どんなに忙しくても、空いている時間は役者の気持ちに寄り添うようにしていました。  製作チームのリーダーとして、人が付いて来てくれるよう明確な目標を立てて、丁寧に伝えることを心掛けました。私が一番に楽しむことが、皆のモチベーションになるので、それを保ち続けることを大事にしています。 『夏、至るところ』は若者向けで、とてもわかりやすい映画だと感じています。登場人物は結構バラバラですので、誰に身を委ねて観たのか、聞かせてほしいです。映像よりも芝居にフォーカスした映画で、自分の体験談などを言わせたい放題です。  お仕事となると、はっきり発言しなければならない立場にいるので割り切りますが、普段は人見知りです。私生活ではスローライフが好きで、オンとオフはハッキリしていると思います。24歳になったので、安心して仕事を託していただけるようになりたいです。池田エライザとはこんな仕事ができるだろうなと思ってもらえるよう、丁寧に伝えていきたいです。信頼してもらうため、無責任なことはしません。   ■映画監督は震えるくらい幸せな経験でした!  作品が世に出た瞬間、いろんな解釈が生まれてきます。自分と周りの捉え方が違うと面白いので、観客に届いたときの反応は決めつけないようにしています。たくさんの人に観てほしいとは思うけど、不特定多数よりは共通意識を持っている人に届くほうが嬉しいです。SNSの普及で、いろんな人に届くようになりましたが、数字は本質を突いてないなと思っています。数字の先には人がいて、フォロワー1000人ということは、学校1つ分の人間と人生があるということです。数字だけで見たくはないと思っています。    自分を構築してくれるのは画面の世界ではなく、現実のほうです。自分の言葉で作品を仕上げ、素直に表現できるのは震えるくらい幸せなことでした。自分が好きなエンターテインメントの全てに携われたことは本当に幸せでした。主人公の親友が泣くシーンがあったんですが、オーディションで受かった子だから、お芝居は初めてなんです。思いっきり泣くという経験をした衝撃で、帰りのバスでも泣いていたらしいです。人の初めて触れる感情に出会えたのは、何より嬉しかったです。今までお世話になった監督たちも、同じ気持ちだったのかなと思うと、私ももっといろんな気持ちに出会っていきたいなと思いました。 ■大切にしている気持ちを忘れずにいてほしい 「若いときのことなんて忘れちゃった」。子供の頃からすごく嫌いな大人の言葉です。大学生はコミュニティが広がってきて、大人になる以前のことを忘れる転換期だと思います。だからこそ、忘れてたまるもんか、という気持ちでいてほしい。若いときの焦燥や怒り、悲しみは大人になると制御してしまい、感じられなくなるか自分で消してしまいます。子供の頃の活力は、自分の原動力になるので、どうかまだ覚えているのであれば、忘れずに誇って生きてください。200%の感度で受け止めていた感情は、美しいものですから。 学生新聞2020年10月1日号より (中京大学4年 梶間直人) 文教大学2年 北島麗音/青山学院大学2年 鈴木理梨子/東洋大学1年 濱穂乃香/専修大学4年 石岡慶也/駒澤大学4年 安齋英希/中京大学4年 梶間直人 写真撮影:プロカメラマン 広田成太 <英文記事> Eliza Ikeda ‘I shoot’ because I want people to feel better about films ■ProfileBorn 16 April 1996, in Fukuoka. Actress.Has appeared in many dramas, films, and commercials.Starred in TV’ Lunch at a Famous Building.’She is also an MC on...

小川淑生

井浦新 「演技をするな」「作品の中に生きろ」と求められ、いかにしてそれ...

<プロフィール> 俳優 井浦 新 (いうら あらた) 1974年東京都⽣まれ。映画「ワンダフルライフ」に初主演。以降、映画を中⼼にドラマ、ナレーションなど幅広く活動。 アパレルブランド「ELNEST CREATIVE ACTIVITY」のディレクターを務めるほか、⽇本の伝統⽂化を繋げ拡げていく活動を行っている。 11月9日よりWOWOW「殺意の道程」がオンエア。 撮影を終えた感想を聞かせてください。 今回の映画では特別養子縁組や不妊症が取り上げられるんですが、25年前の僕は、全く知識がありませんでした。 昔は、良くも悪くもシンプルでした。今は、パソコンやスマホで何でも調べられるので、新しい出会いに恵まれた時代ですが、その反面、選択肢が増えすぎて大変だとも思うんです。 その中で真実とフェイクを見極めて生きていくことができたら、一流だと思います。 この作品の特徴はどんなものでしょうか。 今回メガホンをとった河瀨監督の作品の特徴は、「ドキュメンタリー感」です。「演技をするな」「作品の中で生きて下さい」と言われ続けました。 例えば、作中訪れる場所にはあらかじめロケハンに行き、撮影には、その場所が思い出の地になっているような心境で臨みました。 あるシーンでは、「はい、セリフは何も指定しないから清和(役名)になって自由に演技して! スタート!」とカメラが回され、その中で自分の中から自然に出てきた言葉がそのまま作品に使われました。 そんな手法で仕上げられた作品であるからこそ、まるで隣の家庭を覗いているかのような生々しいものになっているのだと思います。 大学生へのメッセージを。 今は選択肢に溢れた時代。だからこそ、やりたいことを見つけることが難しいと思うんです。焦らずにじっくりと見つけてほしい。 ただ、やりたいことをやるということには大きな責任が伴います。自分の意志で決断して道を選び、どうなっても自分の責任だという自覚と、熱量を持って取り組んでほしいです。 学生新聞2020年10月1日号(慶應義塾大学4年 小川淑生) 写真撮影:プロカメラマン 広田成太

芸能人

りゅうちぇる 自分の限界を決める必要なんてなくない?大切なのは自分らしさ

<プロフィール> タレント・アーティスト りゅうちぇる 1995年9月29日生まれ、沖縄県(ちぇるちぇるランド)出身。 個性的なファッション、強烈なキャラクターで注目を集め、バラエティ番組などに彼女のぺこと多数出演し大ブレイク。 2016年12月にぺこと結婚、2018年7月に第1子が誕生。2018年にはRYUCHELL名義で歌手デビューを果たし、アーティストやパパタレントとしても注目されている。 学生時代の様子を教えてください。 小学校の頃は、沖縄の海で毎日素潜りをしたり、メイクや人形遊びをしていました。 人前に出ることが好きという資質を親が見ぬいていて、独唱大会やお話大会などにも出ていました。 その時から全く緊張せず、本番に強い子でしたね。 高校からりゅうちぇると名乗りSNSを始めました。SNSを通して、周りに理解してもらえないあり方が社会で通用したことや、フォロワーが増えていったことが自信になりましたね。 自分らしく生きるにはどうすればいいのでしょう。 自分をとにかく大切にするということを心掛けています。頑張りすぎずに、まぁいいやと考える。すると気持ちに余裕ができて、より良いものが作れるんです。 また一切他人と比較せず、自分がなりたい像を目指しています。そもそも他人と比べること自体、自己中心的だと思うんです。 自分のレベルを決めつけて、比較する人まで自分で選んでいるから。他人の意見に振り回され、傷つくメリットなんてなくない?(笑)。 自分に費やす時間をとるようにもしています。旅行や、いろんな方と会うことで、様々な世界を知ることができます。すると、自分が何をするのが好きで、どんな価値観に感銘するかわかるんです。 そうやって楽な自分でいて、軸をもって、自分の「好き」を追求することが大切だと思います。 大学生へのメッセージをお願いします。 夢は常に持っていて欲しいです。やりたいことがあるなら全力でぶつかって、夢がない人もいろんなことをやる。 夢を叶えていない人は無知な人に多いと思うんです。とにかく視野を広くして、いろんな仕事があることに気付いて欲しい。 そしてこの時代、何かが起こるかわからないから仕事は一つに絞らず、メラメラ夢を持ってほしいですね。 学生新聞2020年10月号より 写真撮影:プロカメラマン 広田成太

梶間直人

武田真治 失敗は挑戦した人にしか味わえない。諦めない。ずっとやる。

<プロフィール> 俳優 武田真治 (たけだしんじ) 俳優・サックスプレイヤーとして活躍。9月9日には24年ぶりのソロアルバム 「BREATH OF LIFE」(ワーナーミュージック)をリリース。 やりたいことを見据えて、出来ることをする  高校2年生の頃にジュノンスーパーボーイに受かり、地元札幌から都立の定時制の夜間学校に転入しました。大学に行くための受験勉強をするより、自分の若い体に何を覚えさせるか、やりたいことをやることのほうが大事だと判断して決めたことでした。当時はバンドブームで、個性的なバンドがたくさんホコ天で演奏していたのを見て本当に憧れていました。音楽で自由に自己表現してみたかったんでしょうね。人生には紆余曲折・浮き沈みがあることを覚悟できるなら、自分の核にしたいものには、ある時期熱中してみることをオススメします。そういうものや時期があるほうが、新しいことにも思い切ってチャレンジできると思うからです。  音楽を志して始めた活動でしたが出会いに恵まれ、俳優業やバラエティー界にも進出することができました。この3つの異なるフィールドを30年間挑戦し続けてグルグル回っていると、点と点が繋がって線になって、線と線が広がって「面」になり、自分の「ツラ」が出来る。もしかしたら、それを人は「ブランド」と呼ぶのかなと。  だから、なにか始める時に「自分とは何者か」を自問自答しすぎない方が精神的に健康でいられるのかなと思います。これからの時代は特に。自分をブランディングしてから何かを始めるのではなく、歩んだ道を人がブランドと呼ぶんですから。あいつ何やりたいんだって言われるぐらいなんでもチャレンジすればいいと思います。 必要なのは個性よりも特性  ベストを望んでベターを得る。時に逃げたり、無駄に攻めたり、いろいろやってみて初めて自分のバランスが見つかるんだと思います。これはやはり時間のかかることです。  個性的であることばかりにこだわっても、現場で使えないと意味がありません。それはどんなジャンルでも。社会において絶対必要なのは個性より“特性”だと思います。不器用でも実直に生きてきた人は、それが評価される日が来るし、プレゼンが上手い人でも実行する段階でつまずくことはある。個性って趣向でしかないので流行がありますが、特性は時代に流されません。  人生を長い目で見て目標を達成したいと考えているなら、少しずつでも筋トレをオススメします。嫌なことでもプラスに変えられる精神が育つからです。  知っていて欲しいのは「我慢には限界があるけど、努力は習慣になる」ということ。ダイエットは我慢ですが、筋トレは努力ですよね? 自分がしていることが我慢なのか努力なのかがわかると、心や体が壊れるのを予防できます。これはなにをするにしても必要な判断力だと思っています。 大学生へのメッセージ  君たちには、しくじる権利があります! なにをやっても取り返しはつきます。反省したり、怒られたり、いっぱい失敗してください。失敗は挑戦した人だけが味わえる人生の旨味です(笑)何年か経てば、仲間が集まるたびに何度でも笑いあえるいい思い出に変わっているはずです。 学生新聞2020年10月号より(中京大学4年 梶間直人) 写真撮影:プロカメラマン 広田成太