
ナオト・インティライミ 僕の夢は折れない。 動き続けて必ずキャッチする
<プロフィール> ナオト・インティライミ 三重県生まれ、千葉県育ち。 世界66ヵ国を一人で渡り歩き、各地でLIVEを実施。2010年にメジャーデビュー。2012年にはNHK紅白歌合戦に初出場。2018年末には約3年ぶりのドーム公演をナゴヤドームにて開催。2019年9月から全国31公演のホールツアーを開催。 メジャーデビュー後、単身世界28ヵ国を訪ねる旅にでかけ、その途上でパレスチナのアラファト議長と語り合い、エジプトではプロサッカー選手にスカウトされるなど、様々な経験を重ねて、いまやドームを満員にするアーティストとして知られるナオト・インティライミさんに、どんな学生時代を過ごしたか、そして若い世代へ向けたメッセージを伺った。 充実した大学時代 大学の4年間はめちゃくちゃ充実していました。入学から卒業まで、今と同じくらい忙しかった。音楽、サッカー、勉強、遊びの4つを120%の力でやった4年間だったかもしれない。激しく生き急いでいたというか、現在に至る下地を作っていました。 小学校から高校までは、周りに支えてくれる人もいて、レールが敷かれ、やるべきことが与えられていたと思うんです。だけど大学に入ってからは完全に個人戦だと思いました。 誰に言われたわけではないのですが、自分でそう感じたんでしょうね。頑張って何かが動き出したら自分のおかげだし、何にも起こせなくて充実していなかったら、それも自分のせい。将来は大学時代に決まると思って、入学式から激しく動いていました。音楽の仲間を作ったり、自分の曲を作ったり、曲を入れたテープを売っていました。15曲入り300円のテープを。それを人に聞かせたら、いいじゃんこれ、えー300円? 安い、じゃあ買うって言ってくれて、花見、新歓、コンパで300本売りました。ここからだなと、何かが始まった感覚はありましたね。 夢は折れない。夢は叶える これはいわゆる根拠のない自信ですが、自分の夢は折れない、必ず実現すると学生時代からずっと思っていました。 ただし、1回心が折れています。大学4年生の時にソニーからデビューして、1枚アルバムを出しましたが、全く売れず事務所が潰れました。8ヵ月間、一人暮らしの家に引きこもっていました。でも、ワールドツアーをしたいという夢があった。今はこんなんだけど10年後に笑っていたらいいんでしょ、と思っていました。その夢があったので、全財産を握りしめて海外に行きました。その経験も、再度メジャーデビューしたときに役立っていると思います。 音楽を作るとき 基本的には24時間365日アンテナが立っていて、この言葉面白いなとか、ふと言葉が浮かんだらメモにして、パッとメロディーが浮かんだ時はボイスメモに入れたりすることを癖のようにしていました。いろいろな経験のおかげでアイデアは飽和するくらいにあふれていて、それをこなす時間がないくらいです。 海外の人と仕事をし始めてからは、ゼロから作ってその場で歌入れしちゃうみたいな海外のやり方を最近は取り入れています。難しい方法なのですが、この歳になっていろいろな経験を積み重ねてきて、逆にそれが自分に向いているんだなと気づきました。今はそっちの方が多いですね。共同アレンジャーと作業場に入って、何もないところから歌入れまでを1日で行います。 大学生に想像してほしいこと たとえば、大学3年生の秋になってスーツを着て就活を始めて、その時に慌てて自分が何をやりたいかを考え始めていたら、圧倒的に遅いと思うんです。あっという間に大学3年生の秋は来るわけで、その間に動き出している人もいるけど、大半はなかなかそこに気づけず、説明会に行くようになって初めて自分と向き合う。結局、第1志望の会社に受かるのは本当に一握り。なんとなく就職してなんとなく日々をこなしていくっていう人生はもったいないんじゃないかな。自分のために今日からでも動き始めてほしい。 それから、今の若い世代には携帯電話との向き合い方を考えてほしい。これは本当に大きく差が出るところだと思います。1日に6~7時間携帯を触っているという新聞記事がありましたが、計算すると1年のうちの3ヵ月、下を向いて生きていることになる。自分の意思がないと、なんとなくネットサーフィンをしたり、自分のやりたいことと関係ない誰かのインスタの写真を見たり、無駄な情報に時間を費やしてしまう。80年間生きるとして20年間丸々下を向いていたとしたらそれはどうなのか。下を向いていたら誰かが撮った動画の流れ星は見えても、自分のあの流れ星、かけがえのない流れ星には一生たどり着けない。 携帯をいじる時間は半分に減らせます。たとえば、電車待ちの10分や信号待ちの30秒にただ習慣として携帯をポケットから取り出しても、そこには意思がない。それをしなければ、自分の過去と現在と未来に思いを馳せる時間になったり、あいつ何しているかな、ちょっと会いたいなと誰かを思う素敵な時間にもなり得ます。けれど、よく知りもしない誰かがどこかに遊びに行った写真やラーメンの写真をスワイプしていても、自分のやりたいこと、幸せで豊かな自分の人生には一歩も近づかない。携帯に支配されず、自分の意思を持って道具を使いこなせるかどうか、これはすごく大事なことだと思います。 学生新聞2019年10月31日号より (東洋大学1年 萱沼祐希) 写真撮影:プロカメラマン 広田成太 <英文記事> Naoto Inti Raymi My dream will never break. I’ll keep moving and always catch it. ■Profile: Born in Mie Prefecture and raised in Chiba Prefecture. He has traveled to 66 countries worldwide and performed LIVE in various locations. In 2010, he...